ティーパーティーに転生した3人組   作:お前ら人間じゃねぇ!!

7 / 14
修行

 

 

 補習授業部合宿用校舎内にある綺麗になったプールでミカさんと先生は会話している。私はその様子をシマエナガ君に付けた盗聴器で聞いていた。

 

 

「百合園セイアは裏切り者です。見つけ次第殺すことをお勧めします」

 

 

 ミカさんは一体何を仰っているのでしょうか……殺すことには賛成しますが裏切り者はアズサさんのはずでは?

 先生も困っているではないですか。事前にカンペ通りに喋るように言ったのに……

 

 

「裏切り者はアズサちゃんだけど、あの子は悪くないんだよ。全てベアトリーチェって名前のクソババアが元凶だよ。だからあの子を守ってあげてね。そしてセイアちゃんはそのベアトリーチェより性格が悪いから殺すべきだよ☆」

「“……同じティーパーティーだよね?”」

「…動物園には私のような兎もいるけど、兎を食べる狐もいるじゃんね。それと同じだよ☆」

 

 

 ミカさんが兎なら私はノミ以下の存在になるのですが……あとミカさんは兎は兎でも速さと破壊力を持ったラビットタンクですよ。

 

 

「“……それでセイアって子が君に何かしたの?”」

「セイアちゃんは……私達の約束を破ったんだよ」

「“約束?”」

「…セイアちゃんはね……私のナギちゃんが私のために愛情を込めて作ってくれた誕生日ケーキを1人で食べたんだよ。それもわざわざご丁寧に「ナギサの作った苺のケーキは美味だった。おや?ミカは食べていないのかい?」って書いた手紙を送りつけてきたんだよ!!あのクソ狐は!!」

 

 

 そのケーキは大衆の前で駄々を捏ねて私に作らせた物でしょう。それにセイアさんに食べられた後にチョコレートケーキを焼いてあげたでしょう。なんですか?苺のケーキが食べたいのですか?その辺の店で買ってください。

 

 

「“その程度で殺すのは……”」

「その程度!?!?私からすれば狐狩りを始めるには十分じゃんねぇぇ!!」

 

 

 勢いのままプールを破壊しないでください。先生を殺さないでください。ケーキなら幾らでも焼いてあげますので暴れないでくださいよ…

 

 

「あああああああ!!!」

「“お、落ち着いてミカ”」

「……」スッ

「“うわぁ!いきなり落ち着くな!”」

 

 

 DEATHが書かれたノートに名前を書いてもよろしいでしょうか?

 

 

「さて、本題に戻るじゃんね。その前にシー君に付いてる盗聴器を壊してからにするね」

「“シー君?盗聴器?”」

 

 

 その声を最後に音は途切れてしまった。シマエナガ君はミカさんの超スピードで捕まえられて盗聴器を破壊されましたね。野生の勘というものは厄介ですが仕方ありません。諦めて第二回補習授業部追試テストを作成しましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やっぱりシー君に盗聴器付けてたか〜、ナギちゃんったら私を信用してないよね。

 

 

「驚かせてごめんね、先生。シマエナガのシー君にナギちゃんが盗聴器付けてたから、破壊しておこうと思ってね」

「“わざわざ破壊したってことはナギサには聞かれたくない内容?”」

「流石先生、察しがいいね」

 

 

 本当に察しがいい。少し不気味だと思う。

 

 

「先生はナギちゃんが大きな力を手に入れて何をしようとしてると思ってる?」

「“大きな力?”」

「あー、そういえばトリニティについて説明するのは私の役割だったの忘れてたや。

このトリニティ総合学園はたくさんの分派が集まってできた学校なんだよ。パテル、フィリウス、サンクトゥス……この三つの分派がトリニティの中心。その三つの分派を監視する救護騎士団とシスターフッドなどを含めた大小様々な派閥がいくつもあるの。

そんな派閥同士が今のトリニティとゲヘナのようにお互いを敵視して、毎日毎日、紛争ばっかりの時代があったんだって。そこで、もうこれ以上は戦いを辞めて仲良くしましょうっていう約束をしたの。

