“負担が重すぎない範囲”とは?

改めて映画館のケースを考えます。

車いすのユーザーは、リクライニングになるプレミアムシートで鑑賞したといいます。ただ鑑賞後、映画館から「この劇場はご覧の通り段差があって危なくて、お手伝いできるスタッフもそこまで時間があるわけではない」と言われ、別の劇場を勧められたそうです。

4月から義務化される「合理的配慮」というのは、“負担が重すぎない範囲”です。

どこまで対応すればいいのか、かなり難しいと思うんですが、真山さんはどう感じましたか?

小説家 真山仁さん:
難しいんですよね。実際に映画館に行くと、ほとんどアルバイトの人しかいないので、アルバイトにどこまで教育をするのかというところがありますよね。

根本的な話をすると、やっぱりコミュニケーションが足りないということがハラスメントになったり、問題になること自体が「日本の社会はどうなっているんだ」っていう嘆きはあります。

だから法律でやらなきゃいけないっていうのはわかるんですが、なのにも関わらず、このよくわからない抽象的な表現ですよね。“負担が重すぎない範囲”で「合理的配慮」って、言われても説明できないですよね。

別に映画館を弁護するわけじゃないですが、「もしお怪我をされたときどうしましょうか」と。「うちはマンパワー的に人がいないので怪我されたら困るんです」と言えばいいんですよ。

なので、今回の映画館の件での言い方はちょっとさすがにありえないと思います。