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いつも評価、感想ありがとうございますー!

最近感想が多くてすごい嬉しいです、続きも頑張ります!

代官として~統治と軍務~
――145――

 そう言われればそうなんだよな。だいたい俺自身、地図は機密だからって教えてもらえなかったから苦労して思い出して作ったんだし。相手が主人公(マゼル)たちだったとはいえ前世日本の認識で対応したのは失敗だった。

 さてどう答えようか。眠いわ疲れてるわで頭回らん。適当にごまかそうかなあ。


 「マゼルからは聞いておらなんだか」

 「え、何をです?」

 「他の魔将についてじゃ」


 ドレアクスとベリウレスか。倒したのは聞いているけど、別に詳しく聞きたいような事もなかったしなあ。

 それにしてもなんでそうこっちを観察するような表情をしてるんですかこの爺様は。それとも俺の方が隠し事してるから気になるんだろうか。


 「他の魔将は倒しても死体など残りはしなかった。あの魔将(ゲザリウス)だけが人の死体を残した。ゆえに卿をあの場から離れさせたのじゃがな」


 あー、そうね。そういえばゲームでも三将軍を斃したら死体なんか残らなかった……え、今なんだって?

 ちょっとまて。そう言われてみれば、もともとゲザリウスなんてゲームで出てこなかったとはいえ確かにおかしい。ピュックラーの時みたいに人の姿に戻れたりするのも他の魔将と違う可能性がある。だとすると。


 「普通の魔将じゃ、ない?」

 「そもそも魔将という存在こそ謎じゃ。卿は前魔王の事をどの程度知っておる」


 前魔王? いや、ええと。元々、俺にとって魔王復活自体は確定事項だったから前魔王なんて興味もなかったし、調べようと思ったこともなかった。ゲームじゃいきなり魔王が復活したところから始まるから前魔王なんて言及もなかったし。

 アンハイムへの赴任直前に自然災害と魔物との関係に疑問を持ったが、時間もなかったから調査方法さえまだ保留中だ。そういう意味では何も知らないという方が近い。子供の頃に御伽噺で聞いた程度か。


 「前魔王の頃には四天王はおったが魔将などと呼ばれた存在はない。少なくとも古代王国の残った記録には何も出ては来ぬ」

 「はい?」


 え、なにそれ。じゃあ魔将って。いやまて。考えてみれば四天王は復活しないのに魔将は復活したりすることとかに疑問を持ったことはあった。もし前に俺が考えた通り、魔王が存在じゃなく地位なのだとしたら。

 四天王は初めから復活させる気がなかったのか、魔将の方が魔王にとって重要な存在だったのか。どちらにしてもそこから導き出される仮説は。


 「魔将は“今の魔王”の側近と言う事ですか」

 「ふむ……」


 えーと。何ですかその微妙な反応。


 「どうやら卿は古代王国の知識を持っておる、という訳ではないようじゃな」

 「なんですかそれは」

 「古代王国時代には大陸の全体像が把握されておった。卿はその知識を持っておるのかと思ったのじゃ」

 「俺は何歳に見えているんですか」


 集中力と思考力が持続しないせいか思わず俺とか言ってしまった。けどその点は見事にスルー。スルーされたことをいいことに質問を重ねる。


 「古代王国についてお詳しいのですか」

 「もともとワシは古代王国の魔法装置を研究しておった」


 そういえばそんな設定もあったような。ひょっとして古代王国時代の技術とかにも詳しいのか。だとすると俺の方から聞きたいことが山のようにあるぞ。せめて古代王国時代の資料とかあるならぜひ見てみたい。

 ウーヴェ爺さんは陛下の教師だったはずだが、ひょっとすると王室極秘扱いの資料や図書とか読めるんだろうか。そもそもそんなものがあるのかどうかさえ俺は知らない。知りたい。けどその辺りを聞くとこっちもいろいろ話さなきゃいけなくなりそうな気がする。


