Plastic ANEKAです。



今回は、サイケデリックを使用してようやく理解できる歌詞を書く日本のニューウェイブバンド達について話します。


※※注意※※

憶測による独断と偏見です。事実関係は知りません。



私は戸川純にハマって以来、深い不快遥かなニューウェイブ沼に沈みました。


ニューウェイブは一言では表せないジャンルです。

オールディーズやロカビリーの雰囲気を残しつつ、サイケデリックロックやパンクも混ざっていて、それに最新鋭のテクノを入れ込む、簡単に言うとそんな感じです。場合によってはクラシックやポップスの要素もあります。その上太平洋戦争的、ナチス的な要素があったりしてコンプライアンスが厳しい現代にはウケなさそうな感じです。と思いきや意外にも流行っています。


何でも有りです。と見せ掛けて、実はそうでもない気がします。



1970年代に欧州でKRAFTWERKやらニナハーゲンやらが流行り始め、カッコいいだけでなく「個性」をモロ出しした超ナルシスティックなバンドがアングラな世界で爆発的に増えます。


※以下……、私は詳しい訳では無いので、戸川純に関係のあるニューウェイブバンドについてしか分かりません。しかもそれも曖昧です。



日本では、1970年代後半に「8 1/2(ハッカニブンノイチ)」や「少年ホームランズ」が現れます。


8 1/2は、久保田慎吾という方がボーカルで、戸川純が追っかけをしていたバンドで、

少年ホームランズは、サエキけんぞうという方がボーカルで、後に戸川純がカバーしまくったバンドです。

私はこの2つのバンドが大好きです。究極にハマりすぎるとこの様に収集し始めます。針は落としていませんし、満塁ホームランBOXに至っては未開封です。中が面白いみたいなので開けたくてウズウズしています。


8 1/2と少年ホームランズはどちらも千葉のバンドで、少年ホームランズのデビュー曲は「メロウ野郎in津田沼PARCO」という地元愛が爆裂しています。津田沼PARCOは2023年2月28日に閉店したそうです。



後に2つのバンドは融合して「ハルメンズ」が誕生します。ハルメンズは個人的にはそこまでハマっていないのですが、中には戸川純やピチカート・ファイヴの野宮真貴が参加している曲もあります。ゲルニカでは8 1/2の上野耕路と、アーティストの太田螢一と、戸川純が組んでいます。


その流れで巻上公一がボーカルのヒカシューや、平沢進がボーカルのP-MODELもかなりハマったのですが、それは今回は置いておきましょう。

(ヒカシュー、P-MODEL、プラスチックスはテクノ御三家と呼ばれています。)


凄い大雑把な紹介なので、詳しく知りたければなんか適当に調べてください。




さて、その中で「サイケデリック」を醸し出す内容の歌詞が含まれる曲を紹介します。


【8 1/2】

8 1/2 ナルシスティック 

15:35〜


これは素晴らしいですよ。

一瞬大衆向けに路線変更したthe modsにありそうな曲調で、普通に聴く分にもノれます。

しかし、歌詞は意味不明でしょう。そもそも上手く聴き取れません。私はハルメンズのカバーでようやく聴き取れました。

歌詞を載せるのは良くないので流れを書きます。せめて部分的には抜粋させてください。


まず、自我が肥大したシャブ中みたいなイケイケな女と、ナルシストな男が居ます。

男は女に「どこで働いているの?その服は似合わないわ。」と言われます。


すると男は「何にも分かっちゃいない奴に動かされる事は無いさ。夢の無い奴と一緒に居る事は無いさ。」と語ります。一見良い事を言っている感じですが、彼等がこんな薄っぺらい歌詞をド直球で書くとは思いません。

