【閲覧注意】トレちゃんをからかい続けたせいで

  • 1二次元好きの匿名さん24/03/17 20:03:57

    顔を真っ赤にしたトレちゃんに震える手で襲われてしまい、しめしめとばかりに
    「あ〜♡担当に手を出すとかいけないんだ〜♡」とニヤニヤしながらからかい続けるも
    情報には全くなかったトレちゃんの溺れるほど一途で真っ直ぐな愛情に気付いてしまってだんだんからかう余裕を無くしていき最終的に組み伏せられて枕を抱きしめながら
    「ごめっ♡許しっ♡ウチが悪かったですっ♡ごめんなさいごめんなさいっ♡あ“っ♡」と本気謝罪イチャラブぴょいしちゃうトランセンドはここですか?

  • 2二次元好きの匿名さん24/03/17 20:04:37

    >>1

    お前が書くんだよぉ!

  • 3二次元好きの匿名さん24/03/17 20:04:43

    そこになければないですね

  • 4二次元好きの匿名さん24/03/17 20:05:16

    詳しくは署で聞かせてくれる?

  • 5二次元好きの匿名さん24/03/17 20:07:53

    まずうちにさあ...あんだけど寄ってかない?

  • 6二次元好きの匿名さん24/03/17 20:08:26

    当店はセルフサービスとなっております

    GIF(Animated) / 4.8MB / 9230ms

  • 7二次元好きの匿名さん24/03/17 20:10:11

    おかわり自由だからもっとどうぞ?
    てかもっとくれよ

  • 8二次元好きの匿名さん24/03/17 20:14:42

    >>1

    一繋ぎの秘宝の正体これらしいな

  • 9二次元好きの匿名さん24/03/17 20:19:22

    >>1

    ウチとしては構わんのだが~?

    トレちゃんもしかして据え膳食えんような男なん?

    心配せんでも情報屋の口は堅いんよ?

    おっ、やる気だね。

    おおぅ…堅いのはウチの口じゃなくてこっちだったかー…

    こんっ…なのっ…ウチっ…知らないっ…


    みたいなの早く書いてよ

  • 10二次元好きの匿名さん24/03/17 20:51:00

    キスだけの全年齢版ならご用意ができると思いますが……

  • 11二次元好きの匿名さん24/03/17 20:51:57

    >>10

    どうか、宜しくお願い申し上げる

  • 12二次元好きの匿名さん24/03/17 20:53:53

    息もできないくらい激しいキスされそう

  • 13二次元好きの匿名さん24/03/17 23:56:03

    すみませーん、ここに

    「ほら、そっちにゾンビ行ってるよー」
    「任せろー」
    今日は土曜日、お休みなのでトレちゃんと一緒にゲームをプレイしてる
    「オッケー殲滅完了、トレちゃん上手くなったじゃーん」
    「当たり前じゃーん」

