3月27日付で、本学国際学術院所属の助教1名を訓戒といたしました。
1.経緯
対象教員が、助教として採用される前の若手研究者の時の行為に関して、2022年6月に文部科学省および日本学術振興会に対して通報がなされ、本学において調査した結果、研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠っていたとして、研究活動に係る不正行為であったと認定いたしました。
2.概要
次の論文A,B,Cおよび学会発表Cにおいて、各研究成果の中に示されたデータや調査結果等に関して、不適切な取扱い(論文の内容と分析したデータの内容との齟齬や、インタビューにおける発言と反訳データの不一致が複数箇所あること等)が指摘されており、これを「改ざん」と認定しました。また、論文Aで示した分析結果の表を、論文B,Cに出典を明記せずに引用していることから、「その他の不正行為」として、「自己盗用」と認定しました。
これらの不正行為については、意図的に行われたとまでは認められず、助教として採用される前の本学大学院生等であった時の研究成果である一方、学術論文を投稿する研究者の振る舞いとして、基本的な注意義務を怠っていたものとして、訓戒の処分としました。
【論文A】早稲田大学博士学位論文
(2020), “What is Higher Education for? Educational Aspirations and Career Prospects of Women in the Arab Gulf,” Waseda University, Doctoral thesis.
【論文B】学術誌「Gulf Education and Social Policy Review」掲載論文
(2020), “For Love, Money and Status, or Personal Growth? A Survey of Young Emirati Women’s Educational Aspirations,” Gulf Education and Social Policy Review, 1(1).
【論文C】紀要「早稲田教育評論」掲載論文
(2021), “Does What You Study Matter? Comparison of Career Aspirations Between Female Students in Arts and Science Streams in the UAE’s Higher Educational Institutions,” 「早稲田教育評論」, 35(1)
【学会発表C】Eighth Biannual Gulf Comparative Education Society (GCES) Symposium 発表資料
2018-04-07, “What is Higher Education for? A comparative study between United Arab Emirates and other Gulf countries” (Eighth Biannual Gulf Comparative Education Society Symposium 発表資料)
3.本学の対応
博士学位論文でもある論文Aについては、本学規定に基づき、当該博士学位を授与した本学教育学研究科において、論文訂正の機会を与え、期限内に適切に訂正が履行された場合には、本学リポジトリに登録されている博士学位論文に関する内容を、訂正確認報告書を添付のうえ、修正します。あわせて、教育学研究科において学位審査体制を再点検いたします。また、それ以外のすでに学術誌等に掲載されている論文等については、対象教員に対して取下げの対応を勧告いたしました(ただし、学外の学術誌の編集委員会の判断で修正可とし、取下げない場合は当該の学術誌の編集委員会のご判断にお任せすべきと考えております)。
本学としては、大学院生に対する研究倫理教育の義務化、教員に対する研究倫理教育の徹底、教職員に対する本事案の共有および注意喚起を行い、今後、こうした不正行為を未然に防ぐために、再発防止に努めてまいる予定です。
4.調査結果および対応の詳細
詳細は、別紙「研究活動に係る不正行為事案の調査結果について(報告)」のとおりお知らせいたします。
URL:https://waseda.box.com/s/y5u66mls9q9qyrah6uz0bjnx91ns6bc1
この度の不適切な行為により皆様の信頼を損なうとともに、多大なご迷惑をおかけしましたことは慙愧に堪えません。深くお詫び申し上げます。
以 上