ようこそ実力至上主義の教室へ 4
〇軽井沢恵の独白
結局のところ、私はこの学校に入っても何も変わることはなかった。
違う、変わるつもりなんて最初からなかったのかも知れない。
良い意味でも悪い意味でも、あの時のまま。
その理由はとてもシンプルだ。
私は私のことをよく理解しているんだ。長所も短所も、全て理解している。
男子からも女子からも、好かれていないことも分かっている。
全部分かっているのに変わろうと思えない。
でも、それで構わない。
だって私は、それを苦痛だと感じなくなってしまったから。
客室に備え付けられたシャワー室から出た私は、肌を
どうして私が、あんな目に遭わなければならなかったのだろう。
どうして私が、今もこんな風に苦しまなければならないのだろう。
どうして、どうして、どうして。ずっと繰り返した言葉。
意味のない言葉。
過去は変えられない。
誰にも変えることはできない。
神様は
あの日の悪夢を境に人格は破壊され、青春も、友達も、そして自分をも失った。
その間違いを、正さなければならない。
どれだけ嫌われても、また同じ目に遭うより、いい。
青春なんていらない。
友達なんていらない。
大切なのは、自分自身を守ること。
そのために必要なことは、何でもする。
私は───寄生虫。ひとりで生きることの出来ない、弱い生き物なのだ。