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アスリートの美学

浅田真央を強くするもの「自分があきらめてしまったら、そこで終わり」

第1回

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プロになって、人の話を聞くようになりました(笑)

一方、プロスケーターとなり、こんな変化もあったという。

「すごく初歩的なところで大変お恥ずかしいんですけど、人の話を聞くようになりました(笑)」

そうくすぐったそうにはにかむ横顔は、競技のときに見せた張りつめたそれよりも、ずっと朗らかだった。

「現役の頃は、自分も若かったというのがあるんですけど、誰が何と言おうと自分の決めたことはやるという感じで。コーチがトリプルアクセルは跳ばなくていいと言ってるのに跳ぶ、みたいな(笑)。そういう頑固なところはありましたね」

遠い日の自分を思い出し、浅田の目元が懐かしそうに綻ぶ。それは、一生懸命頑張ってきたことがある人の顔だった。

「あの頃は自分と向き合う時間がすごく長かった。リンクに行ってひとりで練習して、家に帰ってもひとりで。話すのは、家族ぐらい。なかなか他の人と話す時間がなかったんです。でも、今は違う。引退してからはたくさんの方とお会いして、いろんな人の話を聞いて。それこそショーをやろうとしたら、たくさんのスタッフと話をします。おかげで、昔よりもちゃんと人の話が聞けるようになったかな」

と結んでから、思い出したように「でもね、今もね、たまに聞いてないときがあるんですよ」とおどける。

「たぶんすごく頑固だと思います。そこが私の短所であり、長所でもある。現役を終えて少しの間は、やっぱり試合ではなくなる分、スケートに対して自分の弱さみたいなところが出てきた部分もあったんですね。でも、現役時代を思い出すことで、やるしかないって気持ちを高められた。どんなに大変なことがあってもやり抜いたという経験が、今の私を支えてくれている。だから、あきらめないという気持ちは何があっても忘れちゃいけないなって、いつも自分に言い聞かせています」

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