ようこそ実力至上主義の教室へ 9

〇変わっていく関係



 Cクラスの早朝は、異様な光景から幕を開ける。

 かるざわけいを中心に一つの輪が出来ているようで、その輪を形成する女子たちからは、どうようにも似たざわめきが起きているようだった。

「今日はずいぶんと遅い登校なのねあやの小路こうじ君」

 始業のチャイムまで5分を切っていたこともあり、隣人のほりきたすずにそう突っ込まれる。

「寝坊したんだ」

「へえ」

 興味無さそうに返事をした堀北。

 こちらの感情の無い会話とは違い、恵のグループはきゃいきゃいと盛り上がっていく。

「軽井沢さん、ひらくんと別れたそうよ」

「それで、妙にそわそわしてるわけだな。ビッグカップルの破局か」

「ご丁寧にクラス中に響くように話してくれるから、嫌でも内容が頭に入ってくるの」

 うんざりといった様子で、堀北は一度息を吐いた。それから言葉を続ける。

「あなた、平田くんや軽井沢さんと仲が良いみたいだし、知ってたんじゃないの?」

「知るわけないだろ。プライベートな問題なんて」

 合宿の段階ではまだ平田に切り出していなかったようだが、実行に移したらしい。

 学年の中でも一際目立っていたカップルだけに、そのもんの広がりはすごい。

 第三者がこの事実を聞いたら間違いなく驚くだろう。

 しかし、これで恵と平田のつながりは表向き消えたことになる。

 もっとも、それで女子グループの求心力が恵から失われるわけではないだろう。

 唯一例外があるとすれば、このクラス内に平田の心を射止める本当のパートナーが誕生した場合だが、そのケースでも恵が押しのけられるようなビジョンは見えない。

 仮にその女子が恵をないがしろにするような行動を取ろうとすれば、誰よりもまず平田がするからだ。

 そうでなければ、平田が偽りのカップルになってまで恵を救った意味がなくなる。

「で、どっちが振ったんだ?」

 オレは堀北にそう聞いてみた。

 この部分はオレ自身も知らないことなので、堀北には疑いようが無い。

「軽井沢さんの方みたいね」

「意外だな。良い男と付き合うことをステータスだと思ってそうなもんだが」

「そうね。少なくとも私はそう思っていたけれど……」

 一瞬、怪しむような目でオレを見たがすぐに自分かららした。

 オレの表情から得られる情報などあるはずがない。

 それをほりきたもよく理解し始めた証拠だ。

 しかしけいからひらを振った、か。

 元々恵から始めた偽カップル。どっちが振るも振らないも本来はない。

 だが恐らく平田から、その方が恵にとっては良いと打診があったのだろう。

 もし平田が恵を振ったとすれば、恵に問題ありとして恵の立場も危うくなっていたかも知れない。ともかく、Cクラスにとって2人の別れが衝撃的だったことは、今の周囲の様子からもよく分かる。