    お互いの拳をコツンと合わせて笑い合う、お休みの時はこうやってトレちゃんの家でゲームしたりお茶会をするのが当たり前となった

    「ふぅ、ちょっと疲れてきた」
    「そうだな、そろそろ休憩するか」

    そう言うとトレちゃんは立ち上がる

    「お菓子とお茶、持ってくるよ」
    「ウチも手伝うよ」
    「大丈夫大丈夫、すぐ用意できるから待ってて」
    「そう?じゃ、お言葉に甘えまーす」

    トレちゃんのベットで横になりながら台所に行くトレちゃんを見送る

    最初はお菓子と情報の等価交換をする関係だったけど、そこから一緒にURAを駆け抜けるパートナーとなったトレちゃん

    今ではこうやって休みの日もずっと一緒にいる事が増えたけど・・・

    「トレちゃんはウチの事どう思ってるのかな・・・」

    最近ウチが考えている事はそればっかりだ

  • 14二次元好きの匿名さん24/03/17 23:56:58

    震災の時、心が折れそうになったウチをずっと支えてくれたトレちゃん

    トレちゃんが居てくれたから東京で開催されたマイルCS南部杯も勝つ事が出来たし、ドバイワールドCでも健闘する事が出来た

    ずっとトレちゃんが近くで見ていてくれたから今のウチがいる

    「・・・そんな人がずっと近くにいたら惚れるに決まってんじゃん・・・」

    そう呟きながら枕に顔をうずめる、だけど・・・
    「ウチ、魅力ないのかなぁ・・・」

    ここ最近、ウチはよくトレちゃんをからかうというていで体をくっつけてみたり、間接キスをさせようとしてみたけどトレちゃんは特に動揺したりする様子はなかった

    「少しはドキドキしてくれてもいいのにさ・・・」

    そう思うとなんかトレちゃんに対してむかむかしてきた
    「・・・よし、いつもより刺激の強いアピールしてみるか」

    そう意気込んでいるとちょうどトレちゃんがお茶菓子をもってきた

    「お待たせー」
    「トレちゃんありがとー・・・お、これ最近話題になってるお菓子じゃーん」
    「そうそう、俺も気になってたから早速買ってきたんだ」

    そう言ってトレちゃんはテーブルにお茶菓子を置きあぐらをかいて座る
    「ほら、トランも座りなよ」
    「うん」

    そう言ってウチは・・・
    --------------------------------------------------------------------------------------

  • 15二次元好きの匿名さん24/03/17 23:57:42

    「ト、トラン?」
    「んー?どうしたのトレちゃん?」
    「ど、どうしたのって・・・」

    トレちゃんが困った声を出している、それもそうだろう、ウチは今トレちゃんがかいたあぐらの上に座っている

    「おー、このほのかな酸味がたまりませんなー、おいしいよトレちゃん」

    「そ、そうか・・・いや、トランさん?」

    トレちゃんのたくましい胸板に背中を預けながらお菓子を頬張る、心なしかトレちゃんの体温が上がっていくような気がする

    「トレちゃん、食べないの?美味しいのに」
    「た、食べるけど・・・どうして俺の上に座るんだ?」
    「ダメ?」
    「ダメだよ、こんな事・・・」
    「えー?ウチとトレちゃんの仲じゃーん、全然気にしないよー?」
    「トランはよくても俺が気にするの!」
    「どうして?」
    「どうしてって・・・」

    トレちゃんの顔を見上げながら問うと恥ずかしそうに顔を背けるトレちゃん、これは・・・

    「トレちゃーん、顔赤いよ?もしかしてドキドキしてるの?」
    「そ、それは・・・」

    ますます体温が上がっていくトレちゃん、このまま押せば・・・

  • 16二次元好きの匿名さん24/03/17 23:58:52

    「んふふー、トレちゃーん」

    そういってトレちゃんの首に顔を近づける、男の人の匂いがしてウチもドキドキしてしまう

    「ト、トラン!?やめなさ・・・」
    「ねぇ、トレちゃん」
    「トラン?」

    今が好機と見たウチはここで畳みかける事にした

    「トレちゃんはウチの事、どう思ってる?」
    「ど、どうって」
    「担当バ?生徒?子供?それとも・・・」

    トレちゃんの目を見つめる

    「女として、見てくれてる?」
    「・・・」
    「トレちゃんはわかってる?」
    「え?」
    「女の子が男の人の家に行く事の意味」
    「・・・」
    「ウチ、いつもドキドキして、覚悟を決めてトレちゃんの家に来てるつもりだよ?」
    「トラン・・・」

    さらに上がるトレちゃんの体温、だめだ、ウチも止まらない・・・
    「トレちゃん・・・」
    「ウチの事・・・女として見てほしいな?」
    「・・・」

  • 17二次元好きの匿名さん24/03/17 23:59:55

    長い沈黙が続く・・・トレちゃんからの返事がない

    「トレちゃん・・・?」

    トレちゃんは目をつむり、動かなくなってしまった、心なしか体温も少し下がってきたような気がする

    「え、えと・・・」

    怒らせてしまっただろうか、もしかするとトレちゃんに軽蔑されてしまうかもしれない、そう思うと血の気が引く思いになった

    「・・・な、なーんちゃって!」

    あわてて私はいつものからかいだったというアピールをしてしまう

    「ドキドキしたでしょー?ウチの演技も大分上手くなったと思わなーい?」

    このままトレちゃんに軽蔑されてしまうと今の関係も壊れてしまう、それだけは嫌だった

    「あ、あはははは・・・ごめんね、トレちゃん、ちょっと調子に乗っちゃ・・・」
    「トラン!」ガバッ
    「きゃっ!」

    --------------------------------------------------------------------------------------

