沖縄で出会った女性Ｓ様が「私、３９歳なのに全然ちゃんとできない！」と言って、出会い頭にわんわん号泣した。こどものように顔をぐしゃぐしゃにしながら、奥武山公園で号泣した。本気で泣いた。泣きっぷりがよかった。私は大笑いした。笑ってもらえると救われますと言って、Ｓ様はニコニコした。一緒に珈琲を飲みながら話した。３９歳になるというのに、自分は全然ちゃんとできない。大人になれない。まともな社会人になれない。自分はダメな人間で、社会不適合者のゴミだ。Ｓ様は、そのようなことを話した。私は「俺も同じだ」と思った。俺も、社会不適合者のゴミ人間だ。だが、今、この瞬間は楽しい。今、この時間だけを切り取れば、俺たちは笑えている。

人間をコントロールするためには、恐怖を植え付ければいいのだと聞いた。弱者は恐怖で動く。これくらいできないとやばいとか、これを知らないと恥ずかしいとか、不安や恐怖を煽れば、都合よく相手を動かすことができる。我々社会不適合者は、その逆をやればいいのだ。これくらいできないとやばいと思ったら「やばくない！」と打ち消し、自分の好きに突撃する。恋も愛も難しいと思ったら「難しくない！」と打ち消し、自分の好きに突撃する。強者は恐怖で動かない。ジョイで動く。衝動で動く。ビッグなラブで動く。秘書検定なんか取るな。人間の秘所を暴け。己を責めるな。秘部を攻めろ。３５歳を超えたらなかなか転職は難しいだとか、そんな言葉に騙されるな。

アイドルが不倫をすると「こんなことをするなんて最低！」と周囲から罵倒されて、社会的に抹殺される。だが、えがちゃんが公衆の面前で裸になって逮捕されても「さすがえがちゃん！」となって褒められる。えがちゃんを好きな人は、えがちゃんをもっと好きになる。「いいぞいいぞ、もっとやれ！」と、みんな元気になる。罪を犯しても、事前のキャラ設定によって周囲の反応は全然違う。あいつならやりかねない。そう思われたら俺たちの勝ちだ。自分がダメなんだと思ってちゃんとしようと思って資格ビジネスやスピリチュアルにハマって「アーリートラウマが癒やされない」とか言うようになったら最悪だ。お前はすでに死んでいる。俺たちはこのままで完璧なんだよ。

好きは意外と繊細で、簡単に嫌いに負けてしまう。だから、常に意識をしないと消えてしまう。大事なことは反芻し続けること。悲観は気分。楽観は意思。嫌いに屈せず、好きで突破する。好きな人。好きな場所。好きな音楽。好きな映画。頭の中を、楽しいことでいっぱいにする。嫌いを反芻するのではなく、好きを反芻する。情報弱者は恐怖で動く。強者は恐怖で動かない。ジョイで動く。衝動で動く。ビッグなラブで動く。ちゃんとしていないのではない。ちゃんとしないをちゃんとやっているのだ。真面目に生きていないわけでもない。誰よりも、自分自身を真面目に生きているのだ。自分に合う場所はある。そっち側に行こう。自分に合わない場所で生きるのは地獄だ。

相手に変化を求めるものは、愛ではない。それは、ただのコントロールだ。社会不適合者は、絶滅危惧種のゴールデンライオンタマリンである。矯正の対象ではない。保護の対象だ。純粋な人間の部分を保ち続ける、重要な存在だ。ゴールデンライオンタマリンが人間になってどうする。我々人類には、明るい社会不適合者が必要だ。明るい社会不適合者を見て「ああ、俺もこのままでいいのだ」という圧倒的な肯定と解放のパワーを受け取りたいのだ。何がアーリートラウマだ馬鹿野郎。癒しを求めるな。お前が、癒しになれ。癒しは卑しい。爆発しろ。何者かになれないことが苦しいのではなく、何者かになろうとすることが苦しいのだ。俺たちは、このままで完璧なんだよ。