ペルソナ4の話の元ネタになったと思う話-1
「ぼくちの」より。ペルソナ4の元ネタだと思う話とかもちょくちょく載せたいなとか。ぼくちのは、「なとなと」の事件が起きるより前の幼少期を描いた掌編集でした。というわけで、ひとまず番外編貼ります。 2.チョコレート
↓フォレストからの方が見やすいかも。
佳ノ宮まつりは、箱入りというか、檻入りというか、いつも『お屋敷』から離れることが出来ない。
そんなまつりとぼくの出会いというのも、ある日、たまたま、すぐ近所に豪邸なんかあったから、気になったぼくが、まあつまり、不法侵入したのが始まりだ。そいつに見つかり、偶然にも、そいつの遊び相手になってしまった。まつりはいつも一人でいる。
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それにしても、バレンタインって、苦手だ。そもそもこの国のみんながみんな、チョコレートと結びつけなくて良いじゃないか。
「あ~ん」
「……恥ずかしいよ。小さい子どもじゃないんだから」
「口移しならいいの?」
うっとりと、ぼくに迫ろうとするので、頬を引っ張ってやった。
いたいいたいいたいと、繰り返していたので、離す。
「ぼくに葬られたいのか」
そんなわけがないだろ。たぶん、あんまり生き物と素直に触れ合えないっていう欲求が、またしても長年蓄積された結果、重症化したのだろうが、いつもこれだ。
状況を説明すると、まつりが、ぼくの口に、氷を流し込もうとしていた。
「バレンタインだよ!」
と言い出したかと思えば、ぼくを捕獲して口を開けさせている。
歯形チョコが作りたいらしい。ちょっと意味がわからない。
──っていうか、それ、ぼくを冷やさないとならないじゃないか。
氷を取り出して、口に詰め込もうとし始める。
口を冷やしてからチョコを流し込もうという寸法らしい。
「良かったね、出来立てが食べられるよ」
「そもそもこれだと出来ないんじゃないかな」
「嫌がらせだよ」
「なんで!?」
「じゃ。きょーはなんの日でしょう」
「……なんのって、さっきお前が言ったバレンタインデーじゃないの──か」
しまった、と思ったときには遅かった。口を開けて喋った瞬間に、緑のボウルにいれた氷を流し込まれる。いたたたたたたた!
と言いたいが、口が動かせない。『ふあああ』みたいにしかなってないだろう。
「面白い顔」
幸せそうに、氷で口がいっぱいになったぼくを眺めるまつりには申し訳ないが、ぼくは耐えきれずに吐き出した。
「ぐはっ。──死ぬかと思った……何するんだよ!」
「うわー、汚いな」
「……なあ、ぼくはなにかしたか?」
聞いてみると、まつりはにっこり笑って、そこにいてね、と言った。さっきまでのくだりはなんだったのか。
──なかなか帰って来ないので、帰ろうかなと思えてきた頃になり、ようやくまつりは小さな鍋を持って、お屋敷の方から帰って来た。大豪邸だから、歩くのが大変なのかもしれない。
「おかえり」
「えへへ、ただいま」
まつりはのんびりとそういうと、持ってきた小さな鍋を、近くにあるパラソル付きのテーブル(庭でお茶を飲むことがあるらしい)に置いた。
「なに、それ」
まさか、ぼくに流し込むためのチョコレートを、熱々で持って来たのか?
なんてやつだ。
「鍋だよ」
得意気に言われる。
鍋だってのは知っている。
「……中身」
これがチョコレートだったら、帰る。ぼくも、なんでこんなやつに付き合ってるんだか。
「口の中、もうよく冷えたよね?」
まつりは文脈をすっ飛ばして聞いた。嫌な予感。
置いた鍋を嬉しそうに、カンカン、と叩いてこちらを見ている。
「まあな。むしろ痛いくらいだ。あたたかいものが欲しい……」
そう言うと、なぜか、まつりは満足したように鍋を差し出して、言った。
「あのね、今日、シチューを初めて作ったの。出来立てだよ。すっごい熱いのを、食べてもらいたかったんだけどね、きっと、やけどしちゃうから……」
「シチュー?」
「うん。美味しくできたと、思うの!」
そしてまつりはふたを開けた。暖かい、いいにおいがする。なんだか安心する。そういうことか。
「ああ、それで、ぼくの方を冷やしてみるためにあんな嘘を?」
バレンタインのチョコレートはカモフラージュだったようだ。そういえば、チョコレートはあの場になかった。
普段は冷たく見えるが、まつりは意外に変なところで優しい。だからぼくはこいつがあまり憎めない。
ただしその思いやりは、もっと別の方法でできなかったのかと思うが、たぶんそもそも氷を詰めてみたかったんだろうな。
不安そうに、はにかんだまま、まつりはこちらを見つめた。
「うん。食べてくれる?……いつも感謝してるの。だから一番に食べてもらいたくて」
なんていい子なんだ、とぼくは思った。最初の流れなど頭から抜け落ちかけている。
「ぼくも、お前には感謝してるよ」
「そう? 嬉しいな。じゃあね、食べさせてあげる。あーんってして」
「わかった」
かわいいところもある。ちょっと照れて頬を赤くしながら、嬉しそうに、中身を、持っていたらしいスプーンですくって、差し出してきた。
今度は安全そうだ。ぼくは小さく息を吐いて、口を開けた。
「あー……」
「あ、ごめん間違えた」
なかなか口に入らないなと思ったら、べしゃ、と頬にかかる。
……熱い。
余談
……と、まぁそんな感じで短くてシュールな話とかいろいろありました。
他にもペルソナとかダンロンとかなとなとネタがありますが、何にしても私は一切関わっていません。
何故紹介を挟むのかって言うと、「私が先に作ったものを元にした作品」が多く流通しているのが本当の事なのに逆方向に誤解する人が居てめんどくさいからです。誰のお陰なのかとか言われたり逆に圧力をかけられたり(実話)私のですね!私の後から作ってるのを隠してる程高圧的な人が多い感じ。前回も記事にしたけど無関係に切り離してる作品すら「西尾維新をアレンジしているだけ」とか言われるわけですよ。逆、逆!!
創作は真面目に作っては居るけど許可していないのに商用利用されたり変な演出されたりするのほんとやめて欲しいなって思のと、「好きな人も居るんですよ!」を言ったらこっちもそうなんだが?になる話だとか。 僕「そちらへ強めのメールを送りますが、パフォーマンスでやってるのでよろしく」客先「わかりました。めちゃくちゃ謝罪します」 https://t.co/ob9rrHIiOc #Togetter via @togetter_jp 同じタイミングでこれ上がってきたw 社内連絡これですかね
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