 ただ女子がすごいなと思うのは、そんな恋愛事情を堂々と話していることだ。

「え、え? かるざわさん新しい彼氏が出来たわけじゃないのに別れたの!?」

 しのはらの包み隠さぬ声が響く。

 いけどうたちが雑談しながらも、その会話に耳を傾けているのは明らかだ。

「あたしもさ、ステップアップしなくちゃって思ったわけ。ようすけくんに甘えるのは簡単なんだけど、自分で色々考えてみたくなってさ」

 ビッグカップルの破局は、Cクラスへの影響はもちろん、それ以外のクラスにも影響を与えることになるだろう。間違いなく平田を巡る女子のそうだつせんが行われる。

「よく恋愛をしようなんて気になれるものね。この学校のルールを考えれば、明日の保証なんてどこにもない状況だと分かりそうなものなのに」

「明日の保証がないからこそ、今を全力で楽しんでるのかも知れないだろ」

「それが他の人の明日を奪うことにならないのなら、否定する理由はないのだけれど……」

 一方、話題の一人である平田洋介はというと、いつも通りの優しい表情で、クラスの男女に囲まれるように座っていた。

 彼女に振られたとは言え、平田にみじめな印象がつくことは皆無だ。

 池や須藤がからかいに行く様子が無いのが立派な証拠。

 いや、あるいは……もはやそういうことは卒業した、と言うべきか。

 話を気にしている素振りは多少あるが、コソコソ陰口を言ったりといった様子は見られない。むしろオレと堀北の方がな会話をしているくらいだ。

 これまでの特別試験、そして前回の合宿。

 それらが未熟だった人間たちに、少しずつ変化を与え始めている。

 が、もちろん全員が一様に成長しているわけではない。

「よう平田~。おまえ軽井沢に振られたんだって~? どんまいどんまい!」

 場の空気を読めるようになった、そう思ったのだが、やまうちだけは違った。

 ヘラヘラと愉快そうに近づいて平田の肩をたたく。

 それを見た池と須藤が、ちょっと不快感をあらわにして近づいていくと、山内の両脇をそれぞれが抱える。

「おいなんだよ。おまえらも一緒に平田をなぐさめてやろうぜ。イケメンだって振られる!」

「悪趣味なんだよおまえは。やめとけ」

「はあ? イケメンが振られるところなんて、めつそうぐうできないんだぜ?」

 どうやまうちたしなめるも、聞き入れず反論する。

「悪いなひら、すぐ連れてくぜ」

「いいよ。事実だしね」

 不快感を示してもおかしくないものだが、平田は気にした様子を見せない。

「そう言えば……いちさんのこと、何か知ってる?」

 不意に、隣のほりきたから飛んできた話題はBクラスに関するものだった。

「ここ最近彼女に対する、ぼうちゆうしようのようなものが聞こえてくるようになったけれど」

「人気者をねたんだうそ、ってヤツじゃないのか? あるいはBクラスをおとしいれたい誰かの戦略とかな。誹謗中傷の内容は?」

「……口にするのは多少抵抗があるものもあるわ」

 そう言って、具体的に口にはせず、机の中からノートを取り出した。そしてそこにいくつかの文字を書いてオレに見せてくる。

ぼうりよくを起こした過去がある』『援助を受けて交際をしていた』『窃盗、強盗を行った』『薬物の使用歴がある』などなど。

 そこらの不良でも全ては経験していないだろうことが並んでいる。

「よくここまでひどうわさをばらいたもんだな」

「とてもそんな風に見える生徒ではないけれど……」

「噂を立てて流すだけなら、罪には問えないからな」

「そんなことないわ。めいそんは真実、嘘を問わず公然……不特定多数にてきした場合に適用される。訴えることは可能よ」

「社会ならまず間違いなく、それで成立するだろうさ」

 だがここは高校。未成年の生徒たちの間、閉鎖空間でのこと。

 全世界に発信されるインターネットに書き込んでいるわけでもない。

「到底罪には問えない、ってことね」

 社会的な罰則は無理でも、学校のさいりようで罰則を与えることは可能だ。だが噂を流した張本人、その特定は困難だろう。噂のたぐいを広めたのは自分ではなく人づてにそう聞いた、何となく日常の会話で聞いた気がする、と言われてしまえばそれまでだ。学校側も深く追及することは出来ず最終的にうやむやになるだろう。

 精々、これ以上不用意に噂を広めるなと注意することしか出来ない。

 何にせよ、一之瀬をつぶすための戦略が着実に実行されていることだけは確かだ。

 裏で糸を引いているのは、十中八九さかやなぎ。しかしその事実を知る者はまだ多くない。

「一之瀬は、それに対してなんて?」

「そこまでは知らないわ。彼女と親しいわけでもないし。それに、下手に踏み込めば私たちが仕掛けたと疑われるかも知れない」

「ま、ぼうかんしておくのが一番賢いのは事実だな」

「でも……いちさんにこんなちんな戦略が通用するかしら」

「と言うと?」

いくら悪いうわさを立てたところで、与えられるダメージは知れてるわ。一之瀬さんの学校内での評判は私だって知ってる。さっきあなたが言ったねたみだけで行うにはあまりにみじめな嫌がらせよ」