  • 18二次元好きの匿名さん24/03/18 00:01:03

    「ト、トレちゃん・・・?」

    何が起こったのか理解出来なかった

    「トラン・・・」

    気が付けば、ウチはトレちゃんのベットの上で、トレちゃんに押し倒されていた

    「え、えと・・・トレちゃん」
    「トラン」
    「は、はい」

    トレちゃんに両腕を掴まれてじっと見つめられている、すこし力をだせば簡単に振りほどけるはずなのに力が全然入らない

    「いい加減にしてくれよ」
    「え」

    心臓がきゅっとした、嫌だ、トレちゃんに嫌われる、それだけは嫌だ

    「ご、ごめんなさ・・・」
    「いつもいつも俺を誘惑して」
    「え?」

    トレちゃんは顔を真っ赤にして言葉を続ける

    「毎日毎日会うたびにその体をくっつけたり!間接キスを平気でさせようとしたり!」
    「トレちゃん・・・」
    「その可愛い笑顔をいつも俺に見せつけてきて!挙句の果てに女として見てほしいだって!?」
    「ト、トレちゃん・・・?」
    あれ、様子がおかしいぞ?

  • 19二次元好きの匿名さん24/03/18 00:02:11

    「そんな事言われたら俺!どうにかなっちゃうよ!」
    「お、落ち着いてトレちゃん」
    「落ち着けないよ!」
    「ひゃっ」

    トレちゃんが顔を近づけてくる

    「ずっと思い続けてた」
    「え?」
    「これは、ただの勘違いだって思い続けてた」
    「トランは皆に優しくできる素敵な女の子だから、俺だけにそんな態度を見せてくれる訳じゃないって思い続けてた」
    「トレちゃん・・・」
    「それに、俺たちはトレーナーと担当バ、そんな関係になる事はダメだって言い聞かせてたのに・・・」

    トレちゃんの両腕に力が入る、すごく熱くなった両腕に抑えつけられる
    「・・・トラン」
    「今すぐ全力で暴れて逃げてくれ」
    「ト、トレちゃん・・・」
    「俺、俺・・・」
    「・・・トレちゃん」
    「トラン?」

    ウチも覚悟を決めた
    「大丈夫だよ、ウチとトレちゃんの仲でしょ?」

    「・・・ウチ、トレちゃんの全部、受け止めるよ?」
    「・・・トラン」
    「・・・んっ」チュッ

    --------------------------------------------------------------------------------------

  • 20二次元好きの匿名さん24/03/18 00:02:39

    ------1時間後


    「トラン!トラン!」

    「ト、トレちゃん!待って、あっ♡あっ♡い、いっかい止まって!んっ♡んんっ♡」

    「いつもいつも俺の事からかって!俺をずっともやもやさせて!」

    「ごめっ♡許しっ♡ウチが悪かったですっ♡ごめんなさいごめんなさいっ♡あ“っ♡」

    「トラン!!!!」

    「あっ♡あっ♡あああああああああああああああああ!!!」


    ----------------------------------------------------------------------------------------

  • 21二次元好きの匿名さん24/03/18 00:03:05

    「トレちゃんのバカ!!!」ポカポカ
    「いたたたた!ごめ、ごめんトラン!」

    ウチは顔を真っ赤にしながらトレちゃんの胸をたたいている、もちろん手加減して

    「何回も止まってって言ったのに全然止まらないし、ウチ、ホントにどうにかなりそうだったんですけど!?」
    「はい、本当にごめんなさい」
    「もう!いつもの優しいトレちゃんから想像もつかないくらい野獣っぷり発揮しちゃって!」
    「はい・・・ごめんなさい」

    トレちゃんが泣きそうな顔でこっちを見つめている、その顔に弱いからやめてほしい

    「・・・ま、まぁ?それだけウチが魅力的だったって事だよね!いやぁ可愛いって罪ですよねー」
    「それはもちろん」
    「即答ですか」

    ほんとこの男は・・・

    「まぁいいよ、今回は許してあげよう」
    「トラン、ありがとう」
    「そのかわり・・・」


    「次はもっと優しくしてほしいな♡」

    「・・・トラン!」ガバッ
    「ちょ、ちょっと!?次って言ったでしょ!?このケダモノー!!!」

    みたいな話って置いてますか?

