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そしてゲザリウス視点のクソゲーすぎる発言に素で笑い転げました……(笑)
ここからヴェルナー視点に戻ります
マゼルが目の前にいるのは理解してるが状況がいまいち理解できん。思わず口に出る。
「何でお前がここにいるんだ」
「うーん、まあいろいろあるけど。とりあえず」
「こっちを何とかしてからかな」
「……そうだな」
そう言って立ち上がったとたん、俺だけでなくノイラートやシュンツェルたちにまで光の幕のようなものが被った。そしてもう一人、ありがたいんだが何でここにいるのやらって人の姿を目にする。
「殿下」
「ラウラでいいですよ」
聖女様に輝くような笑顔を向けられました。なんかもう思考停止していいですかね。勇者パーティーと同じ戦場に立ってるとかありえん事態だわ。
それにしても今のが回復魔法か。全体回復魔法になるんだろうが、正直そんな魔法受けた記憶がないから多分そうとしか言えん。疲労感が消えるわけじゃないが全身が軽くなった感じはするし、傷もなくなったりしてるんだろう。そんなところまでは確認できていない。
そのラウラの隣に何というか威厳はあるんだがどっか偏屈そうな老人が立つ。
「おぬしがヴェルナーか」
「お初にお目にかかります、アルムシック様」
勇者パーティーの老魔法使い、ウーヴェ・アルムシック。初対面なんだがよく知ってる。主にゲームでだが。っていうかなんでそんな不機嫌そうな顔してんですかね。
「ワシもウーヴェでよいわ。お主にはいろいろ聞きたいことがあるがそれも後回しじゃな」
「おらぁ!」
声に驚いて振り向くとルゲンツが
いやまて、今のは
そのルゲンツの攻撃に追撃をかけたのはエリッヒとフェリだが、うわ俺、今のフェリに勝てるかな。速さで完全に相手を翻弄してる。
エリッヒは……そうだった、
「ヴェルナー様!」
「ご無事で!」
「ノイラート、シュンツェル、俺はいい! 兵を率いて門を塞げ!」
ノイラートたちもそれに気が付いたのか周囲の人間に声をかけて門に向かっていってくれた。あれ、あそこにいるのは
「
「正解じゃ」
騎士団と魔軍が激突していてゲザリウスがアンハイムの中に入っているから、逆にアンハイムの町の近くは奇妙な空白地帯になっていたのか。だから騎士団と魔軍を跳び越えてアンハイム近郊に移動、そのまま直接突入できたということになる。騎士団と同行していたんだろうマゼルたちだけが先にアンハイムに来た手品の種はこれか。
そこまで考えたときにウーヴェ爺さんの魔法が発動した。轟音と共にライトバンぐらいのでかさの火の玉が
「やはり、しぶとすぎるの」
ぼそりと爺さんが何か言ってたがちょっと聞こえなかった。よろめいたゲザリウスにさらに一撃を加えたマゼルが笑いかけてきたからだ。
「そういえば久しぶりだね、ヴェルナーと並んで戦うの」
「……そうだな」
学生の頃には何度かやった。集団戦の授業とか魔物狩りの実習の時以来か。なんかすげえ昔に感じるな。
いや、正直俺いなくてもいいんじゃねとも思うが、せっかくのお誘いだ。勇者パーティーと共闘するという得難い経験をさせてもらうか。槍を構えなおしマゼルの横に立つ。マゼルがどこか楽しそうに口を開いた。
目の前にいるの、手負いとは言え魔将なんだけどな。
「どうする?」
「俺が合わせる。マゼルたちはいつものようにやってくれ」
「了解っ」
言うと同時にマゼルが前に出て斬りつける。ぱっと見るとフェリはゲザリウスの片目が見えないことに気が付いているようでそっちに回り込む動き、エリッヒは相手の体勢を崩す攻撃狙いか。とすると、俺は。
「ここだっ!」
わざとゲザリウスの視界に入る位置から足を狙って低く突き込む。ゲザリウスがそれを躱しながら次の攻撃に繋げるためにこっちに近づく方向に寄って俺に対し腕を振る。あぶねえ。だが狙い通りだ。
「隙だらけだぜ!」
そこはルゲンツの間合い。しかも俺を攻撃した腕ではカバーできない。ルゲンツの一撃がもろに食い込みゲザリウスの怒りの声が上がる。魔将がルゲンツに向き直るとフェリが動き
そのフェリが狙われないように相手の顔めがけて槍を突き出す。再び目を狙ったように見える一撃だ。俺の位置からだと奴は退くしかないが、そこは今度はエリッヒの間合いになる。エリッヒの一撃が脇腹に叩き込まれ、一瞬動きが止まったところでマゼルが剣を振り下ろす。肉の断たれる音が周囲にまで響いた。
人影と魔将の影が入れ替わり、位置を変えた途端、ラウラの
頼りになるメンバーとの共闘は楽しい。不謹慎だとは思うが俺自身、笑みを浮かべていることを自覚してしまった。
それほど時間もかからない。最後の一撃もマゼルだった。マゼルの振りは鋭く早いが同時に正確でもある。その致命的な一撃を受け、
やがてそこにはボロボロの男の死体が残った。後で確認しておこう。それともう一つ。
「黒い石を探しておこう。あれは危ない」
「それはワシらに任せよ。お主は他にやることがあろう」
ウーヴェ爺さんがそんなことを言ってきたんで任せることにした。そうなんだよなあ。まずノイラートとシュンツェルに警戒を怠らないように指示を出し囲壁の上に駆け戻る。アイクシュテット以下の兵士たちが声を上げて迎えてくれた。
「やりましたね、閣下」
「まだ終わってない。声を合わせろ、魔将は死んだぞ!」
囲壁の上にいる兵士たちも意味を理解したようだ。一斉に声を合わせて声を上げる。
「魔将は死んだぞ!」
「わが軍の勝利だ!」
囲壁の上から町の中に声が広がる。それが城外に届き、城外で戦う王国軍の兵士や騎士たちが応じるように声を上げ、やがてアンハイムの町全体が巨大な歓声に包まれた。それに追い立てられるように魔物たちが逃げはじめる。逃げ場なんかないけどな。
剣戟の音が遠ざかるのを確認しながら、攻防戦の終わりをようやく実感して俺はその場に座り込んだ。戦後処理はあるけど今は正直考えたくもない。とにかく疲れた。
と、思ったんだが。
「さて、まず卿にはいろいろ聞きたいことがある」
領主館に戻るなり、いきなりウーヴェ爺さんと一対一でございます。というか人払いまでして何なんですかね。
「正直、仕事もあるんで……なんでしょうか」
「いろいろ聞かなければならんが、まずこれを確認しておかぬとならぬ。卿はマゼルやラウラたちに大陸地図を見せたそうじゃの」
「ええまあ」
そういえば見せた気もする。どうでもいいんだけど
そんな事を考えていたら爺さんが視線だけで殺されそうな目を向けて鋭く問いかけてくる。
「地図はすべての国で国防のために機密となっておる。国内地図があるという事さえ知らぬものがほとんどじゃ。国内さえ把握できておるものは王族以外には数えるほどしかおらぬはず。他国の町の位置のみならず、大陸全土の形まで把握しておるお主は何者じゃ」
……どうやら俺はとんでもないやらかしをしてたらしい。
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