「なら、戦略ミスってことだ」

「そうね。でも、火の無いところに煙は立たない、とも言うわ」

「一之瀬が暴力の常習犯だったり、薬をやってたりするってことか?」

「全てじゃなくても、何かひとつくらいならあるんじゃない?」

 もちろん、可能性は極めて低いけれど……。そう付け加えた。

 確かにほりきたの言うように全てがうそや噂である証拠はどこにもない。

 さかやなぎが何かしら匂わせる発言をしていたことからも、これらに関する一部分にでも、事実が含まれているかも知れない。

「まぁ……考えて答えの出るものでもないわね。それよりも、合宿の結果を元に各クラスの状況が現状どうなっているのか、改めて出してみたの。見てもらえる?」

「え、興───」

「興味ないのは知ってるわ。いいから頭にだけ入れておいて」

「……そうしよう」

 強引にオレの机に置いたノートのページをめくった。


    1


 朝のひらけいの破局騒動も覚めやらぬ中、またもやいろこいでCクラスに事件が起こる。

「失礼します」

 放課後を迎え、それぞれ部活に行く者、帰宅する者などが現れ始める頃、意外すぎる人物が一人で現れた。

「こちらに、やまうちはるくんはいらっしゃいますか?」

 教室の中に残った生徒たちは、驚きながら一斉に山内の方へと目を向ける。

 これからいけと寮に戻ってゲームでもするつもりだったのだろう、山内は何かのゲームに関する攻略本を開いているところだった。

「え、俺だけど……何か用?」

 可愛かわいい子を見ればテンションを上げる山内だが、ぎもを抜かれたらしい。

 1年Aクラスのリーダー、坂柳が現れて山内を名指ししたのだ。

「少しお時間よろしいでしょうか」

「も、もちろん空いてるけどさ……」

「……ここではなんですので、階段そばの廊下でお待ちしていますね」

 他の生徒の視線が気になったのか、さかやなぎうつむき加減に廊下へ消えていった。

 一度静寂に包まれるCクラス。

「いやいやいやいや! ありえないだろ!」

 沈黙を破ったのは、指名を受けたやまうちそばにいたいけ

 ここにどうもいれば更に大騒ぎだったところだが、既にバスケ部の練習に向かっている。

 あまりに大胆な登場と誘いに、山内本人含め他の生徒も思考が追いつかない。

 ただ本能で動いている部分があるのか、山内はすぐにかばんを持った。

「悪いな! ちょっと用事が出来た!」

「あ、ああ……」

「待ちなさい山内くん」

「な、なんだよほりきた

 今にも教室を飛び出す勢いだった山内。

 その出鼻をくじくように堀北が入り口に立ちふさがる。

「もしかしたら、彼女はCクラスをおとしいれる何かをしようとしているんじゃないかしら」

「はあ? なんでそうなるんだよ」

「あなたが誘われるという事態が、異常だと言っているの」

 終始真面目な表情の堀北ではあるが、言っていることは直球、あまりに鋭い言葉のメス。

 常人なら、ほぼ間違いなくバカにされていると気づくレベル。

 しかしそこは山内、むしろポジティブだった。

「パンをくわえた転校生と街角でぶつかって恋に落ちる……そんな王道を知ってるか?」

「え? パン……街角?」

 何を言っているのか理解できない堀北がけんにしわを寄せる。

 確かに山内の発言だけを拾えば、何を言っているのか全くわからないだろう。

 ただ、合宿で坂柳と衝突して転ばせてしまった山内を見ていたオレには、そのときのことを言っているであろうことが推測できた。

「坂柳ちゃんが待ってるから行くぜ」

 堀北の制止を聞き入れるはずもなく、山内は歩き出す。

「もしこれがわなだったらどうするつもり?」

「どうするもこうするも、罠なんかじゃないって」

 全く信じようとしない山内。

「確かに俺はこのクラスのリーサルウェポンだ。でも、だからこそ大丈夫なんだよ。万が一罠だったら、そこはうまくやっとくから」

 何をどううまくやっておくのか、具体的な対策があるなら聞いてみたいところだ。

 十中八九、何も考えていないと思われる。

「……分かったわ。あなたが行くというなら、私には止める権利は無い。でも、クラスの内情にかかわるようなかつな発言だけはしないで」

「心配するなって。よくわかってるからさ」

 そう言って、やまうちはニヤッと笑って教室を出て行く。

 いけを含め、一部の生徒は慌ただしく山内の後をつけるように続いた。

「私たちも行ってみようよ」

 そう言って声をかけてきたのは、だった。けいせいあいにも声をかけたのか、2人も一緒だった。わざわざ断ることでもなかったので、軽くうなずいて席を立った。

 廊下に出ると、すぐに池たち数人の男子を見つける。

「あ、ストップストップ。こっちこっち!」

 オレたちが素通りしようとすると、博士はかせが気づいて呼び止める。

「そっちで今、二人が話してるからさっ」

「……え、何そのしやべかた

 博士が『ござる』口調じゃないことに気づいた波瑠加が、一言つぶやく。

「合宿で矯正されたみたいだな」

 博士が真面目な口調になったことを、オレが補足しておいた。

「なんていうか、ぼつ個性って感じ。まぁ、興味ないけど」

 波瑠加はすぐに博士からは興味を失くしたようで、オレたちは山内とさかやなぎに注目する。

「えぇと、それで話って何かな……」

 緊張した面持ちで話しかける山内。

 一方の坂柳も、どこかテレ臭そうにしながら左手で少しだけ髪をかき上げた。

 これを心理的な観点から読み解くなら、気になる異性に対して自分をれいに見せたいという無意識の表れ、と解くことが出来る。

「もしかして、マジで坂柳ははるに気があるのか?」

 二人の様子を見ながら、池がどこか悔しそうに呟く。恐らく坂柳の表情や仕草のひとつひとつから、無意識にそう読み取ったのだろう。

 しかし、坂柳の場合は意図的にその空気を作り出しているとみるべきだろう。

 そう冷静に分析するのに対し───

「いやいやバカすぎ、超あざとっ。絶対山内くんのこと好きじゃないよね」

 女の直感とでも言おうか、波瑠加が吐くようなをしながら毒づいた。

「う、うん私もそう思う」

 見ていた愛里も、それを感じ取ったのか、波瑠加に同意した。

「男って単純って言うか、あんなのにだまされるわけ? 絶対演技じゃん」

「……本当に演技なのか?」

 見ていて分からなかった啓誠。

 まあ、実際裏を読もうとしなければオレにも分からないが……。

「絶対演技」

 言い切る波瑠加。

ほりきたさんの言うように、Cクラスの情報を手に入れようとしてるのかも」

「けどそれにしては露骨すぎないか? もっといやりようはあるだろ。こっそりやまうちに接触する方が警戒もされないし成功率も高いはずだ」

「それは、そうだけど……」

 けいせいの言う通りでもある。もし、仮に山内をわなめるつもりがあるなら、いくらでも接触方法はある。わざわざCクラス全体に悟られるように行動しても百害あって一利なし。これで問題が起きようものなら、間違いなくさかやなぎが絡んだ一件だと断定されてしまう。そういう意味では、啓誠やいけの言うように、実は山内に気があって……というほうがしっくりくる。だが好戦的かつ大胆な坂柳、どっちとも取れるところだ。

