ニュース風まとめアカウントの過去から見えてくるもの
X(旧Twitter)を使っていて、ニュースサイトのような体裁を取るまとめサイトの投稿が流れてきたことはないだろうか。例えば下記のようなアカウントがそれである。
これらのアカウントは一見ニュースサイトに見えるものの、実態はXや5chのまとめサイトであり、不正確なニュースや反ワクチン、移民排斥を煽るような投稿を行っていることも多い。多数のフォロワーを抱えるだけにその拡散力は侮れない存在となっている。
筆者はこれらのアカウントを見ているうち、あることに気付いた。他のアカウントが2019年以降に開設されている中、以下のアカウントのみ作成時期が古いのである。
そこで筆者は、その過去から何か探れないかと考えた。このアカウントがニュース投稿を始めたのは2023年の2月25日からと最近で、残念ながらそれ以前の投稿は見当たらなかった。
しかし、
このアカウントへのリプライを検索したところ、それ以前から投稿は行っており、全く異なるアカウント名で活動していたことが分かった。どうやら、北海道を拠点としたアウトドア系のノマドワーカー(懐かしいバズワードである)として活動していたようだ。
このhyper~というキーワードで検索すると、アーカイブサイトに過去の活動履歴が残っていた。いくつか見たところ、活動内容はXの投稿内容と一致していることが分かった。ブログは既に削除されており、記事を読むことはできなかったが、トップページ(hyper~.org)には今でもアクセスすることができる。
hyper~.orgというURLにアクセスすると、そこはウェブサイト制作業者のサイトになっていた。
筆者は試しに問い合わせを送ってみたが回答はなかった。
さて、上記ウェブサイトのアーカイブを辿ると、やはり以前はアウトドア系のサイトだったことが分かる。2017年までは下記のようなアウトドア系のみの内容となっていたが、
2018年になるとウェブ製作とアウトドアが同居する移行期に入り、沈黙を経て2021年には現在とほぼ同じデザインに変わっていた。「旅するウェブマスター」とトップに記載されており、アウトドア系のウェブ製作サイトを作っていた人物と同じ運営者であろうことが推察される。
このサイトには2016年まではプロフィールが掲載されており、そこには勤務先が掲載されていた。
このSという団体にはFBページがあり、最近まで投稿が行われていた(注:この団体が何か怪しいことをしているわけではない)。
これ以上は個人情報に辿り着いてしまうので詳細は書かないが、FBページから情報を追っていくと、北海道でアウトドア系のガイドを行っている人物が浮かび上がる(自ら該当ウェブサイトを投稿しており、顔写真、経歴ともに一致している)。この人物が、少なくともhyper~時代のニュース風まとめアカウントを運営していたものと考えられる。
気になるのは、この人物が現在もニュース風まとめを運営しているのかという点だが、今の関係を直接示す情報が出てこないので、正確には何とも言えない(アカウントを売った可能性もある)。
ただ、リプライを追っていた筆者はあることに気付いた。休眠期間に思えた時期に、何故かFX関連のリプライが付いていたのである。これは単なるスパムだろうか。
気になった筆者が、上記画像の2つめの投稿に書かれているアカウント文字列で検索したところ、FXツールに関連しているページがいくつかヒットした。そして、その中で紹介されていたあるサイトが筆者の目を引いた。
そこに現れたのは、タイトルイメージからサイトの構成まで、ニュース風まとめサイトに酷似したFXのサイトであった(そしてサイト名は「〇〇な俺」とハイパー~に類似している)。果たしてこれは偶然だろうか。
気になった筆者は、アーカイブに残っているニュース風まとめサイトのソースを確認してみた。2023年3月19日時点のソースに見られるGoogle AdSenseの情報は下記である。 <!-- Google AdSense スニペット (Site Kit が追加) --><script async="async" src="https://web.archive.org/web/20230319172347js_/https://pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js?client=ca-pub-1503282491933981&host=ca-host-pub-2644536267352236" crossorigin="anonymous"></script>
view-source:https://web.archive.org/web/20230319172347/https://newssharing.net/
そして、FXサイトのソースに見られるGoogle AdSenseの情報は下記だ。 <script async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"></script><script> (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({ google_ad_client: "ca-pub-1503282491933981", enable_page_level_ads: true });</script>
さらに、アウトドアサイトだった頃のハイパー〜のソースを見てみよう。この情報にも同じIDが見られる。 <script async src="//web.archive.org/web/20180325101923js_/https://pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"></script><script> (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({ google_ad_client: "ca-pub-1503282491933981", enable_page_level_ads: true });</script>
つまり、3つのサイトのパブリッシャーID(GoogleAdsenseのアカウントを一意に識別するID)は一致している。アウトドアサイトとFXサイト、そしてニュース風まとめサイトのアドセンスアカウントは同一である、ということだ。
別人が作ったサイトで、このようなことが起こりうるのだろうか。今のところ、挙げられる情報はこんなところである。
いずれにしろ、ニュース風まとめサイトの目的はPVと広告費稼ぎだと思われる。アクセス数を稼げるコンテンツを作るのであれば、倫理感を持ってもらいたいものだ。
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