ティーパーティーに転生した3人組   作:お前ら人間じゃねぇ!!

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読者さんが言うにはボーボボとジョジョを反復横跳びしている作品と言われたので
ギャグとシリアスを混ぜている作品が苦手な人はブラウザバックをお勧めします。


苦労人ですから

 

「……なるほど、ご説明ありがとうございます。ヒフミさんが仰っていることはよく分かりました。その先生の言葉が本当だとすると、このまま聞き流すわけにはいかなそうです。例の条約も目前に迫っていますし、今は下手に動くわけにはいかないのですが……ただ、そのPMCという企業の存在が、我が校の生徒たちに良くない影響を及ぼしそうなことは確かですね。今回はちょっとした例外ということで、何か考えた方が良さそうです」

「あ、ありがとうございます、ナギサ様……」

「そうですね……ミカさんを送り込みたいところですがあのお馬鹿さんは絶対にやらかします辞めておきましょう。……確かちょうど、牽引式榴弾砲を扱う屋外授業の予定があったはずです。せっかくですし、ちょっとしたピクニックなどいかがでしょう」

「えっと、牽引式榴弾砲ということは……L118の…?」

「いいえ、今回は少し授業の内容を変更してM777*1を使用します。他ならないヒフミさんですし、全てお任せします。細かいことは私の方で。恩は巡り巡るもの……ヒフミさんがいつか私に恩を返してくれる時を、楽しみにしていますね。ふふっ」

「あ、あぅ……」

「それにきっと……いえ、間違いなく、『シャーレの先生』には貸しを作っておいた方が良さそうですからね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえねえ、ナギちゃん!さっきヒフミちゃんに言った台詞って原作から改変してたよね?愛じゃなくて恩にするなんて……」

「ナギサ、何故L118ではなくM777を使うんだい?カイザー相手では些か強すぎるじゃないか?」

 

 

 ヒフミさんのお願いを聞いた後、執務室へ戻り、紅茶を飲んでいるとゴリラとキツネが絡んできた。本当にこのバカ2人死んでくれませんかね。

 

 

「あんな恥ずかしくて死にそうになる台詞を吐けるわけないでしょう!それと私の可愛い後輩にお願いされたのですから全力を尽くさなくては失礼でしょう。そんなことよりも貴方達も書類整理ぐらいはやっていただけませんか?」

「……ごめんねナギちゃん。私今からウイちゃんとご飯に行くから」

「すまないねナギサ。私も今からサクラコ達と女子会をするんだ」

「いえいえ、死んでいただけるだけで結構ですので」

 

 

 私の名前は桐藤ナギサ。彼女達の名前は聖園ミカ、百合園セイア。全員転生者です。

 

 私達は同じアパートの火事で焼け死んだはずですのに何故か私達はブルーアーカイブに登場するティーパーティーの3人組に転生していました。

 

 幼少期の桐藤ナギサに転生した私はできる限り桐藤ナギサになれるように努力を積むことで立ち振る舞い、口調、礼儀、勉学、これらの全てを本物のナギサそっくりに近づけていたのですが、途中で辞めました。

その理由はこの2人です。

 

 この世界での幼馴染であるミカさんはふざけていました。幼少期の頃から破壊と殺戮の限りを尽くす化け物のような人です。そんな事を彼女に言うとノリノリで「私が化け物?違うじゃんね、私は悪魔だ…!」と言う人です。

 

 トリニティに入学してティーパーティーに所属した後に知り合ったセイアさんは原作とは違い武闘派でした。数秒先の未来を見て相手の行動を全て潰して、何もできなくなった相手を煽るゴミです。遠くの未来を見てもより地獄に落とそうとするタイプの愉悦部でもあります。

 

 私はこの2人に振り回される苦労人とでも思っていてください。

 

 

 そんな私達でも三つだけ決め事をしています。

 

・原作を予定通りに進める。

 

 これはプレナパテスなどのバッドエンドになる可能性があるので正史通りに進めておきたいからです。と言っても殆ど守られていないが本筋は変わっていないのでよしとする。

 

・人を殺してはいけない

 

 ゴジラ(ミカ)愉悦部(セイア)が人を握りつぶしたり、誰かの恋人を殺したりしないかと心配になりましたから。私は非力なので人殺しなんてできませんよ。……本当ですよ?

 

・楽しく人生を謳歌しましょう

 

 上の2つを破らない限り、何をしてもいい。

 

 最後の一つは私が決めたものではなく、一対二の多数決で決められたものです。私としてもこの決め事が嫌なわけではないですし、各々が自由に楽しむ事は悪いことではないと考えています。しかしゴミ2人の後始末を私がするのだけは納得がいきません。

 

 

 

 

「ウイさんとご飯を食べに行くのならばこのお手紙を渡していただいてもよろしいですか。それとサクラコさんに例の件は後日お話しするので明日の14時に執務室へ来ていただけるようにと伝言をお願いします」

「ナギちゃんは昔から生真面目だな〜」

「そうだぞナギサ。君はもう少し肩の力を抜くといい」

「私が苦労しているのは誰のせいなのでしょう?理解していますか?」

「だってさ、言われてるよセイアちゃん」

「おや、自分に言われている言葉すら理解できないほど脳みそを筋肉に侵されてしまったのかい?ミネを呼んであげよう。きっと彼女ならミカのプロテイン脳みそを治せるはずだ」

 

 セイアさんがミカさんを煽っているとミカさんが目にも止まらない速度で動き、セイアさんの目を潰しにかかるがセイアさんはマトリックス回避で避けた。

 きっと未来を見て先に回避したのでしょうが私には見えなかったので予測しかできませんね。

 