「実は以前から、山内くんとは少しお話がしたいと思っていたんです」

「ままま、マジで? マジのマジで?」

「こんなことでうそをつくほど、私は暇ではありませんよ?」

 こちらで勝手な分析を繰り広げている間に、二人の間に会話が成立していく。

「ここでは落ち着きませんし、移動しませんか?」

「そ、そうだなあ。うん、そうしようそうしよう」

「では、少々お付き合いください」

 二人が並んで歩き出す。

 山内は坂柳のゆっくりとした足取りに合わせるようにしていた。

 一応最低限のはいりよはできるらしい。

 流石さすがにこれ以上を追いかけるのは難しいと判断したのか、他の生徒も二人を見送った。


    2


 部活に向かったあきを除いた、あやの小路こうじグループ全員がカフェに集まったところで、すぐにが切り出した。

「さっきのやまうちくんとさかやなぎさん、あの茶番劇の真相はなんだと思う?」

「茶番劇と決め付けていいのか?」

 けいせいは波瑠加に改めて聞いてみる。

「それは───だってさ。ねえあい?」

「私……あれは、やっぱり、その、アレなんじゃないかなぁ……」

 ややほおを赤らめながら愛里が言った。

「えー? でもさぁ、わざとらしかったじゃない」

「うん、仕草はそう見えたけど……でも啓誠くんも言ってたけど、Cクラスを訪ねてまで何か悪いことしてくるかなって」

「それは、ほら。逆にそう思わせといてってヤツよ」

 あえて姿をさらすことで、安易すぎてわなじゃない、と思わせる。

 そういったことも確かにあるだろう。

「きよぽんとゆきむーはどう思った? マジで恋愛の可能性はあると思う?」

 改めて聞いてくる波瑠加。

「俺はその手の話題にうといんだ、何度も聞かないでくれ」

 これ以上恋愛話はごめんだと、啓誠は回答を拒否した。

 必然、波瑠加と愛里の視線がこちらに向く。

「山内と坂柳の間にこれまで接点はなかったし、唐突すぎる。恋愛に直結させるのは安易じゃないか?」

「きよぽん冷静な意見ー。恋愛に過程は必要ないって言いたいところだけど、相手がひらくんとかならともかく山内くんじゃあねえ」

 結局、今持ちうる情報ではこれ以上話を広げることも出来ない。

 やがて山内と坂柳の恋愛話ではなく、Cクラス内の事情へと移り変わる。

「あ、平田くんと言えばさ……かるざわさんと別れたよね」

「そっちは意外でもないって言うか、私はいつか別れると思ってたけどね」

「え、そ、そうなの?」

「男子と女子のリーダー的なカップリングで見ればとうかもしんないけどさ、釣り合ってないじゃない? なんていうか平田くんならもっと大人しい美人とかのが好きそうだし」

「軽井沢さんだって可愛かわいいと思うけどな……そう、思わない? きよたかくんは」

 何とも答えづらい質問をあいが投げてきた。

 と言うより、それに関することが聞きたくて聞いてきた、とも言える。

「どうかな。あまりかるざわに対して注目したことがないからな」

 愛里がどう思っているかは分からないが、そう答えておくくらいしか出来ない。

「ま~そうよね~。まあ、軽井沢さんはともかく、問題はひらくんがフリーになったことでしょ」

 い具合にの方が話題を平田へと戻してくれた。

「クラスの中でも平田くんが好きな子は結構いるっぽいし、どうなるかなー」

「そう、なんだ?」

「えー気づいてないわけ? 例えばさ、みーちゃんなんて間違いないと思うけど」

「あ……言われてみたら、確かに時々平田くん見てたかも」

「でしょでしょ?」

 けいせいは恋愛話にへきえきしたのか、ノートを取り出し始めた。

「ちょっと勉強させてもらうぞ」

「あ、もうすぐ学年末試験だっけ……ゆううつなこと思い出した」

