連載

ストリップを初観劇! 表現する女性の肉体を性器ごとリスペクトする世界

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 クライマックスは回転舞台で迎えます。大開脚があるので、男性はもう前のめり! 美しい女体をたっぷり見せます。これが終わるともう一度舞台袖にひっこみ、再度出てきてから〈オープンショー〉が行われます。これはおっぴろげに継ぐおっぴろげとでも申しましょうか。大開脚で、あるいはバックを思わせるポーズで、はたまた立って観客の顔をまたぐようにして、とにかく股間を見せつけるショーです。

 「な~んだ、結局、目当ては股間なのね」とは思わないでください。そういう男性ももちろんいると思いますが、全体的には〈女体という美しい造形物〉を正しく鑑賞する場だと感じました。パッカ~ンと開かれた脚のあいだにぐっと顔を寄せて、性器をのぞきこむ男性もいます。大開脚で性器をオープンにするたびに会場から拍手がおきます。でも、そこにいる人たちは性器だけをことさらに女性の身体から切り離しているわけではないように見えました。性器も、その女性個人の一部。ダンスが女体を美しく見せるための身体表現の一部なら、アソコも身体表現の一部。女性の人間性と肉体、および性器を別個のものとして、ただポルノグラフィとして消費する……ということがその劇場にはなかったのです。

裸の女体がもつ表現力

 私も観ているうちに、「女性の身体はこんなにきれいなものなんだ! 性器も含め美しい!!」と気持ちが盛り上がっていきました。かたや自分の身体は造形が大きく劣るうえに、何かを表現する肉体でも何でもありませんが、自分に備わった女性という肉体をもっと愛していいのではないかという気にすらなりました。

 なかでも際立っていた踊り子さんたちは、まずダンスのレベルが高すぎて、この値段でこんな上質のエンターテイメントを観せてもらってよいのかと申し訳なくなるほどでした。劇場によりますが、私が観劇したところは女性2000円とたいへんリーズナブルなのです。ある踊り子さんは観ているだけでどきどきし、なぜか涙がにじんでくるステージでした。すごく情緒的でありながら、天上からぶら下げた布やフラフープを利用したアクロバティックな表現もあり! それをほぼ全裸で行うので身体の線も動きもまったくごまかしようがないのですが、それがとても美しく潔く、また涙を誘われます。

 先述した「夕鶴」のステージでも、羽をむしって布を織った鶴の姿が女性の裸体で表現され、その強さを秘めた儚さにまたも涙を誘われました。その後の回転舞台での見せ場では、上気した肌の美しさとしたたる汗がなまなましく、AVやネットを何本観ても決して得られない〈生きた女体の神々しさ〉がありました。チープな言い方になってしまいますが、踊り子さんたちが女神に見えたというのが私の素直な感想です。

 というわけで、私はそのアクロバティックなのに情感たっぷりのストリップを見せてくれた踊り子さんのファンになってしまいました。その胸の高鳴りは、もはや恋かもしれません。劇場に所属しない、フリーの踊り子さんなので全国を回ります。東京の劇場に出演するときに、また会いにいかねば! といまから張り切っています。ミーハー丸出しですが、本気で性を体現している一途さは、それほど魅力的でした。初めて扉をあけたストリップの世界、瞬殺でハマってしまいましたよ。

 

■桃子/オトナのオモチャ約150種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。ブログtwitter

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桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

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