続いて「自分が美しい…自分が美しい…自分が美しい…」ナルシストが発動します。



私が合法の1D-LSDを使用して感じたのはまさにこの感覚です。

二元論的に善か悪で決める様な人とは付き合いを避けるべきだと思いました。

そしてサイケデリック関連で活動する夢も持ちました。

また、ナルシスティックな感じも、若干野狐禅的な「悟っていないのに悟ったと思い自惚れる」感覚で自分が好き好き大好き化する要素も含まれています。


続いて、急にストーキングを始めるのはよく分かりませんが、その後「踊りながらギネスを飲めばお前にも分かるさ。全てが自分の為に回り続けている事が、着飾る事の、素晴らしさが。」と男が言います。


シミュレーション仮説じゃないですか…。

ギネスはビールですね。隠語なのかもしれませんが、酒を飲んでこの感覚になるでしょうか。


この世は幻想であり、人に自由意思は無く、あたかも自分の意志で動いている様に思わせて実は操られている。シミュレーション仮説は、そういうものです。


その上でセロトニンが溢れた様な歓びを歌っています。


元々好きな曲でしたが、曲がって聴いてそう感じた途端、感動してLPを買った訳です。


ちなみにストーキング時に「女を好きになる事は俺にもある」と言うのですが、これはバイセクシャルを表している風にも捉えられます。或いはパンセクシャル。これは男も女もイケる訳ではなく、好きになった者に対して男女隔たりなくイケるタイプです。

自我が崩壊すれば、自他の境界線や概念は無くなりますからね。

それに、日本の戦国武将やギリシャ神話の神々は殆どがバイセクシャルです。





【少年ホームランズ】

こちらは何曲かあります。

まず「焼ソバ老人」。

0:00〜


前奏や間奏の音は何ですか。完全にトリップしています。歌詞もブリった時のグルグル状態みたいな感じです。ひたすら「焼ソバ食う老人」と言い続けます。

というかジャケットからして半端無くソレですよね。太田螢一のアートです。これでもマシな方です。


個人的には2番の「俺はペーペー」がかなり好きです。があまりサイケな感じはしません。



続いて「ふにゃふにゃサイボーグ」。

少年ホームランズ ふにゃふにゃサイボーグ 

28:37〜


個人的にはそんなに好きでもないのですが、歌詞は「お前も俺もサイボーグ。何をやってもふにゃふにゃビローン、何を考えてもふにゃふにゃビローン。作られたくせに作られた事を知らない。」という内容です。これまたシミュレーション仮説ですね。ふにゃふにゃビローン…?




そして「メロウ野郎in津田沼PARCO」 。

津田沼PARCO閉店記念の動画です。何故スマホ画面向けの縦向き動画なのかは分かりませんが、この動画の編集は虹色でグワングワンしていて、とてつもなく草の香りが漂ってきます。

「マリファナ吸いながらビタミン剤飲も飲も」というド直球な歌詞もあります。
その時のエスカレーターのシーンのエフェクトたるや、THCHを初めて吸ってバッドに入った時の感覚そのものでしたよ。
ビタミン剤は、要するにエクスタシー、MDMAですね。

P-MODELのサンシャインシティーという曲に「ジャンキーシティーでビタミンが生んだエリートシティー」という内容があります。どちらの曲も1979年頃なので、当時は合法です。パーティドラッグとして大流行し、1990年から違法になりました。


MDMAは人と親密になれる「愛のドラッグ」です。LSDと同じ様に精神疾患に効果があるとされています。MDMAはあの幻覚サボテン「ペヨーテ」に含有される幻覚剤のメスカリンと、覚醒剤アンフェタミンに似ているそうですから。

ちなみにエクスタシーは混ぜ物ばかりでMDMAなんて入っておらず、殆どが覚醒剤と化しているそうです。危険です。


マリファナ吸いながらビタミン剤飲むと、2つの効果を促進させるアントラージュ効果が期待出来てメチャクチャ気持ちが良いとか、、その上最高過ぎて止められなくなるとか…。と言いますが、賛否両論らしく、打ち消し合う事もあるとか…よく分かりません。私はマジで合法しか使った事が無いお利口さん(?)なのです…。

