ティーパーティーに転生した3人組   作:お前ら人間じゃねぇ!!

4 / 14
逸般人

 

 

「こんにちは、先生。こうしてお会いするのは初めまして、ですね」

 

 

 私はトリニティのテラスで中性的な見た目をしている先生とお茶を飲んでいた。

 原作通り補習授業部の専属顧問を任せるために呼び出したのだが性別が不明で驚いてしまう。男と言われれば男、女と言われれば女。そう言えるほど中性的。アロナが書いた怪物ではなくて安心しました。

 

 

「ティーパーティーのホスト、桐藤ナギサと申します。そしてこちらは、同じくティーパーティーのメンバー、ゴジ……聖園ミカさんです。あらためまして、お初お目にかかります。私たちがトリニティの生徒会、ティーパーティーです」

「ねえねえナギちゃん!この人が先生なの?あれだね、ナギちゃんよりは強いね☆」

「ミカさん……その話本当ですか?私は先生より弱いのですか!?」

「うん」

 

 

 うわっ……私の力弱すぎ……?

 

 私って原作のナギサより弱いと感じていましたがそこまでとは……

 ハンドガンで肩が外れる私では一般成人男性より力が弱いことは知っていましたが……流石にそこまでは…ちょっとショック。

 

 

「“あの……本題は?”」

「あ、すみません。こうして先生を招待したのは、少々お願いしたいことがありまして」

「先生って女性?男性?それともピッコロみたいな無性?ミミズみたいな両性?単一生殖できるの?そもそも先生ってどこから来たの?ドラゴンボール知ってる?私はベジータが1番好き」

「“私はミスターサタンかな”」

「私は未来悟飯……なんてドラゴンボールの話をするためにお茶をしているわけではないでしょう。本題を話してもよろしいですか?」

「先生はどのシーンが好き?私は悟空とベジータの戦いかな」

「“スーパーサイヤ人になる前の悟空とフリーザの戦い”」

「私は悟飯のスーパーサイヤ人2になった瞬間です。……いやいや、私の話聞いていますか?」

「何編が好き?私はサイヤ人編」

「“マジュニア”」

「私は……うーん、ナメック星編ですね。クリリン、悟飯、ベジータの3人でギニュー特戦隊に争うところが特にお気に入りです」

 

 

4時間後

 

 

「どうして私達はドラゴンボールの話をして4時間も経っているのでしょうか……」

「“名作だから仕方ないね”」

「アニメオリジナルも含めばバーダック、映画だとブロリーやクウラとかの最高のキャラクターが多いから仕方ないね☆」

 

 

 そういえばこの世界にもドラゴンボール、ジョジョなどの漫画が普通にあるんですよね。休日にはスパーキングメテオを朝から夜まで遊んだこともあります。つまり、ゲームもあるんですよね。

 ちなみにミカさんやセイアさんとはゲームをしません。一度だけ私の家でしたことがあるのですがコントローラーは破壊され、未来予知によるチートで、あの2人と2度とゲームしないと誓いました。

 

 

「…そろそろ本題に入りましょうか。私たちが先生にお願いしたいのは、簡単なことです。……補習授業部の、顧問になっていただけませんか?」

「“補習授業部?”」

「はい。つまり、落第の危機に陥っている生徒たちを救っていただきたいのです。『部』という形ではありますが、今回は顧問というより『担任の先生』と言った方が良いかもしれませんね。

トリニティ総合学園は、昔からキヴォトスにおいて『文武両道』を掲げる、歴史と伝統が息づく学園です」

「ナギちゃんに武は無いけどね」

「文が無い人は黙っていてください。そんな学園で成績の振るわない方がなんと4人もいらっしゃいました……」

「つまり面倒な事をシャーレ、先生に任せようということだね」

「端的に言うとそうです。この仕事をしない置物はともかく私は忙しいので、個別授業をしている暇がないのです」

 

 

 少し喋りすぎたので喉が渇いたので紅茶を飲む。やっぱりアルコールが無いと刺激が足りませんね。

 

