カルチャー

現代ストリップは多彩なボディーパフォーマンスの場に 女性たちが憧れるストリップの多様性

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「自分自身の身体を使って世界を作っていくところがストリップの最大の魅力」

 20代女性のSさんも、浅草ロック座を機に「スト客」となった一人だ。足を運んだきっかけは大学時代にTwitterで流れてきた女性によるストリップのレポートマンガ。もともとK-POP好きだったSさんは、そのマンガに描かれていた「女性アイドルに近い」という表現を見て、足を運んでみたという。

「踊り子さんのスカートがふわっと舞ってパンツが見えた瞬間、『やばいとこ来ちゃったな』と思ったんですよ。これから脱ぐのわかってるのに。でも、見終わったら友だちに『もう一回観ない?』と言ってました」
※業界内では演者をお姐さん、踊り子さんと呼ぶ習慣がある。

 その公演で「推し」のストリッパーを見つけたSさんは、それから浅草を中心にさまざまな劇場に足を運ぶようになる。

 今、日本には約20の劇場が存在するが、浅草ロック座以外の劇場は、おおむね先ほど挙げたように複数名のストリッパーが一日数回ダンスを披露し、合間にポラロイドカメラもしくはデジタルカメラでの写真撮影(1回500~1000円)を挟むという構成になっている。

 通常、ストリッパーは10日を1単位として劇場に出演する。その10日の間に1つの演目をやり通す演者もいれば、2つ以上の演目を披露する演者もいる。

 ここで面白いのは、おおむねその内容は演者にゆだねられているという点だ。たとえば、どんな衣装が着たいか、どんな世界を表現したいか、どんな役になりたいか、どんな曲で踊りたいか、あるいは踊らないか。

 10分ほどのダンスの後に5分ほどの盆でのベットという定番の型さえこなせば、演者は自身を望むようにプロデュースできる。当然、選んだもので人気が取れるかというハードルはあるが。

 もともとアイドル好きだったSさんは、手軽な値段で会話が出来て、さらに近い距離で女性たちのダンスパフォーマンスが観られるストリップにハマっていったという。

「劇場のかぶりつき席は汗が当たるくらい近いから、アイシャドウの色まで見えることもあります。そこで衣装と色を合わせているのに気がついたり」

 ストリップ劇場の席数はおおむね数十から百数十席。イスなどない温泉地の劇場の場合、もっと少ない場合もある。そして、ストリッパーは手を伸ばせば触れることの出来るような距離で踊ってくれる。

 無防備な状態で人前に身体を晒しながら、全身を使ってエロスを表現する。その親密さや緊張感、そして多様さにSさんはすっかり魅了されていった。

「裸になるって、本来は露出しないコンプレックスの多い部分を人前にさらすことですよね。お姐さんの中にはガリガリにやせてる人もいれば、ぽっちゃりの人もいて、すべてが完璧な人はいない。だけど、みんな堂々としてかっこいい。『色んな女性像があっていいんだ。じゃあ、私のこんな体型でもいいのかな』と安心させてくれるんです。」

 Sさんは、「自分自身の身体を使って世界を作っていくところがストリップの最大の魅力」という。そこには、生まれ持った身体を活かすことでオンリーワンの世界を作り上げ、人を魅了していく女性たちへの憧れがあるのかもしれない。

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