「波瑠加たち用にも、色々と作らないといけないからな」

 ははあ、と波瑠加はテーブルに土下座するように頭を下げた。

 学年末試験に関しては、ちやばしらから特別な説明はなかった。つまり従来通りの筆記試験。

 赤点になる生徒が出てくれば、即退学になる。そういうものだろう。

「いつから勉強会開く?」

「そうだな……15日に行われる仮テストが終わった段階からにしよう。そこから学年末試験までは10日ほど。出題された問題や傾向から、集中してやれば十分だ」

「さっすがゆきむー、完璧な計画。賛成賛成」

 今から勉強なんてしたくないようで、波瑠加はうれしそうだった。

「学年末試験が終わった3月には、恐らく学年最後の『特別試験』が待ち構えているはずだ」

「学年最後の特別試験……。そっか、もうすぐ1年生が終わるんだね」

「色々あったけど、過ぎてみると早いもんねー」

 愛里と波瑠加はそれぞれ、1年間を振り返る。

「回想するには早すぎるぞ。学年末試験で転べば退学、特別試験も内容次第だ」

 現実を突きつける啓誠。それは波瑠加たちを思ってのことだろう。

「あ」

 啓誠が勉強に向かった直後、波瑠加が何かに気づいた。

 その視線をオレも追うと、そこにはいちの姿があった。男子数人、女子数人と行動しているようで、全員Bクラスの生徒だ。オレたちのような集まりなんだろうが、見える範囲での生徒たちの表情は硬めだった。

 ぼうちゆうしようを受けるいちを守るためのはいりよにも見えた。

 ただ、一之瀬がそういう状況を望んでいないのだろう。彼女はいつものように振る舞い、仲間内に話しかけるのはもちろん、行く先々で友達に明るく声をかけている。

 気になった点があるとすれば、かんざきの姿がなかったことくらいか。

 一之瀬の側近として、結構なひんで一緒にいるイメージだった。

「今、結構問題になってるよね」

 そんな一之瀬たちの様子を、どこか冷めた目で見る

「……変なうわさ、のことだよね。誰が流したのか知らないけど、ひどいよね……」

「特別珍しいことでもないんじゃない? 今回のはちょっと行きすぎてる内容だけど、似たようなことって結構あるもんなのよ。人気の女子が背負う宿命ってヤツ?」

「そうなの?」

 知らなかった、とあいが不思議そうな顔をする。

「もしも愛里が一之瀬さんくらい積極的なタイプだったら、今頃ねたみとかすごかったと思うよ?」

 確かに、そういうものかも知れない。

 とは言え愛里には、自分が積極的なタイプであるイメージは全く持てなかったらしい。

 考えてはみるものの、全く想像できなかったようだ。

「ま、気にしないことが一番なんじゃない?」

 その辺、一之瀬も分かってるでしょ、と波瑠加は言う。

 オレはこの話題に特に触れることもなく、波瑠加と愛里の話に耳を傾け続けた。


    3


 それから2時間ほど。女子同士で雑談したり、けいせいはノートと向き合ったり。

 オレは時々愛里たちの会話に混ざりつつ、なんとなく携帯を触っていた。

 テーブルに置いていた波瑠加の携帯がふるえた。

「あ、みやっちからだ」

 画面を操作して、スピーカーで通話に出る波瑠加。

「部活終わった?」

「悪い、ちょっと遅れそうだ」

 やや緊張した声のあきから遅れる旨の連絡だった。

「あれ、もしかして部活の居残り練習とか?」

「いや……ちょっとやつかいなことになりそうだ」

「何、厄介なことって。もうちょっと分かりやすく説明してよ」

「AクラスとBクラスがめてんだよ。最悪けんになったら止めなきゃまずいだろ」

 明人が巻き込まれているわけではないようだ。

 しかしAクラスとBクラスが?

