TS的な再会シーンSS集
再会したら女になっていた、なストーリーの詰め合わせ。
以前アップしたこちら(illust/116609856)の各シーンをSS集にしてみました。
2024/03/21~2024/03/27の[小説] オリジナルウィークリーランキング4位になりました
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1. よくあるTS的再会シーン
もう何年になるだろうか、幼なじみのタカユキと会っていないのは。
一緒になって遊んでいたのはずいぶん昔の頃だった。小学生のころまでだったな。
中学に上がるときにあいつの家族が引っ越すってことになって、それっきりだった。
引っ越した後も何度かメッセージでやり取りしたはしていたけど、次第にお互いの学校生活が忙しくなったりで連絡はフェードアウトする具合に。
そんな中で久しぶりに会おうって連絡があって、今日がある。
お互い成長したしなぁ、もう大人だし。俺も随分身長も伸びたし、あの頃のまんまってわけじゃない。
正直、変わったあいつの姿を見てちゃんと認識できるか自信がなかった。
なので一応服装はわかるように連絡貰っていた。そしたら「タンクトップと短パン」なんて返事が来やがった。
おいおい、確かに子供の頃はタカユキのヤツそういう格好が多かったけど、今ここでその格好で来るのかよ。
ちょっと服装に無頓着すぎねえか?
なんだか急に心配になってきた。そんな恰好で来るなんて、アイツずぼらな大人になっているのだろうか?
そうして待ち合わせ場所に来たわけであるが……
「よっ、久しぶり!」
「……どちら様?」
確かに連絡のあった通りタンクトップと短パン姿の人物はいた。
だが、その人物が俺の知っている子供の時一緒に遊んでいた幼なじみのタカユキかと言われると、自身がない。
何故って? だって男じゃなくて女なんですけど?
しかしその女性は俺を見るなり「久しぶり!」と挨拶をしてきた。
よく大人になった俺のことがわかったのだと感心する。確かにこっちの服装も連絡していたけどさ。
けどさ、この人だれ? フーアーユー?
「けけっ、いい反応するなぁ期待道理だわ」
「えっと……マジでタカユキなの?」
「そうだよー」
まさかと思って訊ねたら認めちゃった。目の前の女性が、自分がタカユキだって?
いやちょっと待て。おかしくありませんかね?
「お前、女だったの? いやでも、おかしくね?」
こいつとは一緒に遊んだ中で、記憶では確かに男のはずなのですが?
一緒に立ちションしたし、プールの着替えの時もちゃんとついていた記憶があるのですが?
「いやいや男でしたよぉ」
そう思っていたら本人がちゃんと認めてくれた。男だったと。
よかった俺の記憶が間違っていたわけじゃなかったみたいた。ということは目の前の現実がおかしいのですか?
「実はですなぁ、オレ女になっちゃったんですよぉ」
「はぁ?」
すごいこと言っちゃった。性別変わっちゃったのですって。
「何で女になってんの?」
「あー、不幸な事故というかなんというか」
うーん? 事故ですか?
「ちょっと前に大学の実験室で化学物質の調合試験やっていたんだけど、その時ひっかぶっちゃったモノのせいで体が女に、ね」
「マジでぇ?」
そんな一昔前のコメディでありそうな典型的パターンで女になるって、どんな確率?
その化学物質売ればボロもうけできるんじゃね? ってツッコミしようと思ったけどどうせデータ残ってなくて再現できないんだろうなぁ。
「まあそんなわけでな、けど中身はオレはオレだし」
「そ、そうか」
確かにこうしてみると顔の面影はかつてのタカユキそのものである。
しかし首から下は……どう見ても大人な女であり。
こうしてみるとかなりスタイルがいい。黙っていても美人ってやつ。
おまけに何を思ってかタンクトップと短パンというラフすぎる格好で、結構目のやり場に困る。
「まあまあとにかくさ、今日は一日よろしく~」
「よ、よろしくって……」
なんだかよくわからないうちにこいつのペースに巻き込まれている。
あー、こういう感じ、雰囲気、確かにタカユキだなぁ、と。