ティーパーティーに転生した3人組   作:お前ら人間じゃねぇ!!

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今回はおまけがあります


覚悟とは!

 

 

 

 

「皆様、この度は私の身勝手により大変なご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございません。謝って許されることではないと思っています。ですからせめて償いとして自慢の料理を用意させていただきました。お楽しみください」

 

 

 トリニティ内にある一室で大きな机に食前酒を運び、5人の前に置いた。

 補習授業部に迷惑をかけたお詫びとして私なりに考え、フルコース料理を振る舞うことにした。

 

 

「食前酒です。未成年の方にはノンアルコールをご用意させていただきましたのでご安心してお飲みください」

「……」

「……」

「……」

「……」

「“………ガチすぎない?”」

 

 

 アズサさんはヒフミさんに視線を送り、ヒフミさんはコハルさんに送り、コハルさんはハナコさんに送り、ハナコさんは先生に送っている。

お互い相手のテーブルマナーを真似ようとしたり、無言で意見を伝えようとしている。

 

 

「緊張されずに……テーブルマナーも特に気にしなくてもよろしいですよ?これは皆様を楽しませるために用意した物ですし…」

「“いや、そう言われても……”」

「ドレスとか着て食べるタイプでは?」

「ナギサさんもこう言ってることですし…大丈夫では?」

「コハル……それはナプキンで食べ物じゃないぞ」

 

 

 ダメそうですね。私なりに最高のおもてなしを考えましたが逆効果だった気がしてきました。

 これでも料理の腕は三つ星シェフに認められたことがあるので自信があったのですが、もう少し食べ慣れているものを提供した方が喜ばれましたね。

 しかし私のフルコースは美味しいだけでなく、お客様のことを考えて作っている。きっと喜んでもらえるだろう。

 

 

「次は旬の野菜を使った野菜のテリーヌです。皿に乗っているオランデーズソースを付けながらお召し上がりください」

「……あ!上から見るとペロロ様に見えます!!」

「なに!それは本当か!?見ろヒフミ、こっちはペロロ博士だ!」

 

 

 計画通り!野菜のテリーヌとソースでペロロ様を作っておくことで見た目的な楽しさを生み出す作戦です。

 著作権はどうしたかって?モモフレンズの制作会社の株を50%以上保有している私に、あの会社は逆らえないのですよ。そのためどういったグッズを出すのかを単独で押し通せる力も保有していたりします。

 

 

「こちらのはウサギさんですね。コハルちゃんのは何でしたか?」

「お、お花」

「……これは薔薇ですね」

「薔薇!?エッチなのはダメ!死刑!!」

「“ねえナギサ……狙った?”」

「はい?」

 

 

 フルコースを楽しんでもらった後、私はヒフミさんを執務室に呼び出した。少し注意しておかなくてはならないことがあるからだ。

 

 

「ヒフミさんフルコースは楽しんでもらえましたか?」

「はい!味もそうですがペロロ様の絵がとても上手で!」

「ふふっ。それは良かったです。…今日呼び出したのはヒフミさんにお話があるからです」

「お話ですか?」

「はい……アズサさんに海を見せたいからといって戦車を強奪するのはやめてください」

「……ど、どうして誰にも話していない私の考えを……」

 

 

原作ではヒフミさんはエデン条約で忙しい中、正義実現委員会から戦車を強奪して、華麗なドリフトで海に行ってしまうのです。

アズサさんに海を見せたい気持ちは痛いほど分かります。彼女の虐げられていた過去を知っている私だからこそより共感できます。ですが我が校の生徒である以上、アウトローはやめていただきたい。問題児はあの2人でお腹いっぱいです。

原作で桐藤ナギサはヒフミさんに対して偏愛を持っていましたが私にはありません。皆等しく私の可愛い後輩達です。だからこそ私はヒフミさんの暴走?を止めなければならない。

 

 

