身長には敏感だが腕の長さには鈍感

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ボクサーのリーチの長さについて調べていて思ったのだが、われわれは身長にはとても敏感だが、腕の長さには極めて鈍感である。辰吉丈一郎はリーチが長く、確かに見てみると長いとは思うのだが、本当に長いかどうかは自信がない。辰吉は身長164センチでリーチが178センチなのだが、腕の長さの見分けについては自信がないので「実は嘘でした」と言われると、ああそうなのかと思うわけだ。ちなみにリーチというのは肩幅を含むから、腕の長さで語るのは間違いだし、そこがリーチを見極める難しさだが、この文章の趣旨は、ボクシングのリーチの問題ではなく、腕の長さに鈍感という話である。辰吉の身長が164センチというのは、そうだと思うし、実は170センチと言われたら、絶対に嘘だとわかるわけだ。160センチと言われても嘘だとわかる。これも不思議である。たとえば、目の前に机があるとして、横幅について問われたら、誤差がかなり出そうである。横幅150センチが正解であるとして、おそらく正確に答えられる人は少ないと思うし、140センチと答えたり、160センチと答えたりするかもしれない。他人の身長は正確にわかるが、目の前の机の横幅はわからない。これが人間なのである。なぜか身長だけは正確に測れるのである。自分の身長を物差しにしているというのもあるが、映像で見ても身長はわかる。目の前の机の幅よりは、映像に映っている人間の身長のほうが正確に答えられる。あるいは、足の長さなら見極められるし、頭部のサイズについても、敏感だからわかる。腕の長さとなると、なぜか自信がないのである。足の長さと頭部の大きさはスタイルにとって重大だが、腕の長い短いはどっちでもいいので、ボクシングのときくらいしか出てこない。だからボクシングの選手を見ても、腕の長さの判断には、あまり自信がない。もちろん大雑把に長いか短いかはわかるのだが、身長のように細かくは見極められないのである。
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