 先ほどのBクラス、その主要メンバーたちの顔がよぎる。

 だが、けんに発展するような不用意なことをいちがさせるだろうか。

「そんなのほっとけばいいじゃん。ウチらのクラスに関係ないんだからさ」

「明日は我が身、だろ」

 そう言ってあきは通話を切った。普段、あまり明人の口数は多くないが合宿では誰も関わりたがらないりゆうえんをグループに迎え入れたりと、意外と熱い部分を持った男だ。

「誰がめてるんだろうね……?」

 その点が気になるのか、あいが聞く。

ごとを起こすのは、いつも決まってあのクラスだったのにねえ」

 もちろん、今Dクラスに落ちた龍園のクラスのことだ。

「言われてみればそうだね」

 意外なAクラスとBクラスの対立に、二人は首をかしげた。

「ねえ愛里、きよぽん、ちょっとみやっち探しに行ってみない?」

「で、でも危なくないかな?」

「まーね。もしかしたら、触発されてウチらのクラスまで飛び火してくるかもだし」

 からかうように答えた

 愛里は、ちょっとおびえるように身を縮ませた。

「大丈夫。いざとなればみやっちが何とかするんじゃない? 昔は悪だったみたいだし」

「わ、悪? そうなの?」

「本人からぽろっと聞いただけだけどねー」

 龍園相手にものじしないところも、自分の腕にある程度自信があるから、ということもあるのかも知れない。

「まぁ愛里がピンチになったら、きよぽんが助けてくれるって。ね?」

「……善処はする。でも喧嘩は勘弁してくれ」

「あははは、まぁ大丈夫でしょ。この学校で暴力行為なんて、そうそう起こらないし。多分」

 何度か前例があるだけに、波瑠加は最後をあいまいにした。

 明人探しを拒否する材料もなかったためついていくことになった。


    4


 弓道部へと向かう道すがらに、明人の姿は無かった。

「あっれー? どこいったんだろ、みやっち」

 明人がカフェに向かおうとしていたことは間違いないだろうから、途中で揉めている連中を見つけ場所を変えたということだろう。

 三人で固まって、あきを探す。

 捜索開始から数分して、部活帰りのクラスメイトから有力な情報を手に入れた。

 そして校舎から少し離れた、体育館そばにたどり着く。

 そこには二人の男子生徒が向き合っていた。

 両者とも、たちの想定にはなかった人物ではないだろうか。

 一人は1年Aクラスはしもと

 もう一人は1年Bクラスかんざき

 そして、その二人を見張るように、明人が立っていた。

「本当にけんってわけじゃないんだな?」

「しつこいぜ三宅みやけ。そもそも、因縁をつけてきたのは俺じゃなく神崎の方さ」

 絡まれて参っている、といった態度を見せる橋本と、オレの目が合った。

「お仲間の到着みたいだぜ?」

 橋本の指摘で、明人と神崎がほぼ同時にこちら側を見た。

「……おまえら、来たのか」

 首を突っ込んでほしくなかったようだ。

 まあ、こういった問題に女子が絡んでも得はない。

 しかし波瑠加は食い気味に言う。

「みやっちが変なことに首突っ込むからでしょ。助けに来てあげたわけ」

「助け……ね」

 話すんじゃなかった、と明人は後悔したように一度空を見上げた。

「なに、この二人が喧嘩してたわけ?」

 来てしまったものは仕方が無いと、明人は頭を切り替える。

「俺の勘違いだ。多少険悪な様子ではあるみたいだけどな」

「険悪なのは神崎だけさ」

 確かに橋本はいつもと変わらない様子のようだ。

 だが明人はその言葉をみにはしない。

「そうだといいけどな」

 明人はこの場から離れる様子を見せなかった。

 いつ騒動に発展するか分からないと思っているようだ。

 一方、神崎はややばつが悪そうにオレたちを認識していた。

 つまり、この場に他の人間がいてほしくないらしい。

 しかし、人払いできる状況じゃないことも分かっている。

 だからこそ何も言わない。

 結局神崎はオレたちに一言も発さず、再び橋本へと向き直る。

「先ほどの続きだ橋本。放課後、何をしていた。部活に所属していないおまえが、この時間まで残っている理由は?」

「部活がなきゃ、早く帰らないといけないのか? 放課後どこで何をしてようと自由だろ。それにこの場じゃ、部活に所属してるのは三宅みやけだけだと思うんだがな。なぁ?」

 あしを取るようにはしもとがこっちを積極的に巻き込んできた。

 かんざきと違い、橋本にとってオレたちの登場は好都合らしい。

 オレたちあやの小路こうじグループは一度顔を見合わせる。

 AクラスもBクラスも、オレたちにとっては味方とは言えない。

 とは言え、どちらかにつくのなら必然的にBクラスになるだろう。

 ほりきたいちが結んでいる停戦協定があるからだ。

「はっ。答えちゃくれないか」

 こちらが橋本の問いかけに沈黙で答えると、察したように笑った。

「おまえの場合は誰かと待ち合わせていたわけでもない。適当な人間を捕まえて『うわさ』を吹き込んでいたんじゃないのか」

 表情こそいつもの冷静な神崎だったが、その気迫は中々のものだ。