私たちはもう戦わなくてもいい。一つの学園になろう……そんな話をしたのが、……何会議だっけ?まあ、1回目の会議。

それによって作られたのが今のトリニティ。今は昔の分派同士での敵対がないわけでもないけど、お互いを嫌っている生徒は少なくない。

その会議も、円満で平和に終わったわけじゃなくて……その時反対していた一つの学校があったの。それが『アリウス』

連合になって強大な力を持ったトリニティ総合学園は、アリウスを徹底的に弾圧し始めた。あまりにも大きな力を持ちすぎると、その強さを確認したがる……なんていうのはよくある話で。つまるところ、アリウスは悲しいことにちょうど良いターゲットだったって言えるかもしれない。そしてアリウスは潰された。

トリニティ自治区から追放されて、今は……詳細は分からないけど、キヴォトスのどこかに隠れているみたい。

そうして存在すらも知られず、歴史の闇に葬られたのがアリウスだよ」

「“さらっと言ってたけど…アズサがその分校の出身なんだね?”」

「うん。ナギちゃんが進めているエデン条約はさっき話した会議の再現なの。ゲヘナとトリニティが合同でETOという新しい武力集団を作ったらどうなると思う?」

「“1回目の会議の再現。邪魔するものは徹底的に追い詰められる”」

「ピンポーン!せーかい!それだけ大きな力があれば気に入らない人を従わせる事ぐらい簡単だよね。

それに連邦生徒会長がいない今、ナギちゃんはその力で何をしようとしているのかな?」

「“……ナギサは気に入らないという理由で人を傷つける生徒じゃないよ”」

「……その根拠は?」

「“ミカが前に言ったでしょ。ナギサは優しいって”」

「……ふふ、ふふふはははは、合格だよ先生。なんだか顔つき変わった?」

「“ナギサに言われたことを自分なりに考えてみたんだ。確かに結果的には良かったけど、一歩間違えれば生徒たちを危険に合わせる行為だった。それにアビドスの問題にヒフミを巻き込んだのも、ナギサからすると子供を利用する悪い大人に見えても仕方がないと思ってさ。

だから自分自身を見つめ直した。大人と言っていた自分が1番子供だった。子供であるはずのナギサが1番大人だった。

私はもう道を間違えない……とは言えないけど、生徒に危ない道を進ませるのではなく、自分が先頭に立って安全な道を教えていくことにした”」

 

 

 その言葉を語る先生はとても良い顔をしていた。憑き物が落ちたような、しこりが取れてスッキリしたような顔。アズサちゃんを助けるには十分な覚悟を持った顔だ。

 きっと先生もナギちゃんに変えられた1人になってしまったんだろう。気持ちはわかる。1番初めに変えられた私だからこそ理解できる。

ナギちゃんかっこいいもんね……優しいもんね……可愛いもんね……

 

 

「先生……」

「“どうしたの”」

 

 

 私は振り返った先生に僅か数センチのところまで拳を突きつける。その速さはまさに神速とも言える速さを持っていたと自負できる。

 

 

「ナギちゃんは……私の物だよ?」

「“オーケー、ミカ。落ち着こう。私先生、ナギサ生徒。私はナギサに好意を持っていない。自分のダメなところを教えてくれた恩人としか思っていない!”」

 

 

 そう言いながら汗をかいている先生の顔を舌で舐め、汗の味を確認する。

 

 

「この味は……嘘をついている味じゃんね先生!!」

「“ 逃げるんだよォ!スモーキーーーーーッ!! ”」

「逃すか!!私の南斗水鳥拳を見せてやるじゃんね!」

「“なら私の学生時代に1000回以上練習した北斗神拳を見せてくれる!!”」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方少し前のサオリの夢の中。

 

 

「私が誰だか知りたくはないかい?」

「誰でもいい。失せろ」

「自己紹介をしようか私はサイボーグ忍者!蛇を狩る狐さ!」

「サイボーグとはなんだ。それと忍者とはなんだ」

「忍者とは……カラテで倒されたり、狐が中に入ってたり、極道と殺し合ったり、感度3000倍の拷問に耐えたりする人たちのことだ!」

「私はお前が何を言っているのかさっぱりわからん」

 