  • 22二次元好きの匿名さん24/03/18 00:07:48

    たったいま生まれましたね…

    最高かよぉ!

  • 23二次元好きの匿名さん24/03/18 00:21:46

    今お前が生み出しましたね…

  • 241にして1024/03/18 00:22:24

    解 釈 一 致

    ちまちま書いてるうちに物凄い良SSが生まれとるやないか……BIG THANK YOU……

    やはりからかい過ぎてトレちゃんにめちゃくちゃに逆襲されるトランは健康に良い

    イッチちょっと横になりますね……


    でも自分も地味にちゃんと>>10の概念でセルフサービス持ってきたからこっちもどうか味わってほしい……

  • 251にして1024/03/18 00:30:32

    トランセンドには密かな愉しみがある。
    トレーナーをからかうことであった。
    彼女とトレーナーの付き合いは、それなりに長い。互いに気を遣うことのない親友のような関係で、だからトランセンドもトレーナーも、普段の会話はまことに自然体なものだ。
    それだけに、トレーナーに不意打ちで思わせぶりなことを言ったりすると、彼は実に慌てた素振りを見せてくれるのだ。
    例えば、トランセンドが彼にお礼を言うときにちょっと一言付け加え、

    「ありがと、トレちゃん。愛してるぞ〜♡」

    たったそれだけのことで、彼は年上の男とも思えぬように身体をびくつかせる。そしてこちらがニヤニヤと笑っているのを知るや、

    「そういう冗談、驚くからやめような⁉︎」

    初心そのものの上擦り声で彼女をたしなめる。
    その声と表情を見るのが面白く、トランセンドは事あるごとに彼をからかい続けてきた。

  • 261にして1024/03/18 00:31:51

    だがここ最近、トランセンドは何やらご不満の様子であった。

    (なんかトレちゃん、ウチのからかいに慣れてきちゃった感じじゃね?)

    このことである。
    昨日だってそうなのだ。
    トランセンドがいつもの如く、茶目っ気たっぷりに愛の言葉を囁いたのだが、トレーナーはあろう事か、

    「ああ、俺も愛してるよ」

    顔色ひとつ変えることなく、抜け抜けと宣ったものである。
    あまりにも拍子抜けで、しかも出し抜けだったから、思わずこちらがぴくりと眉根を動かしそうになったものだ。
    勿論そんな動揺はおくびにも出さぬトランだが、とにかくその後も何度か同じ言葉を伝えてみても、トレーナーの反応はとんと芳しくない。
    これは由々しき事態だ。
    何故こんなことになったかと考えてみれば、そこは分析に一家言あるトランだけあり、原因はすぐに分かった。

  • 271にして1024/03/18 00:32:39

    (ふむりふむり。つまりはトレちゃん、ウチの愛の囁きが日常と思うようになってしまったワケだね。これはしまった。ウチとしたことが、トレちゃんにとっての平凡な日常を演出することになってしまうとは)

    元来、トランセンドは代わり映えのなさを嫌い、未知の刺激を追い求めるウマ娘である。
    その彼女がなんたる事か、トレーナーに毎日同じ刺激を与え続けてしまった訳で、彼女はぽこんと頭を叩いて己の怠慢を戒めた。
    いずれにせよ、日々の密かな愉しみが失われてしまうとあっては、このまま手を打たないわけにはいかぬ。
    それではどうするかというと、答えは至極単純であった。

    (ふふん。だったら今までとは違った刺激を加えてあげればいいだけじゃん。トレちゃんよ、今に見てろよ〜……)

    というわけで明くる日。
    彼女は早速、作戦を実行に移した。
    トレーナーが机に向かって業務に勤しんでいるところへ、トランセンドは彼の背後に音もなく忍び寄り、がばりと両腕を回して彼に抱きついてやったものである。

