富山市樫尾小の閉校式は15日、同校で行われ、児童や教職員、地域住民ら約110人が思い出の詰まった学びやに別れを告げた。インターネット上の仮想空間に学校を残す「バーチャル樫尾小」が披露され、出席者が映像に見入った。児童は「樫尾小は私たちの心の中に生き続けます」と声を響かせ、母校への感謝を胸に新たな一歩を踏み出した。
「きれいに校舎が残っていてすごい」。バーチャルの学校を見た岩脇のどかさん(6年)がほほ笑んだ。児童は昨年6月から、地域の協力を得ながら、仮想空間で再現された校舎に写真やメッセージを組み込む作業を進めてきた。初めて完成版を目にし、笑顔が広がった。
2~6年生21人の小規模校で、バーチャルの学校も助け合って作った。中西絹玉(まゆ)さん(6年)は「閉校するのは寂しいけれど、グループで協力し、少人数でうまく活動できるようになった。学んだことを生かせられる」と意欲を語った。
式では21人全員がひな壇に並び、言葉をつなげた。「閉校となっても樫尾っ子の絆は消えません」「新しい世界が広がるチャンスです」「歴史と伝統を胸に、輝く未来に向かってチャレンジします」などと決意を示し、教職員とともに「絆」を歌い上げた。
式では富山市の宮口克志教育長が藤井裕久市長の式辞を代読し、金厚有豊市議会議長、宮田好一黒瀬谷地区自治振興会長が祝辞を述べた。橋本大一郎校長が「樫尾小が心のふるさととして永遠に生き続け、子どもたちが前進していくエネルギーとなることを願う」とあいさつした。
樫尾小は1878(明治11)年に永進小として創立。1909(明治42)年に樫尾小と改称した。2千人以上の卒業生が巣立った。4月からは八尾小と統合する。