「戦車は私の私物であるマウスやティーガーなど何でも貸し出しますので」

「いいのですか!?」

「はい、強奪されるよりはマシですから。ですが貸し出す代わりに正義実現委員会のツルギさんとマシロさんも連れて行ってくださりますか?」

「私は大丈夫ですけど……」

「ありがとうございます。彼女達にも青春を味わってもらわなければいけませんから」

「……ナギサ様は青春を味わえていますか?」

「私ですか?とっくの昔に味わっていますよ」

 

 

 ヒフミさんの質問にニコリと笑いながら返した。するとヒフミさんの表情が少し沈んだ気がしたが気のせいだろう。

 その日は数日後に訪れるエデン条約のために、最終調整のようなものをして業務を終えた。

 

 久しぶりの就寝だ。慣れているとはいえ4徹は体に悪い。しかし私がいなければトリニティが崩壊してしまうのも事実。そんな現実が私を地獄へと落としていく。

 

 自分の家で勉強机の引き出しを開ける。プラスチック製のボールペンの芯を引き出しの底に開いた穴に入れて、二重底を外す。

 もしもこれ以外の方法で無理矢理開こうとすると二重底に挟んでいたノートは燃え、頭上についているスプリンクラーが家を燃やす前に消火してくれる。

 この日記帳は誰にも見せてはいけない。この世界で、この日記の価値は何よりも高いだろう。なぜならこのノートはこれからの未来…原作について記されてあるのだから。

 

 そんなノートを開き、これからの予定を脳内で組み立てていく。

 

 襲撃はエデン条約調印式。強襲方法は巡航ミサイル。結果として先生が撃たれて数え切れないほど生徒が怪我をする。私はそのどちらも防ぐ使命がある。

 だからこそミレニアムに出資して、エンジニア部のスポンサーのようなものをしている。その結果全員を守れるほどの防衛装置を開発させているのですが、自爆機能を付けないか不安です。

 まあ、エンジニア部だけでなくミレニアム全体に出資しているのでユウカさんが止めてくれるはず……たぶん。

 そして最終目標はアリウスを救うこと。アリウススクワッドだけでなく、アリウス生全員に普通の生活をさせてあげなければならない。どれだけ反対されてもだ。

 彼女達を見ていると前世を思い出してしまう。私……俺が弱いせいで助けられなかった子供を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 全身機械の忍者はボロボロで、今にでも崩れそうなビルの中を走り回り、他のビルへと跳躍で移動する。

 それを追うように錠前サオリはその辺に落ちていた廃材を投げつけ、同じように跳躍で移動する。

 

 壁すらない屋上に着地した忍者は刀を投げつけ、何もない場所から取り出したデザートイーグルをサオリに向けて発砲した。

 空中にいたサオリは飛んできた刀をキャッチして、デザートイーグルの弾丸から自分を守る盾のように使い、弾いた。

 

 サオリが着地したと同時に忍者は弧を描きながらすごい速度で迫ってくる。ジャブなどのボクシング技を小出しした後、狙ったように回し蹴りをサオリの脇腹にぶち当てた。サオリはそのダメージを無視しながら忍者の足を掴み、持っていた銃を忍者の頭に向けて発砲した。

 しかし首を動かすことで回避した忍者は掴まれている足を起点に、胴体を回転させ、踵落としを決めにいく。それを銃でガードすることでダメージを抑えることには成功したが腕の骨が折れたと判断したサオリは銃を捨て、左足で蹴りを打ち込み、持っていた足を下に叩きつける。

 ボロかった床に忍者は貫通して、落ちていく。それに追撃するために腰に付けていたグレネードを放り込み、忍者は爆散した。

 

 

「君も死ぬのにも殺すのにも慣れてきたね。それに強くなった……手段を問わなければヒナを倒すことぐらいは可能だろう。と言っても本気のヒナは無理かもしれないがな」

 

 

 サオリが後ろを振り向くと爆散したはずの忍者が両手を叩きながら立っていた。

 金色のFOXがサオリの夢の中で今日も修行をつけていたようだ。もちろん本来の姿ではないが。

 

 