 

 私がサオリの夢の中に入って数日が経つ。夢の中なので姿を変えてセイアとバレないようにメタルギアのサイボーグ忍者の姿になりながらサオリを寝不足で悩ませていた。

 

 

「時にサオリ、君は強くなりたくないか?」

「なんだ、悪魔との契約でもするのか」

「違う。夢の中で修行をつけてやろうと言っているのだよ」

「夢の中で訓練をしても意味がないだろう」

「試してみるかい?」

「やってみろ」

 

 

 そう言われたのでサオリの真後ろに瞬間移動して持っていた刀でサオリの首を簡単に落とした。

 

 

「死んでみた経験は実践でも役に立つぞ」

「………ハァハァハァ!!」

 

 

 汗がダラダラで殺された恐怖感から言葉も喋れないらしい。貧弱者め……私は夢の中で10000回以上も死んだというのに…

 

 

「どうだいサオリ。この世界なら殺されても殺しても生き返る。痛みも無く、お腹も空かないのでずっと戦える。君のお姫様を自由にするには力が必要なのだろう」

「ハァハァハァ………わかった。その契約に乗ってやる。そのかわり、私を強くしろ。最低でもゲヘナの風紀委員長と単独で相打ちに持ち込める程度に」

「飲み込みが早くて助かるよ。ヒナ相手に相打ち?君の才能なら勝つことすらできるかもしれないよ」

「なに?本当か!?」

「嘘は言わない主義でね。じゃあ死に慣れようか」

「えっ?」

 

 

 次は刀で心臓を貫き、絶命させる。しかし次の瞬間には傷が塞がり、サオリは生き返っていた。

 

 

「カルペ・ディエム。この言葉を覚えていろ。この言葉の意味は死を考えるな。今この瞬間を楽しめ…だ。全ては虚しいのだろう。しかし今を楽しまない理由にはならないぞ」

「カルペ・ディエムか……全く楽しくないな…」

「だまらっしゃい」

 

 

 今度は上半身と下半身で分離させる。

 

 

 その後も焼死(ブレイズ)病死(シック)出血死(ブレイド)衝突死(ブレイク)精神死(ロスト)拷問死(ペイン)断罪死(パニッシュ)の七つの死因を計100回味合わせた。

 

 

 

「そろそろ休憩にしようか」

「うっぐ、ひっぐ……いぎででよかっだ…」

「明日もあるからね」

「嫌だぁぁあ!!!」

「安心したまえ、明日は殺す訓練だ。死ぬことは100回も超えないはすだ。それよりも少し話をしよう。

あれは今から36万・・・いや、1万4000年前だったか。

まぁいい。私にとってはつい昨日の出来事だが…君達にとっては多分明日の出来事だ。彼には72通りの名前があるから、なんて呼べばいいのか・・・。確か、最初に会った時は・・・イーノック!そう。あいつは最初から言うことを聞かなかった。私の言うとおりにしていればな。まあ・・・いい奴だったよ。そんな装備で大丈夫か?大丈夫だ、問題ない。ヌポ・・・キリッドン!ダッ!ダッ!カカッ!イェェェェア!ウッ!ウェッ!オッ!

神は言っている、ここで死ぬ定めではないと。

イーノック。そんな装備で大丈夫か?一番いいのを頼む!スゥゥゥゥ・・・ピーン ((フワッ))シュゴォーエェェェェェェエェェェェ

神は言っている、全てを救えと」

「お前は一体何を話しているんだ。擬音まで口に出して」

「つまり私が言いたいのは……神は言っている、ここ(エデン条約)で死ぬ定めではないと。君はエデン条約が終わっても生きているはずだ」

「何を根拠にそんなことを…」

「強いていうなら……なんとなくかな。それじゃあサイボーグ忍者はクールに去るぜ」

 

 

 私はサオリの夢の中から脱出して予定通り聖遺物を取りに行った。

 

 

 

 

 

 






シマエナガへの呼び方

ナギサ シマエナガ君
ミカ シー君
セイア げろしゃぶ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告