    「ト〜レちゃん♡」
    「うわわっ……⁉︎」

  • 281にして1024/03/18 00:33:42

    効果は覿面であった。
    抱きつかれたトレーナーは哀れなほどに取り乱し、腕をわたわたさせて必死に抵抗の意を示した。

    「ト、ト、トラン⁉︎ちょっ、何してるの……⁉︎」
    「ん〜?何って、仕事でお疲れ気味のトレちゃんを癒そうとしてあげてるだけだけど〜?」
    「い、い、いや気持ちは有難いけどさ⁉︎離れてくれないかな、近いから……!」
    「まあまあ、遠慮せずに。ウチとトレちゃんの仲でしょ?ほれほれ〜♡」
    「あーっ!いけません!いけませんお客様!あーっ!あーっ!」

    トレーナーめ、背後から顔をすり寄せるようにして、むぎゅむぎゅと身体を密着させてくるトランセンドにまるで成す術を知らぬようだ。
    仮にもトレセン学園、それも中央のトレーナーだというのに、年下の乙女に良いようにおもちゃにされるとは情けない限りである。

    (うへへへ。トレちゃんってば、やっぱり面白い。からかい甲斐のある反応してくれるじゃないか、このこの〜♡)

    慌てふためくトレーナーをたっぷりと堪能したトランセンドは、新鮮な供給に大いに満足したらしい。

  • 291にして1024/03/18 00:36:01

    それからしばしば、トランセンドはこの抱きつき作戦でトレーナーをからかい続けていたのだが、何回も何回も続けているとやはり効果は薄れてきてしまうようである。
    今やトレーナーは、トランセンドが己の腕や背中にぴっとりくっ付いていてもどこ吹く風と言った様子で、

    「トレちゃ〜ん」
    「ん〜?」
    「かまえよ〜」
    「あとでね〜」
    「……何か言うことないのかよ〜?」
    「暑いからどいてね〜」
    「…………」

    と、トランセンドがこれ見よがしに頬を膨らませて見せても、まるで気にも留めない様子ではないか。
    これはまたしても、トレーナーの心に慣れが生まれてきてしまったと言ってよい。
    ならば改めて違った攻勢を考える必要があるわけで、トランセンドは夜な夜な布団の中で、あれこれ思案を巡らせた。

    (なるほど。愛の言葉もダメ、スキンシップもダメ、か。それじゃあお次はどうしようか、な……?)

    と、そのときである。

  • 301にして1024/03/18 00:37:06

    突如としてトランセンドの脳裏に、電光の如く閃くものがあった。
    そして、自分がその行動をしてみたときのトレーナーの顔を想像してみた瞬間、トランセンドは思わず布団を両手で握りしめ、にゃまりと含み笑いをしたものだ。
    さて、その日。
    トレーナーが部屋に備え付けられている書棚の前で、数冊の本を出したり仕舞ったりしては何やら難しい顔をしているのを見つけたトランセンドは、何食わぬ顔で彼のすぐ隣にちょこちょこと寄っていき、その手元を覗き込んだ。

    「やほ。何してんの?」
    「ああ、トラン。いや、どの本を読もうかと思ってね」
    「うーわ。もしかしてここにあるの、全部トレーニングの本?ちょっとヤバいぐらいの量じゃない?」
    「どれもこれも面白そうだからさ……まだ読んでない本があるのに、つい買って手元に置いときたくなっちゃうんだ……」
    「え待って。もしかしてトレちゃん、積読しちゃう人?」
    「違うんだトラン、聞いてくれ」
    「ほう、続けてどうぞ?」
    「面白そうな本が多過ぎるのが悪い」
    「連れていけ」
    「やめろー!僕は無実なんだー!弁護士を呼んでくれー!」
    「ぷははっ。トレちゃん、必死かよ」

    大袈裟な素振りでおどけるトレーナーに、トランセンドはケラケラと笑った。
    そして、その笑顔のままで一歩。
    これも同じく楽しそうに頬を緩ませているトレーナーの方へ体を寄せて、いつも通りの口調で切り出した。

