カルチャー

ストリップ劇場に女性客が増えている理由を探る~憧れと尊敬、客席の信頼関係

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 すでに劇場では、40~60代と思われる男性客と、まだ20代であろう女性客がいちストリップ客同士として談笑する姿はすでに珍しくない。

 たとえば、第1回に登場したSさんには「リボンさん」の師匠がいる。「リボンさん」というのは手の中につかんだ8~9個のリボンを、ダンスやポージングのタイミングで投げて舞台に花を添えるファンのこと。

 リボンさんは時にきまぐれなストリッパーの動きを読みながらリボンを投げる。また、プロレスの紙テープと違い、投げたリボンを床に落としたり、ほかの客に当てたりしないよう、つかんだリボンを素早く引き上げなくてはいけない。劇場の大きさによってリボンの長さを変えたり、どの場所から投げれば機材にかからないかを計算したりと、把握しなくてはいけないことが多いのだ。

 Sさんは「リボンさんをやろうと思っている」と周囲に話したところ、人づてに師匠を紹介されたという。

 「開場前に練習して投げ方や持ち方を教えてもらっているんですけど、まだまだですね。今はバラバラになってしまうので、師匠みたいにふんわりふわっとしたリボンを目指しています」というSさん。

 Sさんと師匠は、開演前に一緒に練習をすることもあるという。20代の女性と50代の男性が、共にリボン投げを練習する姿を想像すると、なかなかほほえましい。

 ストリップは性風俗の場であり、女性の裸を観る芸能だ。しかし、それは男性だけのものではない。それが、ある時は女性ファン自らの言葉により、ある時は劇場での男女の垣根を越えた交流により証明されつつあることが、ストリップの女性客を増やしているのかもしれない。

(取材・文/池田録)

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