29 MAR 2024 fri
一緒に埋めて行こうねって
「渡したいものがあるから、良いかな?」
その時の表情も口ぶりも何もかも覚えてる。
いつもとは違う緊張感を覚えながら、
狭い階段を抜けて、ふたりで屋上に出た。
心地よい夜風、壁面にはカラフルなアート。
まだ羽織るものがあっ方が良かったかな、
なんて思いながら、彼の言葉を待った。
「お土産の代わりに、これ」
渡されたのは、フォトブックだった。
中には花の写真、おそらくフィルムだ。
その花の咲く季節に思い出す。
2枚目以降、がらんとあいたページ。
一緒に埋めていこうね、って、
言われなかったし、言えなかった。
互いのやさしさだったと片付けるのは、
単純すぎる気もしてまだ整理はつかない。
JUGEMテーマ:自分のこと
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