 用意した鞄から4枚の紙を取り出し、先生の目の前に並べる。

 

 

「こちらが補習対象の生徒4人です。右から銀行強盗団のリーダー、公然猥褻犯、単純にテストの点数が悪い2人です」

「“……ヒフミのことバレてる?“」

「水着強盗団、アビドスの対策委員会であるアヤネさんを除いた4人とヒフミさんで構成された犯罪集団。先生はよーくご存知ですよね?」

 

 

 この点だけは原作関係なしに聞いておかなければならない。私の可愛い後輩達を任せられる人物かどうかは私が決めます。

 

 

「ミカさん、少し席を外していただけますか。お昼ご飯は冷蔵庫に入れているのでレンジでチンしてから食べてください」

「はーい」

 

 

 ミカさんは今日のお昼は何かな〜、と言いながらテラスを去って行く。とても可愛らしい女の子……に見えるわけがありませんね。ただのゴジラ、優しく見てもゴリラです。

 さて、ミカさんが去ったところですし…尋問タイムといきましょう。

 

 

「先生……貴方は目の前の銀行強盗を見逃したのは何故ですか?先生に止める力が無かったと言うのなら私も納得します。しかし貴方は違います。生徒を止める力があった。それにもかかわらず貴方は銀行強盗を良しとした。この質問に答えられないようでは生徒を任せることはできません」

 

 

 先生は汗をかきながら唾を飲む。瞬きの回数が増えて、こちらを深く見つめる。

 私は原作でもいつも疑問に感じていたことを先生に問い詰める。

 私としては先生の行いを否定するつもりはない。時に人を助けるための犯罪とは仕方がないものだと理解しているからだ。しかし原作通りとはいえ我が校のヒフミさんを巻き込んだ責任を取っていただかなければいけない。

 

 

「“………それは……いち早くアビドスを助けるために…”」

「人助けは良いことです。私は正義の味方が好きですから。けれどもこの世では手段の選択ができます。我が校の生徒であるヒフミさんを巻き込む必要は?先生の権限を使えば少し遅くなっても取り調べすることはできましたよね?」

「“………”」

「別に生徒たちが銀行強盗をした件については何も言いません。生徒の足を舐めた件もイオリさんが悪いです。ですが()()である貴方が子供の間違いを正す行動を取らなかったことに苛立ちを覚えているのです。

()()の責任と行動を取る必要があった。何故なら貴方は先生なのだから」

 

 

 紅茶を一口飲み、足を組む。恐怖から怯えている先生は紅茶に口をつけない。少し脅しすぎましたかね。セイアさんのシマエナガも『ひえ〜』と書かれた紙を掲げている。

 スコーンにイチゴジャムをつけて、小さく分け、シマエナガ君に食べさせてあげる。すると持っていた紙は『う、美味すぎる!』という文字に変わっていた。

 この紙って何製なのでしょうか?ゲームキャラの文字が変わる扇子みたいで可愛いですね。

 

 

「大人は大人らしく武ではなく、文で敵を倒すものですよ」

「“……生徒のやりたいことは…”」

「させるべき……とでも?それが犯罪であるなら止めるべきです。特に他人に迷惑をかける犯罪は。

夜中に裸で散歩しても、タバコを吸っても、酒を飲んでも、クスリをヤっても私は咎めません。しかし強盗、泥棒、殺人、監禁、誘拐、詐欺などの他人を害する犯罪はダメです」

 

 

これは前世からの考えであり、人間が人間でいるために守らなければならない掟だと思っている。

 

 

「“…………”」

「そうやって不利になると黙るところ、直した方がよろしいですよ」

 

 

 前世でも思っていたことを口にする。先生の1番大人な部分はここだと思う。不利になると黙ってしまう。悪いとは言いませんが、あまり好かれたところではありませんね。

 

 静寂が空間を支配する。風の音すら聞こえず、先生の呼吸音だけが僅かに聞こえる程度。

 私はこのままでは埒が明かないと思い、シマエナガ君をミカさんの元へ行くように命じ、懐からとある物を取り出した。

 

 

「言葉で示さないのなら行動で示してください」

 

