駄菓子おやつジソエビ

「テッテレー♪」
お決まりの可愛い産声をあげてウジちゃんが誕生した

そしてママのお股から落下すると、水を含んだスポンジの電動ローラーに雑に粘膜を洗い落とされた

「レ、レフー?」

ウジちゃんには何が起きているかわからない

そしてスライドする板によってベルトコンベアーに乗せられた

粘膜をとられたことで、ママにナメナメされたと判断したウジちゃんは次のアクションを待った
「ママフープニフー」

そうしている間にベルトコンベアーは進んでいく

ウジちゃんの少し先では別のウジちゃんが工場作業石によって髪とおくるみをはぎ取られていた

そしてウジちゃんの番が来た

「ごめんなさいデスー」(むきむきブチブチ)

「レ…?レ…?」「レ…レヒャァァァァーッ!?」

ウジちゃんが何もかも失ったことに気が付いたときにはベルトコンベアーはかなり進んでいたのでその嘆きの声は工場作業石には届かなかった

さめざめと泣くウジちゃんをよそにベルトコンベアーは進む
そして暗い場所に入ると上から少し粘度のある液体が落ちてきた

「レポボッ!レホッレホッ!」

口にかかってきた謎の液体はとてもウマウマな味がしたがそれどころではなかった

本能的にこのまま液体に殺されるとわかったからだ

だがウジちゃんには何もできない

泣きながら役立たずのオテテとアンヨを動かすが、まったくの無駄である

ウジちゃんの文字通り虫の息の肺活量では、もうむせることもできず意識が遠のいてゆく

思い出を持ち合わせていないウジちゃんの脳には走馬燈すらよぎることはない

ゆっくりじわじわと苦しみながら溺死し、その生涯を終えた

「おばちゃーん、これちょうだい」
「あいよ10円ね」

駄菓子屋からでた少年は、待ち合わせていた友達と合流した

「あれ買ってきた?」

「おう、もちろんだよ」

手にはジソエビの駄菓子が握られている

「さっそく公園に行ってあの妹蛆思いの仔実装に無理やり食わせてやろうぜー」

「もし見つかんなかったらどうする?」

「そんときは俺たちで食えばいいんだよ」

少年はちらと駄菓子を見た

そいつの顔は苦悶に満ちていてどこか悲しげな感じがしないでもなかった