「あはは、喧嘩ならいつでも買ってあげるよセイアちゃん」

「私が売っているのは口喧嘩であって暴力的な喧嘩を売った覚えはないのだがね。仕方がない……ナギサ!見ていてくれたまえ!今ここでティーパーティー最強の座を決めてやる!」アラブルタカノポーズ

「見ててナギちゃん!明日の朝刊は『ティーパーティーの百合園セイア、聖園ミカに屈する』になるから!」アラブルグリコノポーズ

「そうですか、お二人とも……私が仕事をしているのを理解していますか?黙っていてください!」

 

 

 懐からロールケーキを2本取り出して強引に2人の口に捩じ込む。

 

 

「貴方達に喧嘩している暇なんてないでしょう。待ち合わせに遅れるのは失礼ですよ。ミカさんが奢る場合は領収書を貰ってきてください。セイアさんも女子会という事はお泊まりなのでしょう?ロールケーキを幾つか包んだので持っていってください!」

「はーい、ママ」

「すまない母さん」

「誰が貴方達の母親ですか!というか私は元男ですよ!」

 

 

 ナギサとして振る舞ってきた影響で女性の作法は完璧ですが私は男です。最初の頃は女の子になった自分に恥ずかしくなっていましたが今では諦めがついています。

 ちなみにミカさんとセイアさんは前世で暮らしていたアパートが同じというだけで名前すらも知らない。性別を聞いてもはぐらかされる。私だけ言ったのは失敗だったかなと今では思っていたり…

 

 ミカさんとセイアさんの2人を見送り、執務室に設置した小型冷蔵庫からトリニティサイダーという炭酸飲料を取り出して、プルタブを開けて勢いよく喉へ流し込む。

 

 

「プハァ!紅茶も好きですが炭酸飲料も最高ですね」

 

 

 ジュースを飲みながら仕事を続けて書類も一段落落ち着いてきたところでスマートフォンでとある人物に連絡を取った。

 

 

「お忙しいところすみません。桐藤です」

『ナギサ?どうしたの急に?もしかしてアコがまたやらかした?』

 

 

 私が連絡を取った相手はゲヘナの風紀委員長空崎ヒナさん。エデン条約を内密に進める上でゲヘナの生徒会長であるバカマコトを頼るよりも人格も人徳も行動も実力も信用できるヒナさんを選んだ事が知り合ったきっかけでした。

 彼女も馬鹿な部下や上司に悩まされているという、私と似た環境なのもあってお互いの愚痴をこぼしているうち仲良くなっていきました。

 

 

「いいえ、アコさんに関することではなくアビドスに関することです」

『アビドスなら今から行く予定だけど…』

「ヒナさんの目的もアビドス高校の生徒達の目的も全て把握しています。カイザーPMCを私が一掃するので残った敵をお願いできますか?」

『……耳が早いわね』

 

 

 アビドス生達の目的は囚われた小鳥遊ホシノさんを助けること。先生の目的も同上。ヒナさんの目的はカイザーPMCの殲滅……まあ、これは目的というよりも借りを返すためですけど。

 

 

「可愛い大切な後輩にお願いされましたから。それに先生という方にも興味がありますし……どうでした?ヒナさんの目から見て先生は信用に値する人物でしたか?」

『……まだわからない。でも悪い人ではないと思う』

「……そうですか。しかし驚きましたよ。まさかゲヘナの風紀委員が先生に足を舐めさせていたなんて…」

『……隠しカメラでも付けた?つい数分前の出来事なのだけど』

「前にも言ったではありませんか。私はいつも先に知っているだけですよ」

『ならアコが暴走してアビドスに行くこと知っていたの?』

「……それはノーコメントにさせていただきますね。では今から榴弾砲の準備がありますので失礼します」

 

 

 電話を切り、部下に運ばせていた地点まで移動するためにバイクに跨り移動する。バイクは前世からの趣味の一つであり、車を自分以外の人間に運転させるのが嫌いな私でも1人で移動できる手段として使用している。

 法定速度を考えていない速度で移動しているが緊急事態なので見逃してもらう。もしも事故ってもキヴォトス人の肉体は頑丈なので死ぬ事はないでしょう。

 そんなことを考えていると目的地に到着すると、そこには何台ものM777が並べられており、ヒフミさんが大雑把ではあるものの必要な指揮を取っていました。

 

 

「あ、ナギサ様!」

 

 

 私に気がついたヒフミさんは手を振りながらこちらに駆け寄ってくる。その姿はまさに天使そのもの。あの2人によって傷つけられた心を癒してくれるオアシス。

 

 

「榴弾砲の準備はできていますか?」

「それがM777の説明書を読みながら準備をしていたのですが照準を合わせるのが難しくて…」

「初めてなのですから仕方ありません。この榴弾砲は右に5°修正。そっちは上に8°、左に2°。こっちは下に5°」

「「「はい!」」」

 

 

 私の指示に従った一般トリニティ生達が榴弾砲の準備をしている間にスマートフォンで時間を確認する。少し早いですがヒナさんを巻き込むわけにはいきませんし、やってしまいましょう。

 

 

「皆さん!撃ち方よーい!!」

 

 

 辺り一帯の雰囲気に緊張が走る。よく見ると冷や汗をかいている生徒も見受けられる。きっと初めての操作やアビドス自治区での演習ということで失敗を恐れているのでしょう。

 とても良い雰囲気です。この適度な緊張なくして榴弾砲は撃てませんから。

 

「ファイア!!」

 

 ここから私の原作介入が始まった事を祝福するような爆発音が轟いた。

*1
L118が105mmにたいして155mmの榴弾砲


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