 どうやら神崎は例の一之瀬の噂に対して橋本に詰め寄っていたらしい。

 それがけんに発展することをあきが心配して、この状況に至ったのか。

 神崎の物言いから、橋本もある程度動きをつかまれていると感じたのだろう。

 二度三度小さくうなずいた。

「噂? ああ、一之瀬が色々悪さをしてたってヤツか? 俺とその噂に何の関係が?」

「とぼけるだけ時間の無駄だ。この場でハッキリさせておきたい。おまえたちのやっていることは、悪質すぎる。これじゃりゆうえんと何も変わらない」

「そんなことを俺に言われてもな。どうとも答えようが無い」

 普段から掴みどころの無い橋本は、神崎からの追及にものらりくらりだ。

 明人は即つかみ合いの喧嘩になることは無いと判断し、距離をとった。

 そしてオレたちの隣にやって来る。

「ねえ、どうするの」

 が小声で明人に聞く。

「どうするもなにも、とりあえず見守る。何事もなく別れるならそれで終わりだ」

「でも……私たちが聞いてていいのかな」

 やや不安げなあいの気持ちも分かる。

 この話し合いにCクラスは全く関係が無い。

 少なくとも神崎は歓迎してない。そういった空気は伝わるものだ。

「どう思うきよたか

 明人から助言を求められる。

「向こうに行けと言われるまではいいんじゃないか? もし、この先いさかいになったときには第三者がいた方が正当性も主張しやすいだろうし。それは神崎にとってもメリットのはずだ」

 それであきもすぐ納得がいったのか、小さくうなずいた。

 はしもとは、かんざきに対してうわさの件へ一歩踏み込む。

「なあ神崎。そもそもいちの件、本当にただの噂なのか?」

「なに」

「火の無いところに煙は立たない。多分多くの生徒がそう思ったはずだぜ」

「噂は火がなくても煙を立てることが出来る。人間の悪意さえあればな」

 橋本はそばの壁に背中を預ける。

「なるほど、確かに火と噂は別物だ」

 何でも世の中の出来事を、ことわざに当てはめられるわけではない。

「だが、一之瀬に黒い過去がないと、おまえに言い切れるのかよ神崎」

「約1年。Bクラスで苦楽を共にしてきた。だからこそ分かることもある」

「やめてくれよ神崎。臭すぎて直視できないぜ」

 そう言って視線を落とす橋本。

「もちろん、直接一之瀬にも話を聞いている」

「へえ。それで一之瀬はなんて?」

「噂などに惑わされず気にしないでいて欲しい。そう答えた」

「つまり否定もこうていもしなかったわけか?」

「そうだ。だから信じることにした」

「おいおい、本気か? どこまでお人しなんだおまえは」

 鼻で笑う。そしてすぐに橋本は続けた。

「自分の黒い過去なんて、話したくないのが普通だ。仲間に聞かれたからって、全部本当のことを話すわけがない。だからクラスメイトに対して真実を語らなかったんだよ。それとも、今が善人だから、過去も善人だったと決め付けてるのか?」

 橋本のさぶり。

 神崎はそれに対し、どうようする様子はない。

 一之瀬を信じきっている、そんな目をしていた。

「一之瀬の右腕だからって、全部話してもらえてると? どこまで甘いんだよ」

 妄信した信者のようだと、橋本はあきれを隠さない。

 むしろこれ以上の対話に意味は無いと結論付けたかも知れない。

「今、俺が聞いているのはそんなことじゃない。おまえが今日していたことの詳細だ」

「教えてやるよ。確かに俺は一之瀬の噂について他人に話した」

 橋本がそう認める。

「なぁ神崎。おまえは頭もいいし、思いやりもある男さ。けどな、だからこそこういったことには深入りしない方がいいぜ。信じるしか出来ない人間にはどうすることも出来ない一件なのさ」

「つまり噂を取り消すつもりは無い、と」

「勘違いするなよ? うわさを取り消すもなにもない。噂は右から左へ、どこからともなく流れてくるだけなんだ。俺もまたその噂を聞きつけ、左へと流しただけのこと」

 噂を聞かせたことは認めたが、噂を流した張本人であることはきっぱりと否定した。

 しかしかんざきはそれだけでは引き下がらない。

 最初から、噂の出所がはしもとでないことなど分かりきっているからだろう。

「ここ数日間、おまえたちAクラスをてつてい的に調べさせてもらった」

「それで?」

「噂の出所は全て、1年Aクラスの男女数名にたどり着いた。そして、その数名に、噂をどこから聞いたのかと問い詰めると、決まって『覚えていない』『どこかで聞いた』とあいまいな回答をした。今おまえが答えたようにな。これが何を意味しているか、おまえなら分かるはずだ橋本」

 全ての生徒に対して、指示した人間がいるということ。

「悪いな神崎、さっぱり分からない。よかったら説明してくれよ」

いちおとしいれる噂の出所は、ほぼ間違いなく1年Aクラスだということだ」

「へえ」

「言い逃れをさせるつもりはない。1年だけではなく、2年と3年でも、おまえから噂を聞いたという生徒にたどり着いている。必要なら呼び出して事実を目の前で確認させてもいい」