    「ねえ、トレちゃん」
    「ん?どうしたトラン」
    「ちゅーしよ?」

  • 311にして1024/03/18 00:38:11

    トレーナーの手から、本がばさばさと音を立てて床に落ちた。
    そのことにも気付かないかのように、トレーナーは息を詰め言葉を忘れ、トランセンドを凝視している。
    思いきり見開かれたトレーナーの双眸を見つめ返して、彼女は再び彼に告げた。

    「なんかさ。ちゅー、したくなっちゃった」
    「え……は……」
    「ね。トレちゃん。キスしない?」
    「ト……トラン、なに、言って……」
    「だめ?ねえ、だめかな、ウチじゃ……」

    言いながらトランセンドは伊達眼鏡を外した。
    瞳をやや潤ませるようにしてみせて、トレーナーにずいと近寄る。
    書棚を横目にしたトレーナーが後退りする度に、一歩、一歩、また一歩。
    トレーナーの背中が壁に付いてしまってから、トランセンドは自慢の美しい尻尾をしゅるりと彼の脚に絡ませて、なおも彼に言い募る。
    彼の身体が、熱病にでも罹ったかのようにぶるぶると震え始めた。

    「トレちゃん。ねえ、トレちゃんってば……」
    「待っ……待って。待って。待って、トラン。だめだ。だめだよ、そういうの……」
    「なんで?どうして?ウチとトレちゃんの仲なのに……?」
    「だ……だって、そうだろ?いくら仲良くたって、だめなんだ。そういうことはちゃんと、トランが、トランの、好きな人と……」

  • 321にして1024/03/18 00:39:44

    「だから、でしょ」
    「へ……」
    「だから、トレちゃんなんだよ」
    「そ……そ、それは、どういう」
    「……この鈍感要塞。いつも言ってたじゃん。愛してるって」
    「あ……う……」
    「ね、トレちゃん……」
    「ト、トランっ……!」
    「……ぷっ」
    「…………え?」
    「ぷふっ。あっはっはっは!な〜んちゃって!」

    堪えきれずに、トランセンドは吹き出すと同時に絡ませた尻尾を解いて、トレーナーからぴょこんと距離を取った。
    対するトレーナー、未だ何が何だか分からぬという面持ちで両目をしぱしぱ瞬かせ、

    「あ……え……え……?」
    「ごめんごめん。冗談だよん。いつもトレちゃんが可愛い反応してくれるもんだから、ちょっと調子に乗っちゃった」
    「じょ……冗談……?」
    「そー。まさか本気にしちゃった?」
    「じょ、冗談って……ど……どっから、どこまで……?」
    「ふふふ。さあ〜、それはどうでしょう。ま、ここから先はキミ自身の目で確かめてくれ!な〜んてね?」
    「…………」

    トランセンドのトレーナーは今度こそ言葉を失い、俯いた。
    その耳がみるみるうちに赤くなっていくのを見たトランセンドは、またもや自分の立てた作戦が大成功したことを知った。

  • 331にして1024/03/18 00:40:50

    (うわ!うわ!うーわー!トレちゃん、滅茶苦茶シビれるリアクションじゃん!こいつぁ我ながら大当たりだぜ〜♪)

    そう、つまりはこれこそがトランセンドの考えた秘策だったのである。
    愛の言葉もスキンシップも効き目がないとくれば、次なる道はその更に先に、即ちキスに見出すしかあるまい。
    キスしちゃう雰囲気になったとき、トレちゃんは一体どんな未知なる反応を自分に見せてくれるのか。
    晴れてその答えを見つけ出すことができたトランセンドは至極満足げな様子で、むふーとばかりに鼻息を荒くした。
    異変が起こったのは、まさにそのときである。
    それまで無言で俯いていたトレちゃん、いやトレーナーの体がいきなり突風の如く揺れ動いたかと思うと、トランセンドの両肩をがしりと掴まえた。

    「え、ちょ、わわわっ……⁉︎」

    あまりの突然さに、トランセンドは咄嗟に反応できなかった。
    次の瞬間、二人の体はぐるりと入れ替わって、トレーナーが壁を背にしたトランセンドを半ば押さえつけるような格好となっていた。
    その彼の両手に、万力の如く恐ろしい力が徐々に籠っていくのを、トランセンドは半ば呆気に取られるようにして感じていた。