「そうか……私は姫を……アツコを守れるのか?」

「断言させてもらおう……守れないと!」

「なに!?お前が言ったんじゃないか!修行を受ければ姫を守れると!」

「ああ、言った。だからお前は姫を守るための力を手に入れた。しかしお前には足りないものが数え切れないほどある」

「それはなんだ」

「お前に足りないものは、それは――情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さ!そして何よりも ―― 速 さ が 足 り な い !!」

「速さが足りないのか……」

「冗談だ。本当のことを言うと覚悟が足りない」

「覚悟だと……死ぬ覚悟なら最初からできている」

「甘いぞサオリ!貴様は真の強者の覚悟を知らない。」

「真の強者だと?それは誰のことを言っている。ヒナか?ツルギか?マダムのことか?それとも先生というやつのことか?」

 

 

 こいつは何もわかっていないと言わんばかりにため息をついた後、何処からともなく出現させた椅子に座る。すると空から小さなシマエナガが飛んできてサイボーグ忍者の格好をしたセイアの頭に乗っかった。

 

 

「その誰でもない。私が言っている覚悟とは誰しもが持っているのにも関わらず、その覚悟を発揮できる人がごく僅かなんだ。それは誰かを助けるという覚悟。君の場合は自分が死んでもいいから姫を助けると考えているね?それは死ぬ覚悟であって、助ける覚悟ではない」

「それは……」

「死ぬ思いで助けるのと、死んで助けるのでは意味が違ってくる。本当に覚悟がある人は優しい人なんだよ。君のは自暴自棄に近しいものだ。優しさを持っているからこそ、己よりも強い敵に立ち向かい、弱きを守ろうとする。真なる覚悟は誰にでもあるが、誰もその覚悟を発揮することはできない……普通の人間には」

「……貴様は普通の人間じゃないと言いたいのか?」

「私が普通の人間ではないことは正しい。しかし私には勇気や覚悟はない。そんな真っ当な人間なら私はここにいないだろう。私が言っている人物は私と壊れ方が違うんだ。私は体と心が生まれつき壊れていた。しかし彼は心だけが壊された。

その違いは似ているようで別物。まあ、最初から壊れている者でも覚悟を持つことはできるがね…」

 

 

 そう言いながら指パッチンをすると滅びた街は消え、何もない真っ白な空間に塗り替えられた。

 

 

「その優しい覚悟を見たいのならエデン条約調印式を予定通り襲撃してみることだ。きっと彼なら君に見せてくれるはずさ。ベアトリーチェを裏切るのは襲撃後にしたまえ。

……それはそうと、げろしゃぶは夢の中にまで現れるようになったの?」

 

 

 そう言い残し、霞のように消えた。それと同時にサオリの意識は現実世界という残酷で不条理で救いがない世界に戻される。

 

 硬いベッドに雰囲気の悪い空間、窓から差し込む光があまりにも眩しくて目を塞ぎそうになるが、彼女は自分の目で外を見ようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


おまけ

3人のテスト勉強

 

 

 

 

「ここはcosθを使って角度を求めて、こっちは2で割ることを忘れていますね」

「もう勉強は疲れたな〜ゲームしようよ」

「ミカさんが赤点ギリギリだから教えているのですが?このままではティーパーティーになれませんよ」

「暴力で解決するから大丈夫だよ☆私よりもセイアちゃんの方が勉強させた方がいいんじゃないの?勉強してるところ見たことないよ?」

「君は本当に馬鹿だなぁ、私は未来予知により答案を知っているから勉強をする必要がないのだよ」

「は?何それズルじゃん!ナギちゃんもそう思うよね?!」

「いえ、私はセイアさんより点数高いので嫉妬すらしませんね」

「なんで答え知ってるセイアちゃんより点数取れるの?」

「国語の問題で答案そのままの答えですと怪しまれるのでいくつか空白を作っているからだそうです。私は前世は普通でしたが幼少期からスパルタで勉学に励んでいたので95から100までしか取っていませんね。そのおかげで射撃などの実技試験も免除されていますし」

「うぅ、チーターとプロに挟まれた気分……」

「私はいつもゴリラとキツネに挟まれていますけどね」

 

 

その後ミカは100点満点の実技試験を300点で合格してペーパーテストが免除された。


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