そしてそして…「出家して遁世して頭をツルツル」。マリファナ吸って瞑想していますね。
更に「人類は皆兄弟、輪になってニコニコ」。サマーオブラブですね。





【捏造と贋作】

8 1/2の久保田慎吾と上野耕路の作品である「捏造と贋作」というアルバム。。こちらの「ホフマンの舟歌」。

捏造と贋作 ホフマンの舟歌 

4:26〜


上野耕路は「た〜らこ〜た〜らこ〜」で有名なキューピーのあの曲を作曲した人です。


普通の方ですと聞いた事が無い曲や人名ばかりかと思いますが、彼等はこういう場面で意外と「アノ?!」となります。


まあ、こちらのホフマンの舟歌。

1881年のオペラ「ホフマン物語」の劇中歌です。作曲はオッフェンバックです。


正直、8 1/2の頃から久保田慎吾のボーカルは全然聞き取れないので何て言っているのかは分かりません。

ただ、あの陽気な雰囲気から、間奏に入った途端迷宮に投げ出されてしまう感覚は何でしょうか、ビートルズのday in the life風味です。

聴いているとバッドトリップしそうになりますが、すぐ陽気に戻ります。あの感じもバッドトリップ成りかけから抜け出せた感覚と似ています。

何よりも「ホフマン」がどうしても引っ掛かります。

アルバートホフマンに掛けているのではないかと。



【オマケ】

ハルメンズのモーターハミングも、概念の消失により右脳優位になった人の歌みたいな、そんな印象を与えられます。


ところで、ビートルズのサイケデリックロックは美しすぎます。

a day in the lifeの、最初ののどかな雰囲気はLSD摂取後すぐの何だかよく分からない時によく似ています。だんだん弦楽器が本気を出してくると、周りの他の音が消えてきますよね。それはトリップ直前、無になる一歩手前です。死んだ時に最後に残るとされる聴覚、それさえ消え去るあの感覚が上手く表現されています。


マルエヴァンズがアドリブで鳴らした目覚まし時計から、別次元の様な感覚さえあります。


そして薬効が切れたかの様に戻ります。


YouTubeでは見付からなかったのですが、最後はなんかヤベェのが繰り返されます。レコードの最後の溝に収録されている為、針が勝手に戻らないタイプのレコードプレイヤーだとエンドレスで流れるとの事。あれは子供に聴かせたらトラウマになります。


I'm only sleepingの間奏の、ギター逆再生も凄いですね。

ピンクフロイド等はどうやら曲がった状態で書き上げた曲、ビートルズはシラフで曲がった状態を再現した、との事です。


私は曲がりながらa day in the life とI'm only sleepingを聴くと綺麗にぶっ飛びます。

ビートルズのLSD使用は有名ですし、それもまだ当時は合法でしたし、他にもサイケデリックな曲は沢山ありますが、今回は一応ニューウェイブ編ですからね。

ちなみにこの前、友人から教わったサイモン&ガーファンクルのスカボローフェアをシラフで聴いてぶっ飛びました。。




さて…

ニューウェイブとサイケデリックドラッグを結び付ける記事はなかなか見当たらなかったので、なんとなく書いてみました。

戸川純辺りになるとメンヘラ感は強くなりますがサイケデリック感が薄まるので、そういう結び付けはされないのかもしれませんね。それに、ドラッグと結び付ける事が良いとは言いづらいですし。。


8 1/2も少年ホームランズも、演奏はまるでライブのような生感があります。泉水敏郎のドラムと上野耕路のキーボードは凄すぎます。

久保田慎吾の声に最初はビビると思いますが、これがまた聴きたくなるトリックなんですよ…。

佐伯健三も何となくバツが悪そうに歌っていますが、あれもトリックです。

歌ってみると分かりますが、歌手なだけあります。二人共音域の幅はかなりありますよ。しかも音程の難しい曲を外さずに歌えるのですから。



個人的には、8 1/2、少年ホームランズ、ヒカシュー夏、P-MODEL、P-MODELランドセル、泉水敏郎、戸川純好き好き大好き、この辺りにドハマりしています。ゲルニカや人外大魔境を聴くには、捏造と贋作から慣れないとキツすぎると思います。




それでは。