まっとうに褒賞されない
情報の基盤をそれだけ充実させるのは、英国が感染症対応を国の安全保障と構え、研究をサポートすることが国益につながるという意識が政府に浸透しているのだろう。
それほどの予算とスタッフを部下に抱えているのが英国の首席科学顧問なのだ。首席科学顧問バランスの境遇を横目に見ている西浦からみれば、危機対応の陣容がまったく整っていない中、政府の助言役を務めあげた日本の尾身に対して「公がきちんと褒章すべきだ」と感じるのは当然かもしれない。
国のために無私の精神であたった者がまっとうに褒章されず、キックアウトされる。
どうしてそんなフェアとは言えない状況に陥るのだろうか。西浦は自分の3年半の身の上を振り返るように言った。
「もちろん、僕らがやってきたことに感謝を表してくれる人もいます。でも緩和が決まったら、その人の態度が変わる場合とかもあったりとか……そんなことがあって。それって何でこうなるのかなということを考えるんです。政治家よりも専門家が(感染対策で)厳しいことを言っているというのもあるんですけれど、それより前に、そういう国だからなんじゃないかということを認識させられた」
それはどういう国なのか、と重ねて訊いた。
「セキュリティというものを他者に任せていて、依存していれば大丈夫と考えてしまうような、自主性が欠けているような国民性がありはしないか」