ようこそ実力至上主義の教室へ 7.5

〇初めての冬



 外は、朝を迎えた今もしんしんと雪が降り続けていた。

 25日、世間はクリスマスのただなか

 世界各地が、大切な家族や恋人たちとの時間を過ごす人々であふれていることだろう。この学校にも、少なからずそんな恋人たちはいるはずだ。

 約束の時間が近づいてきたので、身だしなみを整える。

「……もう8ヶ月以上か」

 この学校に入学してからの時間の経過は、本当に早い。

 それだけ自分自身が学校を楽しめているということだろうか。

 ベランダへと続く窓を少しだけ開けると、冷たい風が吹き込んできた。

 それと同時に、女子の笑い声も部屋の中に届いた。

 どうやらこれから、ケヤキモールにでも遊びに行くらしい。

「オレもそろそろ出ないとな」

 11時を過ぎたことに気づいたオレは、窓を閉めた。

 今日はとうとの約束、デートの日だ。

 この日一日で、何かが変わる……のかどうかは分からない。

 ただ少なくとも、オレにとっては意義のある一日だととらえている。

 そうでなければデートをしようとは思わないだろう。

 人を好きになるということ。

 人を大切だと思うようになること。

 互いに同じ時間を過ごすだけで幸せを共有できる。

 かけがえのない存在へと昇華していく。

 そんな感情、出来事を、オレは知ることが出来るのだろうか。


 冬休みの小さな物語は、前々日23日のクリスマスイヴ前日から幕を開ける。

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