 

 その取り出した丸い物体を先生に見せると、瞳孔が開き、焦りを見せる。私はレバーを握り、ピンを引き抜き、己の足元へスーパーボールを投げるように投げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先生は尋問の圧と言葉の説得力という暴力によってメンタルは崩壊寸前の状態にされていた。

 一刻も早くこの場を立ち去りたい。そんな願いを黒服との対談の時よりも強く願っていた。

 

 

 蛇に睨まれた蛙とは今の状況を表すには完璧な言葉だ。桐藤ナギサという蛇に睨まれた(先生)。言動も、考えも全て読まれて何もさせない彼女に先生は怯えていた。

 直視することすら怖くなり、俯きながらチラチラと彼女を見る。抜け出せる隙を、反論できる隙をいくら探っても現れない。そんな彼女が内ポケットから取り出した物体を見た瞬間、全身の毛穴から汗が流れ出るような緊張感に襲われた。

 

 それはミルズ型と呼ばれる手榴弾であった。

 時代にもよるが爆破時間は4秒か7秒。見た目からどちらであるか判断はつかない。そもそも先生がそれを手榴弾だと認識してもミルズ型を知らないのでは4秒か7秒、なんて考えている余裕は無かった。

 

 桐藤ナギサは何食わぬ顔で安全レバーを握りながらピンを引き抜き、足元へ捨てる。そこに一切の恐怖は無く、躊躇が微塵も考えられていなかった。

 

 引き抜かれてから1秒。桐藤ナギサは動く事をしない。まるで自分をそこには存在しない人物として扱っているように思えるほど。先生は椅子から立ち上がり、ナギサに駆け寄る。

 

 2秒。やはり桐藤ナギサは動かない。その光景を見た先生は全力でナギサの方向に走り出す。

 

 3秒。ナギサは不動を貫き、先生をじっと見つめていた。その目は弱者を弄ぶ強者の目ではなく、聖園ミカと会話している時のような日常の目をしていた。先生は走りながら手榴弾を掴み取ることに成功していた。

 

 4秒。すでに手榴弾は先生の手によってテラスから投げられ、空中で耳が痛くなるような音と共に爆発した。

 

 

「ふむ、上出来です。先生は逃げる選択や自分だけバリアで生き残る道もあったでしょう。しかし私を助けるために命を賭けた。銀行強盗の件には目を瞑り、過去の貴方ではなく、今の貴方を信用して補習授業部をお任せします」

「“そうじゃないでしょ!!”」

「…ああ、先生を命の危険に晒したことを謝罪しなくては。この度は申し訳ありません…」

「“違う!ナギサの命を危険に晒したことだよ”」

「……?」

 

 先生はこの時、理解した。いや、理解してしまった。自分よりも大人で、理知的で、生徒のために尋問をしていた優しい彼女が……歪なことに。

 

 

 

 

 

 

 

 その後、先生は補習授業部が使う教室を案内され、ひとまずはシャーレに帰ることになった。その足取りは少し重い。ナギサに問い詰められたせいなのか彼女の異常性を見た恐怖からなのか、先生自身もわかってはいなかった。

 その帰り道、1人で歩いているとシマエナガと戯れている聖園ミカを目撃した。

 

 

「“やあ、ミカ”」

「やっほー、先生。疲れた顔してるね。何かあったの?」

「“………ミカ……ナギサは…”」

「異常だよ」

「“……知ってたんだね…”」

「私とナギちゃんは幼馴染だもん。そりゃ知ってるよ」

「“…ミカはナギサをどう思ってるの?”」

「ナギちゃんはね、残酷なくらい優しい人なの。弱くて、優しいそんな人。あの考え方は直してほしいと思ってるけど私はあの考え方のおかげで救われたから」

 





やっとナギサの逸般人要素が書けた。ミカとナギサの出会い話を書きます。(ミカ視点で)


評価欄で意味もなく先生アンチしてたから見るの辞めて低評価したわ
などの感想をいただいたので言わせてください。

ナギサの先生アンチは理由がありますので!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告