ようこそ実力至上主義の教室へ 5

〇須藤健の独白



 正直、俺は人間が出来てる方じゃない。

 そんなことは周りに言われるまでも無く分かってる。

 水商売してたお袋が家を出て行った時、俺は強くなろうと決めた。

 小さく丸まった親父おやじの背中。

 清掃員をしながら毎日粛々と過ごす姿に吐き気を覚えたことも多い。

 バカだった俺は勉強を早々にあきらめスポーツの世界に入った。

 最初はテニスや卓球といった一人のスポーツを好んだが、どうもしっくりこなかった。

 そつなくこなすことは出来るが一流にはなれないとわかった。

 そんな俺が出会ったのがバスケ。

 チームプレイなんてものは苦手だが、不思議とバスケだけは素直に受け入れられた。

 だから実力が伸びた。

 全国でも屈指のバスケ強豪である高校からスポーツすいせんもらった。

 だが暴力事件を起こし、それが白紙に戻った時に俺は痛感したんだ。

 俺って人間はクズの両親から生まれたクズなんだと。

 だからこの学校を選んだ。

 金がかからず、そして将来までも約束されるっていう夢の学校を──

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