  • 341にして1024/03/18 00:41:33

    「ト、トレちゃん……?」
    「トラン……キ、キミは……キミってやつは……」

    絞り出すような声である。聞いたことのない声である。
    満面を真っ赤に燃え滾らせたトレーナーが、震える両手でトランセンドを押さえつけている。
    両目にはうっすら涙を浮かべ、いつにない鋭い目つきで彼女を睨み付けているのである。

    (な……なに、その顔。知らない。ウチ、トレちゃんのそんな顔、見たことない……)

    未知の情報。未知の知識。
    今まで知らなかった、トレーナーのこと。
    トランセンドの全身に、ぞくりとした感覚が疾り抜けた。

    「ひ、人の気も知らないで……俺が、俺がどんなにキミを、大切に……」
    「へ、へ〜……トレちゃんってば、ウチのこと大切にしてくれてたんだ〜……。それはまあ、なんというか光栄といいますか……」
    「トラン」
    「あ……な、なに。トレちゃん」
    「俺、もうだめだ」
    「だ……だめ。え、だめ、とは?」
    「今ね。すごい怒ってるの」
    「う、うん……
    「今までね、すごい我慢してたの」
    「が、我慢ですか。な、なんの我慢だったのかなぁ。えへ、へへへ……」
    「トラン」
    「は、はい」
    「覚悟してよね」

  • 351にして1024/03/18 00:42:26

    その言葉が何を意味しているか、分からないトランセンドではなかった。
    じっとりした汗が彼女の頬を滴るように流れ落ちていき、鼓動が早くなっていくのを感じる。
    それでもなお努めて上位的立場を取るためにニヤニヤ顔を保とうとするが、果たして上手く表情を作れていたか、どうか……。

    「あ。あ〜、担当に手を出すつもりなんだ〜。トレちゃん、自分のしてること分かってる〜……?」
    「トランこそ、分かってなかっただろ。今まで散々、俺にどれだけひどいことしてきたのか」
    「い、いやぁ。だってウチとトレちゃんはさ」
    「うるさい」
    「んむっ……⁉︎」

    普段とは違う乱暴な口調のトレーナーに驚く間も無く。
    言い訳を紡ごうとしていたトランセンドの柔らかな唇は、彼の唇によってすっかりと塞がれてしまっていた。
    時間にしてごく僅かだが、トランセンドの受けた衝撃は計り知れなかった。
    行為そのものの経験が初めてだったのも去ることながら、いつもふざけてくだらないことで笑い合っていたはずの相手と、唇を重ね合わせている事実。
    しかもその相手は、自分と契約しているトレセン学園のトレーナーなのである。

  • 361にして1024/03/18 00:43:05

    (あ……ヤバ。ウチ、今、すごくヤバいことしてる……)

    今まで知り得べくもなかった高揚と背徳に、トランセンドの脳髄がゾクゾクと激しく揺さぶられた。
    唇を離した後でも、彼女はまだどこかふわふわと浮いていってしまいそうな感覚に囚われていている。
    トレーナーが耳元で囁く声を、どこか夢うつつに聴いていた。

    「トラン」
    「ト……トレちゃん……」
    「トラン、好きだ」
    「待っ……待って、トレちゃん。だめ。だめ、だから……」
    「待たない。キミが悪いんだ。キミがその気にさせたせいで、俺は……」
    「だ、だってそれは、ん、む、んぅっ……」

    口付けがかわされる。
    何度も何度も何度も何度も、離れてはくっついて、その度にトランセンドの鍛え上げられたはずの力強い脚から、ぴんと立っていた筈のウマ耳から、くたくたと力が抜けていく。
    彼の唇からは甘くて優しくてこまやかな、それでいて燃え盛る炎のような愛情が痛いほど伝わって、トランセンドの心を激しく掻き乱した。

    (し……知らないっ……こんなの、全然、聞いてないっ……!)

