トランプ2.0が現実味を帯びてきたので、各国政府が準備に動いている。
日本政府はいつもの「ダイジョブダイジョブ。何もしなくても、様子を見てからの対処でなんとかなる」で乗り切る方針のようだが、安全保障上のポジションが日本と相似形の韓国は、いまから「防衛負担を増やして構いません」から始まって、アメリカ太平洋軍が韓国軍と共同しての防衛に動きやすいようにスタートを切ったんだね。 ずいぶんアメリカ側に働きかけているようです。
トランプ2.0が、第一次トランプ政権と全く異なるものになるのは公然・非公然のトランプの発言から判っています。 日本の国防に関係があることでいうと、ひとことで言えば「integrityを持つ軍人の徹底的な排除」で、前回、トランプが戦争をやりたかったときに「止め男」として間に入った戦争の現実を知る軍人たちの(トランプから見た)残党を軍から徹底的じ排除している。 背景にはトランプの、「オカネをかけた軍隊があるんだから国益のためには使わなければ」という考えがあります。 いわば、トランプの第一次政権も含めた、他のホワイトハウスの主人たちよりも、ずっと低い閾値で戦闘を開始する用意をしている。 その結果は、どういうことになるかといえば、1.5正面の作戦能力しかない現在の米軍の戦力を考えれば、まずウクライナは「NATOに任す。あとは、よろしく」になりそうです。スウェーデン初め、ややボケ気味のドイツを除いた全欧州が、いまから、ほぼ臨戦体制に入ったことの理由のひとつはトランプ2.0が視野に入ってきた、ということもありそうです。
中国は、最もよく判っていそうな台湾人たちに訊くと、中国の武力侵攻は(同じ言語文化圏であることを利して)全力で防がねばならないが、いまは、ほんとに五分五分、トランプになると、台湾の自由勢力は武力侵攻のあるなしに関わらず大打撃、というような、お話でした。 政権レベルで最も(東アジアにおいて)危機感が強いのは韓国で、それが、この記事の源になっているのは、記事を読んでも判りますね。 トランプの周辺から聞こえてくるのは、21世紀最大の無責任男、とでも呼びたくなるトランプの人格を反映した「東アジアは習近平と、お伴の金正恩の良心に委ねる」というお気楽体制で、中国は表面強硬なトランプのそういう顔の、東アジアの運命になどまったく興味がない無関心な「裏」をジッと見つめている。
こちらはトランプの第一次政権のときから同じですが、バノンとも共通していて、トランプの主要な関心は、中東です。 内実は、そんなに難しいことではなくて、というよりも唖然とするような理由で、もともとニューヨークの狭いコミュニティで、「フランス=東欧コミュニティ」に属しているトランプ james1983.com/2022/03/13/rus にとっては欧州と中東だけが世界なのね、 はっきり言ってしまえば、それ以外の世界の部分は、「よくわからない」し、知る気も、関心もない。 念の為にいえば、それこそが習近平とプーチンのトランプ政権に対する強い関心になっている。
いまの世界には火種が山ほどあります。 ロシアと中国、欧州とアメリカの利権が激しく対立するアフリカ大陸、「新・世界の火薬庫」と呼ばれているインド北部での膨大な火器の集積、ロシアのソ連時代を懐かしむかのような、欧州コンプレックスにもどづいた西進運動、金門海峡を挟んだ、睨み合いというよりは駆け引きの集積のような中国と台湾の間の緊張、そしてシーア派の大国イランと、スンニ派で歴史的にペルシャの蔑視に耐えてきたサウディやカタールのスンニ派諸国、ユダヤ人、欧州、アメリカの利権が、もうどうにもならないくらいに入り組んで、アラファトを追い出すためにハマスと手を組んで、いまごろになって、ハマスは言葉で述べていただけではなく、実は反イスラエルなどというものではなくてユダヤ人絶滅の信念に燃えた集団が真の姿で、動画サイトに盛んに投稿されていた「イスラエル侵攻計画の演習」が、宣伝ではなくて現実の演習だったことを知って、愕然としているネタニヤフたち、その複雑な力学など気にもしないトランプがやってくることは地域として最大の危機に他ならない中東、ロシアはソ連の遺産としての莫大は兵器の集積と国土面積がやたらに広いだけの、どちらかといえば小国のロシアがプーチンが国内向けに匂わせて述べるとおり日本の領土に侵攻する可能性は限りなくゼロに近いが、それでも牽制のようにクリル諸島を実効支配で固めて日本政府に完全に諦めさせるくらいのことはやるでしょう。 そこに、その衝動性、良心とインテグリティの欠如、自分の利益追求への拘りの激しさによって「五歳児」に例えられる、77歳の「本を読まない」ことを誇りのひとつとする白人至上主義者、それも東欧コミュニティに参加した理由を見れば判るとおり、白人文明の礼賛者ですら、なくて「見た目が美しい」という、バッカみたいな白人主義に乗っかった白人・男が、 独裁者として振る舞う(いまは「初めの一日だけ」と言っているが)ことを宣言して大統領になれるのだから、世界中の人が、いまからトランプのトドラー歩きを懸命に目を凝らして見つめている。
この幼稚な人を、大統領に押し上げた、おおきな理由のひとつは、アメリカ人たちの「やりたい放題のウォール街に対する怒り」だった。 CDOを核とした当時のウォール街人たちの、罰せられなかった巨大な詐欺が、アメリカ人をここまで怒らせたのだけど、その結果は、「民主制の破壊をアメリカの大統領自身が国民に呼びかける」という未曾有の事態になって、誰の目にも、二百数十年に渉って、その厳格な手続き主義デザインで機能してきた「アメリカ民主制」が、ついに時代遅れになって、現実を処理できないものになってしまったのは誰の目にも明らかです。 何年か前に「自由主義は世界の至るところで敗北している」と書いたが、トランプ2.0が現実になれば、その世界的な敗北は決定的なものになるでしょう。 太平洋でいえば、オーストラリアとニュージーランドは、国内にある(外からは、ほぼ不可視の)中国系人ネットワークを通じて、中国と共存する方針で決している。 もともと中国との付き合いが巧くてオーストラリア政府を腐らせたり怒らせたりしているニュージーランドはもちろん、外に向かっては、強硬路線を主張しているオーストラリアも現実に対処する能力を捨ててはいません。こういうときは移民社会の強さで、中国系人たちの巨大で質の高いコミュニティも協力を惜しんでいない。 日本は、どうするのか? あるいは、個人として、より興味があるのは、日本の人たちは、どう感じているのか? 知りたいというのが、このツイートを書いている理由です。 どう考えていますか?
japantimes.co.jp/news/2024/03/1
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日本のマスメディアはアメリカの保護下にあり続けることを疑っていないのか、どこか他人事のように報じていることが怖いです。