 どうやら神崎たちは、その噂の出所を徹底して調べ上げたようだ。

 そして1年Aクラス主導で、行っていたということに確信を持った。

 だから今、こうして橋本に接触している。

 複数を従えず神崎単独で行っているところを見ると、一之瀬へのはいりよだろう。

 下手に大勢で騒ぎ立てれば、噂に興味のない生徒も関心を示しだす。

 いや、もしかするとこの一件、神崎一人で対応していた可能性もあるな。

「なるほど。それで今日も俺をストーキングしていたわけだ」

 今日『も』ということは、神崎の尾行にはいつからか気づいていたのだろう。

 だが尾行に関しては気にしなかった。

 それが自分の不利益にならないと分かりきっているからだ。

 両肩をすくめ、息を吐く。

「その噂を広めるよう指示したのはさかやなぎか」

「いいや?」

「なら誰だ。おまえたちAクラスに指示を出せるのは、後はかつらしかいない」

「さあ? 俺も他の生徒と一緒さ。どこかで耳にしたんだよ。出所がAクラスだと言われても思い当たる節は全く無いな。もしかしたら隠居したと見せかけたりゆうえんわざかもなぁ」

 ならば、と神崎は方向性を少し変える。

「事実かどうかも分からない話をみにして、広めて回るのか」

「そんなことは世の中にあふれてるだろ。うそだろうと本当だろうと、興味深いうわさなら誰だって他人に話したくなる。そんな経験、女子なら男子よりも沢山あるんじゃないか?」

 そう言ってはしもとは、あいへと視線を向けた。

「まあ……確かに噂って好きだけど……」

「それが下世話であるほど、悲しいことに盛り上がるのさ。もう少し客観的に考えてみろよかんざきいちは噂をこうていも否定もせず、この噂に対して誰にも助けてもらおうとしてない。おかしいと思わないか? 嘘八百だって言うなら、出所をつかむために協力をようせいするべきだろ」

「一之瀬は極端に争いごとを嫌う。自身の悪い噂を流した相手でも、同情の余地はあると思っているんだろう」

 一之瀬が語らない以上、神崎はただ信じることしか出来ない。

「全くBクラスの連中は───」

 ともかくこれまでの橋本の口ぶりや態度で、オレはひとつ確信を持つ。

 一之瀬に対して流されている噂は……やはりその全てが『嘘ではない』ということ。

 いったん、学生という立場を捨て社会的観点からこの件をひもく。

 当然、一之瀬は噂を流した相手をめいそんで訴えることができるだろう。噂の内容が真実であれ嘘であれ、公然と人の名誉を損なわせたのだから正当性は十分にある。

 ただし……それには事実の公共性が伴わない場合に限る。

 もしも、今回の一件がさかやなぎの計画なら、当然策を巡らせているだろう。

 一之瀬が沈黙を貫いているのも、その策がく作用している証拠だ。

 一度神崎の肩をたたくと、橋本は両ポケットに手を入れ歩き出す。

「まだ話は終わっていない」

「もういいだろ? これ以上話し合っても平行線なのは変わらないさ」

 軽く波瑠加と愛里に手をあげ、橋本は校舎へと戻っていった。

 その橋本に、オレは奇妙な違和感を覚えた。

 合宿の時とは明らかに、オレへ向ける気配が違うように思えた。

 これはあくまでも、直感に近い。

 何が変わり、何が違うのかを具体的に示すことは出来ない。

「失礼する」

 神崎はオレたちに軽くしやくすると、校舎ではなく寮の方へと戻っていった。

「なーんか、すごいところ目撃したって感じ」

「どこか楽しんでないか? おまえ」

 あきからの突っ込みに、波瑠加はちょっとだけ舌先を出した。

「だってほら、暴力って刺激的なところもあるし。万一襲われても、みやっちなら何とかできたんじゃないの?」

 そう言って、シュシュッとジャブするような仕草を見せる波瑠加。

「不良だったんだって?」

 流れに合わせてオレが突っ込むと、あきは重いため息を一度ついた。

「話すなよ。広めたいことじゃないんだからよ」

「別にいいじゃん。今は違うんだしさ。やっぱり強かった?」

「言っとくけどな、俺は有名な不良ってわけでもなかったからな。俺のいた中学には不良の頭が別にいたし俺より強かったからな」

「へぇ。荒れてる学校だったんだ?」

「住んでた区が、元々その手の大人がガキ産んで、育ててって場所だったからな。ちなみに隣の中学にはDクラスのりゆうえんがいた」

「ええっ、マジで!?」

「ああ。何度か学校同士で抗争に発展した時、接近したことがある。ま、あいつは俺なんて眼中になかっただろうけどな」

 けん慣れしているから、明人はああいった状況に強いのだろう。

「もうこの話は終わりにしようぜ。グループ以外で広めるなよ?」

「分かってるって。じゃあカフェ戻ろっか、ゆきむーも待ってるしさ」

「そうだな」

 オレたちはあくまでごと

 深入りしないことが一番正しいことだけは確かだ。

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