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今日は色々疲れたので短めです…

代官として~統治と軍務~
――125――

 直属の騎士三〇人、歩兵六〇人とゲッケさんの傭兵六〇人、それに荷駄隊三〇人と地理に詳しい案内役を数人連れてアンハイムを出立。盗賊団や山賊団ならこの戦力で十分だし、正直これでも長々と動かすと消費物資が洒落にならない。

 理屈で言えば大軍を揃えたほうが強いというのはその通りなのだが、大軍を揃えるとその分物資が必要になる。ついでに言うと支援隊はまだ現場に出すには早い。ままならんもんだ。

 全員が一方の門から出るんじゃなく複数の門から分けて出たのは用心のため。


 「ご武運をお祈りしております」

 「卿らも気を付けてくれ。特に工事の準備と国境監視を頼む」

 「承りました」


 アンハイムに残るのは政務をとるベーンケ卿、支援隊を指揮するケステン卿、フレンセン、それにラフェドとアンハイムの警備隊隊長。動くのは代官の直接動員兵力だけで、糧食なども俺の名で準備したもの。誓約人会は予算も出さないが口も出せない。

 警備隊長は自分たちが信用できないのかと聞いてきたが、警備隊を動かすとなると誓約人会の同意が必要でそうするといろいろ面倒くさい。そろそろ面子がどうのと言ってくるころだし、その前に賊の方を終わらせよう。山賊もそうだが、魔軍にも時間を与えすぎているぐらいだしな。


 賊は大きく三グループに分かれている。というかそうなるよう誘導した。他の集団と合流しようとした小規模集団をホルツデッペ卿やゲッケ卿に討伐させたり、わざと多数の人数を出して牽制したりしながら、全体が一つの塊にならないようにしながらある程度の集団にしたわけだ。

 賊が小さく分かれすぎていてあちこちで討伐すると時間がかかるが、賊を全部一カ所に集めると数が多くなるんでこっちの被害が心配だし、討ち漏らしの危険性も増すからそこは難しい。


 本当は二グループにしたかったんだが、例の嫌なところに居座っている集団が思うように動かない。どころか柵やらなんやらで砦もどきまで作っているらしい。あの丘の近くの村からは搾取されていると救助要請も来ている。

 しかし略奪じゃなく搾取って賊の発想じゃない気がするんだよなあ。


 とりあえず偵騎と隣の領に使者を出し、冒険者ギルドにいくつか依頼をしておいてからアンハイムを出発。

 誓約人会も賊を放置しておくことの問題を理解できないはずもないわけで、協力的という訳でもないが喜んでいない訳でもないという何とも微妙な表情で見送られた。今回は足を引っ張られなければいい。保険も置いて来たし。


 「ヴェルナー様、敵の位置が判明しました」

 「ああ、どのあたりだ」


 アンハイムを出て二日目、偵騎が戻ってきて敵の位置を確認することができた。ホルツデッペ卿は偵騎の使い方が上手い。意外なのはノイラートにもその才能がありそうなことだ。ちょうどいいのでノイラートを補佐役という形でつけて学ばせている。


 「図で言うと一団がこのあたり、もう一団はこの方向に移動中です」

 「なるほど」


 俺の指揮下にいる人たちですら、地図がせいぜいで立体図形を基にした絵は見たことがなかったんで当然驚かれたが、すぐにこの地図と立体図の併用による有利性は理解してもらえた。今のところまだ広めてはいないが、そのうち広がるのかなあ。どうせなら等高線図を広めたい。まあそれは終わってからだ。

 図にコマを置いて状況を確認。移動をしていない一団がいるあたり、窪地があったな。待ち伏せというよりやり過ごしたいと考えているような感じか。移動してる方はツァーベル男爵の預かっている地域に移動中と。例の動かない連中も含めてそれぞれが一日から三日ぐらいの距離があるな。合流されないようにしていたんだから当然か。

 さてそうすると。


 「やり過ごそうとしている方から潰すか。窪地にいるなら騎兵を側面に回らせて歩兵はこっちの丘から逆落としをかける」

 「ヴェルナー様、ヒルデア平原の時の作戦案はヴェルナー様が考えたと聞いておりますが」

 「あー、そんな噂まで広まっているのか」


 ホルツデッペ卿の副官らしい騎士がそんなことを言って来た。そういえばあの時セイファート将爵の名前で報告はしてもらうように願い出たが、その後は特に秘密にしてほしいとか何も言っていなかったって、おや。

 口止めとかはしてなかったけど、そうそうそんなことを知っている人が多いはずもないよな。そもそも(ネタ)にする必要もないし。ってことはホルツデッペ卿は単に代官付き武官ってだけじゃなく、国の有力者に近い所にいる人なのか。とは言え仕事してくれればその辺はどっちでもいいや。


 「今回もあれをやってはいかがでしょうか。所詮賊でしょう、いっそ殲滅してしまえば」

 「あんなもんがそうそう成功してたまるか」


 言い切ったら絶句された。けど実際そうなんだよ。ハンニバルはカンナエの戦いで両翼包囲戦術を成功させたが、別の戦場でハンニバルの弟が再現しようとしたら見事なまでに失敗している。

 両翼包囲戦術を成功させるには、向いている地形とか、両翼を巧みに動かす総指揮官の力量とか、前線指揮官の状況判断力とかいろんなものが必要。はっきり言えば王太子殿下にはできたが俺には無理。凡人の俺は俺にできる戦い方でやる。


 「離れた地点に鎮座している連中はどうしますか」

 「連中は当面放置だ。どうやら有利な場所を手に入れてしまったから逆に離れられなくなったらしい」


 他の集団と合流されてからあそこの丘に登られたら面倒くさかっただろうと思う。補給面とかに問題があるのだろうか。そのあたりは正直何とも言えなかったが、ホルツデッペ卿の集めた情報によると、どうやら相手の方から合流を願い出てくるのを待っていたような気配だ。賊には賊の面子争いとかあるんだろうな。

 どうもその辺にちぐはぐ感もあるんだが動かないなら後回しだ。さっさと各個撃破してしまおう。


 「ホルツデッペ卿、卿は騎兵を率いて大回りで窪地のあちら側に回れ。その間私は歩兵を連れてこっちの丘に登る。ノイラート、ホルツデッペ卿と同行して道案内と突撃の合図を待て。長二短二で」

 「かしこまりました」

 「はっ」


 それ以外の準備を手早く済ませるようにシュンツェルに命じ、ゲッケさんの傭兵隊にも指示を出すと、足元を確認しながら歩兵を連れて移動開始。ちょうどいい大きさの石があったら拾い集めるように周囲に声をかける。

 あまり時間をかけずにこいつらは片付けたいところだな。

フレンセンの名前を間違えておりました。

ご指摘ありがとうございます。


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