  • 371にして1024/03/18 00:43:40

    二人の口の端に唾液の橋が輝くようになった頃。
    トランセンドもトレーナーと同じくらいに顔を真っ赤に上気させて、骨という骨がなくなってしまったかのように、彼の両腕にその身を預けるがままになっていた。

    「ぷ、はっ……うぁ、あ……」
    「トランっ……トランっ……」
    「だめぇ……だめだよ、んっ、んぅ……はぁ……だめ、ねえ、トレちゃんってば……」
    「好きだ……トラン、好きなんだ……」
    「言わないで、言わないでよっ……そんなこと聞いたらウチ、もう引き返せな、んんっ……」
    「愛してる……愛してるよ……ねえ、トランも言ってよ。いつも俺をからかってるみたいにさ……」
    「ご、ごめっ……ごめん、トレちゃん、からかったりして。だから、も、やめ……」

  • 381にして1024/03/18 00:44:13

    「やめない」
    「んむっ……⁉︎ん、んぅ〜〜〜っ……♡」
    「トランが悪いんだよ」
    「ごめんっ、ごめんなさいっ、ウチが、ウチが悪かったからっ、あっ、やっ、んっ、ん〜〜〜っ……♡」
    「トラン。俺のこと、好き?」
    「し、知らなっ……そんなの、知らっ……」
    「嘘つき」
    「んんっ〜〜〜っ……ぷ、はっ……す、好き、好きだからっ、トレちゃんのこと愛してるからっ、だからもうやめよ、ねっ、ねっ、ねっ」
    「そっか。好きならもっとしてもいいよね」
    「やぁっ、なんれっ、んむっ、んぅ〜〜〜っ……♡」

    何度懇願しても、もはや無駄なことであった。
    或いはトランセンドには、既に分かってしまっていたのかもしれない。
    彼がどれだけ、自分のことを誠実に想ってくれていたのかを。
    その彼に、自分がどんな仕打ちをしてきていたのかを。

  • 391にして1024/03/18 00:45:07

    だから、これはきっと罰なのだ。
    彼をこんな風に変えてしまった自分への、狂おしいほどの愛しい罰。軽率な自分の行動が、二人の関係をすっかりと変えてしまった。
    けれども同時に、トランセンドには分かっている。
    この変貌もきっと今日この時だけのことで、その時がくればきっと、彼は元通りの優しい彼に戻ってくれることだろう。
    とんでもないことをしてしまったと顔を青くして謝る彼を、自分はニヤニヤ笑みを浮かべて寛大な心で許してやる。
    そして明日からはまた元通り、彼と一緒にふざけ合い、からかったりからかわれたりする平凡な日常が帰ってくるに違いない。
    だから、きっと、愛しい罰は。
    今を逃せば、もう二度と。

    「ごめんなさいっ♡トレちゃん、ごめんなさいっ♡好きっ、好きっ、トレちゃん好きっ♡だからもうやめてっ、許してっ、あっ、んむっ、んんぅ〜〜〜っ……♡♡♡」

    トランセンドの明晰な思考は、トレーナーの執拗なキスによって瞬く間に霧散した。
    彼女は両腕をトレーナーの背中に回してしがみつき、息も絶え絶えとなって謝罪の言葉をうわ言のように口走り続けている。
    彼の愛を受けることが、訳も分からず愛を伝えることが、例えようもない感覚を伴って彼女を天上の国へといざなっていく。
    いつになったらトレーナーがトランセンドのことを許してくれるのか……それは二人のどちらにも、ついぞ分からぬことであった。

    【おわり】

  • 401にして1024/03/18 00:45:59

    書きました。疲れました。
    当店セルフサービスとなっておりますが貴様は?

  • 41二次元好きの匿名さん24/03/18 00:56:33

    よくやった トレセン学園にきてトレちゃんをファ◯クしていいぞ
    ウチ? セルフサービス? いやぁウチは遠慮しておきます…

  • 42二次元好きの匿名さん24/03/18 03:47:18

    カウンターで食われちゃうトランセンドええなぁ

  • 43二次元好きの匿名さん24/03/18 03:48:54

    ウマシコスレなのん?

  • 44二次元好きの匿名さん24/03/18 08:24:21

    トランセンドがトレちゃんに立場逆転されちゃうスレだぞ

スレッドは3/18 20:24頃に落ちます

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