湖池屋が駒野工業団地に新設する中部工場(仮称)の完成イメージ(同社提供)

 スナック菓子大手の湖池屋(東京)は22日、岐阜県海津市南濃町の駒野工業団地に、中部地区初の生産拠点となる中部工場(仮称)を新設すると発表した。9月着工、来年8月の稼働を予定し、主力のポテトチップスなどに加え、新商品の生産を計画。商品作りが体験できる来場者向け施設も開設する。誘致した市は、雇用や観光など多方面での効果を期待する。

 新工場は同社5カ所目の生産拠点で、物流効率の改善を目的に建設する。敷地面積は工業団地の1区画約2・9ヘクタール、建物は鉄骨2階建てで延べ床面積約7300平方メートル。約150人の雇用を計画する。投資額は約100億円で、同社の工場では最大級の規模となる。

 既存商品だけでなく、新しい素材や容器を使った商品の生産設備を導入。商品は中部、北陸地方を中心に全国へ流通する。2021年に稼働を開始した九州阿蘇工場(熊本)に続き、工場見学やポテトチップス作りが体験できる来場者向け施設を併設する。

 工業団地は、東海環状自動車道西回りと海津スマートインターチェンジ(IC)の開通を見据え、市と県土地開発公社が21年に全2区画を整備。車体部品のジーテクト(埼玉)が今秋の稼働に向けて工事を進める一方、もう1区画は別の企業が昨年進出を断念していた。湖池屋と市は当初、本年度で閉校する市内の吉里小学校跡地への工場建設を協議していたが、撤退を受けて方針を転換した。

 市内は若い世代の流出による人口減少が課題となっており、横川真澄市長は「魅力的な雇用の場が生まれることはありがたい。市内の農産物の利用や観光スポットとしての新たな人の流れに期待したい」と喜んだ。