〇茶柱佐枝の独白
ギリシャ神話には人間臭く、憎悪や
『イカロスの翼』を耳にしたことはないだろうか。簡単な概要はこうだ。
かつてギリシャには、ダイダロスと言う偉大な発明家がいた。ダイダロスはミノス王に命じられ怪物ミノタウロスを閉じ込める迷宮を作り上げた。しかし後にミノス王に見放されることになり、
ダイダロスたちはその幽閉された塔から逃げ出すため、鳥の羽を集めて大きな翼を作り上げた。大きな羽を糸でとめ、小さな羽は
『あまり高く飛ぶと、蝋で固めた翼が太陽に焼かれ溶けてしまう。気をつけろ』と。
そう忠告を受けたイカロスは、父と共に塔から飛び立った。
そして自由を得た。だが自由とは時として、己を見失ってしまう危険なもの。
眼前に広がる自由を手にし、イカロスは調子に乗ってしまった。
それは必然だったのかも知れない。束縛された苦しい状況からの打破。
自由に
作り上げた
やがて偽りの翼は
イカロスとは、自由を得るために空へと飛び出した勇敢な存在だったのか。
あるいは己の力を過信、太陽にも到達できると信じ込んだ
それは父であるダイダロス以外には知りえなかったことかも知れない。
私は一人の少年を前にして、
私は追い込まれていた。だからそうするしかなかったのだ。
少年の
目の前で静かな怒りを向ける少年に対して、気丈に振舞うしかなかった。
振った