「知的障がいがある子どもの性欲」を考える
先日、ABEMA Prime でこのようなお題の動画がYouTubeに上がっていることを知り、ふむ、バッチリ興味あるわと思って見ました。(私は介護士ですので)
知的障がい者、発達障がい者の方の性欲の話ってわりとタブー視されていたりしますよね。
人前で自慰行為をしたり、異性(特に男性が女性)に触ろうとしたり、それは子どもだけでなく、大人の知的障がい者の方にもあるのではないでしょうか。
まずはこういう問題に対して、動画として表に出てきた障がい者のお父さまの勇気を称えたいと思います。恐らく誰もがこんな問題で表に出たくないし、勇気を持って発言したくないと思うので。
コメント欄を見てみると、このお父さまの発言が結構批判されていました。
お父さまの「我が子の性欲は健常者のそれとは違うと思うので、心配はしているが、教育したり叱ったりするのも違うかなと」そんな趣旨のことに対してだったと思います。
例えば「知的障がい者の方に子どもの頃に性的被害を受けて、以来、彼らに対する偏見やトラウマがある」とか
「しっかり教育してもらわないと怖い、健常者の気持ちも理解して欲しい」などのコメントがありました。
私も実際、電機店で何かしらのゲームソフトを触りながら、自慰行為にふけっている学生服のお子さん(おそらく発達障がい者の方)を見たことがありますが、誰も声をかけられない衝撃的な光景ではありました。
もし彼のご両親がこの姿を見ると卒倒しそうになると思います。もしくは知っていて常態化している、やめさせられないといった状況であるかもしれませんが、いずれにせよ彼はたんに思春期だったのでしょう。
まず私が言いたいのは、知的障がい、発達障がい者の方、と一括りに言っても、障がいの程度は千差万別で、全部をひっくるめて教育のあり方はこうだと定義することはできないと思います。
ABEMA Primeに出演していたお父さんは、お子さんの性に対する捉え方は健常者が持つ性欲のそれとは違うので、そんなに怖がらないで欲しい、ということだったのだと思いますが、健常者の視聴者さんたちからは、親や周囲の人たちがきちんと教育してくれなかったら余計に自分たち健常者の不安は払拭できない!みたいな感じでした。
私はそれを見ていて、健常者の方たちの実際の被害や、不安な気持ちは理解できるし、批判コメントに納得できることも多々あったのですが、その上で、その上で、批判コメントにも批判したい気持ちになりました。
知的障がいを持つ方たちは(それは「親ガチャ」と言われるような健常者でも同じことだと思いますが)、彼らは誰も望んでそのような特性を持って生まれてきたわけではなく、また彼ら障がいを持つのお子さんが生まれてきて一番びっくりするのはご両親で、しかし健常者の子どもたちと同じく愛おしく、社会の中で育てるにあたって四苦八苦してこられたと思います。現在進行形で。
考えてみてほしいのですが、誰でも起こり得ることです。例えば自分の子ども、またその子どもたちには、いずれ知的に障がいを持った子が生まれるかもしれない。もしくは親が認知症になる、もしくは自分が事故や病気などで中途障がい者になる。
そのとき、周囲の人たちは、自分たちだけで彼らをコントロールできるでしょうか? 私はそれはできないと思います。社会の枠組みで協働し、認識を深めなければいけない問題なのではないかと思います。
健常者でもお子さんが思春期になり、格闘系YouTube動画に影響されてスパーリングを始めたり、暴走族に入ったり、マルチ商法やSNSのトラブルに巻き込まれたりするのを止めるのに四苦八苦すると思うのですが、お子さんに、親が思うように「理解させる」ことができる親御さんが世の中にどれだけいるのでしょう。
話は戻りますが、知的障がい、発達障がいの方にも程度の差はあれど性意識がある子もない子もピンからキリまで、その欲求もあったりなかったりすると思います。
ない子は問題ありません。健常者に近い感じである子はどうすればいいでしょうか。しかし健常者に近い発達障がい者であれば、してはいけないことの程度も理解できたりします。
一番苦しいのはグレーゾーンのお子さんをお持ちの親御さんですよね。例えば、お母さんが自分の胸を触らせてやり過ごさなければならなかったり、要は他に発散させる場面がない、閉ざされた性欲にどう対処していけばいいかということです。
というより一番の問題は、この閉ざされた性欲の処理(あるいは気分の転換?)について、それ自体は単純な方法だとしても、問題として親御さんが抱え込んで、社会の中で語ることがタブー視されることだと思います。
なので、そういう意味で、表に出てきて語るお父さまに批判コメントが寄せられましたが、健常者として知的障がい者を怖がる、っていうこと自体が障がい者への社会の理解の浅さ、認識の浅さだよなって思ったのと、そろそろこういう問題も取り扱っていこうよってなったABEMA Primeや出演のお父さまに敬意を払いたいです。
お父さまの発言内容に私も全て賛成ではありませんが、社会の反応が怖くて誰も声をあげないという状況は避けたいと思いませんか?
障がい者の方の性欲、性意識について議論する、理解する、社会で認識を広げ深めることは、当事者にとっては恥ずかしいことであるかもしれないし、望まない方もおられるかもしれません。しかしタブー視して議論をテーブルに置かないでいるのは時代じゃないよなと思った今日この頃でした。
結論、今は何とも答えが見つかりません。ただそこにある問題は受け容れたいと思いました。
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