 「先ほど言ったがあの魔将(ゲザリウス)が人の死体を残したことに関しては答えが出たか」


 考え事をしていたら逆に聞き返された。とは言え、多分だが予想もついている。最初の俺の予想とは少し違っていた、というか、甘く採点して半分正解という所か。つまり。


 「あの死体は罠だったと?」

 「うむ。あの黒い宝石も卿に任せぬ方がよさそうじゃな」


 そうしてくれると俺も助かる。俺が持ったら爆発するのか、乗り移ろうとするのか。どっちにしてもぞっとしねえ。ゲザリウスの狙いは俺だったというのは間違いないとしても、手段を選ぶ気はなかったということになるのか。

 って事は最後のあれは奴の暴走って事になるのかね。魔軍、いや魔王もまさかあそこまで魔将がおちょくられるとは思ってなかったのかもしれない。それとも俺が魔将を斃せるほど強いと誤解しているのか。後者はないような気がする。うーん、何かもやもやするな。


 「ヒュベルは騎士団で魔将を斃せるならワシらには見物だけしておけと言っておったがな。アンハイムの門扉が破られたのを見て割って入った」

 「なるほど?」


 王太子殿下まで呼び捨てですかこの人。いや多分それが許されているんだろうけど。


 「ワシの想像じゃが、魔軍が卿に目を付けたのは恐らく最近じゃ」

 「はあ」

 「そうでなければもっと早くにあの魔将(ゲザリウス)は卿をねらっていたであろうよ。恐らく奴は一度魔王の元に戻っておる。そこで罠になるような細工がされたのであろう」


 そういえば俺も魔軍に時間を与えすぎたとか、向こうからちょっかいを出してこなかった事とかに少し疑問を持ったのは事実だ。あれは向こうも作戦を立てていたからなのか。

 しかしそうなると魔将(ゲザリウス)が負けてもよしっていう考え方をしていたことになる。それは側近と言っていいのだろうか。どこかちぐはぐだな。何か見落としているのかもしれない。


 「さて、最初の質問に戻ろう。大陸図を知り魔軍から狙われる卿は何者じゃ」

 「あー……」


 狙われてる最大の理由はマゼルの友人だからじゃないかなとは思うんだが。前世の記憶の事は今まで誰にも言ってないし。とはいえじゃあどう答えるかと言うと。


 「ワシに嘘は無駄じゃぞ」

 「そんな魔法でもあるんですか」

 「今現在、大陸全土の地形を理解しているのは魔軍だけのはず。警戒せぬわけにもいくまい。卿が古代王国の知識を持っているのでないのなら何者じゃ」


 うぐ。疑わしいのは事実だよな。狙われてる正確な理由もわからんが、狙われているのが演技じゃないのかと言われて否定するような材料もない。というかそれは悪魔の証明のような気もする。

 仮に嘘は通じないとしても、妄想を語ってるとか思われるかもしれん。けどまあしょうがないか。だいいち疲れて眠い。


 「信用していただけるかどうかわかりませんが、俺には俺とは別の人間の記憶があります」


 微妙に口調が雑になっているのは確かだがもう改める気にならん。一人称俺のまま大雑把に前世の記憶のうち、この世界に関する部分だけ語る。ゲームと言っても通じないだろうから物語と言う表現には変えるが。その中でマゼルたちの話を知ったことにした。

 地図の件はもちろん王都襲撃の可能性と言うか展開も説明してしまおう。


 「ただ、俺の知っている話とは結構違ってもいますね。ゲザリウスとか出てきませんでしたし」

 「その話の中で卿は出てきたのか」

 「いいえ」

 「ふむ……」


 なんか考え込んでる。って言うかよく考えると俺がストーリー変えた一面はあるんだよなあ。後悔はしてないがほんとどうしてこうなったんだか。どっからストーリー変わったんだろうか。


 「その物語の作品名は」

 「は?」

 「作品名を聞いておる」


 作品名……え? 作品名? あれ? ちょっとまて。


 あのゲーム、タイトルは何だった?

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