3月9日、岸田首相は石川県内のアンテナショップを訪問(写真・時事通信)
能登半島地震の被災者は、耳を疑ったのではないだろうか。3月19日に行われた「第43回災害対策本部員会議」で馳浩知事は「国や市町と調整の結果、国のプッシュ型支援は3月23日の土曜日で終了いたします」と発表したのである。プッシュ型支援とは、国が被災都道府県からの具体的な要請を待たないで、物資を緊急輸送することを指す。
「驚いたのはその理由です。知事は『現在、地元商店などの営業が次第に再開しており、物資支援と商流再開を両立させることが重要』と述べました。
確かに『地元の流通を活発化させて経済を回すことも必要』という声も聞こえますし、義援金配分委員会は七尾、輪島、珠洲、志賀、穴水、能登の6市町の全住民に1人あたり5万円を配分することを決めていて、2月26日からはオンラインと郵送での申請、3月18日からは窓口での申請受け付けが始まりました。
しかし金額、スピード感のいずれも生活再建には十分ではありませんし、今なお農業用ビニールハウスなどで生活をしている被災者もいます。今後は県や市町が物資調達を行うとしていますが、果たして十分な調達量が確保できて、困難を強いられている方々すべてに行き届くのか不安が残ります」(ジャーナリスト)
馳知事自身も会見のなかで「必要となる物資量の減少を踏まえ、3月25日より、県の物資拠点を産業展示館から日本通運が保有する金沢市内の倉庫に移す」と表明していることから、物資量の減少を見込んでいるようだ。
今回の発言に、SNSでも“疑問”と“怒り”の声が見られる。
《自民党は被災地の被災者を見捨てた》
《岸田君が全力で復興するって言ってなかったっけ?》
《店舗が少しずつ開いて来たって 収入が途切れている人が 大勢いるのに》
《国ってこんなんで良いのか?》
輪島市も2月末日で、応援職員の減少などから自主避難所に食料などの支援物資を届ける活動を終了。3月から物資の配布は指定避難所や公共施設などに集約して、自主避難所の住民は集約拠点まで取りにいかなければならない。
あらゆるところで支援が縮小しているが、3月1日時点で1万人を超える被災者が避難所に身を寄せている。まだまだきめ細かい支援が求められるはずだが……。