第117回歯科医師国家試験の結果
3月16日が土曜だから3月15日に発表
2024年1月に行われた第117回歯科医師国家試験の結果が本日14:00に公開されました。
合格された方は本当におめでとうございます。
ここ数年は3月16日に発表されていましたが、今年は土曜日なので1日前倒しということのようです。
毎年同じですが、全体の結果、国公立現役、私立現役の結果を記載しています。
オリジナル図表の無許可の転載を禁止します。
このnoteは数日間は無料で公開しますが、その後有料(100円)に移行します。
全体の結果
正式な結果は厚労省のサイトをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2024/siken02/about.htmll
合格者数、合格率
第117回歯科医師国家試験の受験者数は3117名、合格者数は2060名となりました。全体の合格率は66.1%となり、だいたい3人に2人程度合格した事になります。
ここ数年の合格率と比較すると、115は過去最低の61.6%でしたが、116では63.5%、そして今回は66.1%となりました。107回以降10年にわたり、合格率は65%以下に抑制されていましたので、ここまで高い合格率は106以来となります。現役生の合格率が大きく上昇しており、特に国公立の合格率が大きくプラスに転じています。
対照的に浪人は下がっており、圧倒的に現役有利な試験であったと言えるでしょう。
出願者数はピークだった114から300名ほど減っています。去年と比較しても100名減少です。受験者数は去年から40名減りましたが、合格者は50名以上増えており、救済年だった可能性があります。
私立現役の受験者数が去年から50名以上増加しています。私立現役の受験者数は115→116で大幅に減少したため、去年かなりの数を留年させたと考えられます。そのため、今年は溜まっている学生を出した、出さざるを得ない大学が多かったのかもしれません。そして丁度救済年にあたったのかもしれません。
来年度に持ち越された浪人数は1057名+今回不受験組となります。国家試験を受験させずに浪人として放流される学生もいますので、まだ1100名以上の浪人がいると考えられます。
合格基準
合格基準ですが、去年から判定基準が変わり、以前の領域B、Cが統合されて領域Bとなっています。
今回の国家試験は平易な問題、過去問の焼き直し問題が多く、難易度は低かったという評価が一般的です。116も難易度が低くなり、平易だったという評価だったことから、116と同等ぐらいのボーダーが1つの基準となります。しかし、領域A、B共にボーダーは下がっており、だいぶ甘かったという印象です。
削除、解答が複数問題
最近の削除問題数は116では15問、115では19問、114では20問、113では12問で、今年は少ないです。
Xx問題で解答が2パターンという今まで見たことがない扱いになったのがA-86。X3問題で実は正答が4つあったので、4パターンを正答にするという扱いになったA39以外の10問が削除でした。4パターンって・・・・。
毎年揉める必修の削除は3問しかなく、116の6問からかなり減りました。必修は8割要求されるわけで、この中で不適切な内容、難易度の問題があまり多くなかった、というのは良かったと思います。
各大学別の結果一覧
大学別の結果は以下の通りです。去年からフォームが変わって非常に見づらくなりました。あえて大学がずれて見えるようにしているんじゃないかと疑わざる得ないです。
ここからは新卒の合格率にフォーカスを絞って結果をまとめていきます。国公立はともかく、多くの私立大学では国家試験を受験する学生を絞って、合格率を良く見せようとする傾向があります。浪人と合わせた総数では、そういった状況がよくわかりません。なので、ここ最近の大学の状況をみるためには新卒の受験状況を見る必要があります。
なお、数字にミスがある場合、ご指摘頂きますようお願いします。
新卒の結果(国公立)
厚労省が発表した国公立の結果を見やすくしました。去年は70%台の大学も多かったですが、今年は九州歯科のみとなっています。
厚労省はトップとかそういう表現はやめるように言ってますので、詳しい事は言いませんが、何かを基準として並び替えました。
岡山大学は今年はなかなか良い合格率だったようですね。しかし去年はもの凄く悪かったんですよ。そして2年前は凄く良かったんです。この安定感のなさが国立です。学生任せなので安定しません。そのため、他大学も含めて1年だけの結果で一喜一憂するのは危険です。
鹿児島大学はここ数年はなかなか良い合格率を維持できているようです。この大学はほぼ留年しないので、6年で歯科医師になれる確率(6年ストレート合格率)もかなりの数字が期待できるでしょう。
徳島大学も毎年合格率があまりよろしくないのですが、今年はかなり良い成績でした。
6年ストレート合格率を高い水準で維持してきた九州歯科は去年今年と2年連続で合格率が悪く、6年ストレート合格率70%以上の維持に黄色信号が点灯です。
九州大学、長崎大学の合格率はかなりよく見えますが、出願前に1割程度が間引かれていますので、実際の合格率はもっと低いと考えられます。ご注意ください。
国公立新卒まとめ
①合格率が急反発。多くの大学がここ数年見たことないような合格率に。
②6年ストレート合格率を高い水準で維持してきた九州歯科の合格率が2年連続で低迷。
③出願前に学生数を絞っている大学がある。
④過去問の焼き直しが多かった事が、純然たる偏差値勝負になった可能性
新卒の結果(私立)
厚労省の発表した私立大学現役のデータを表にまとめると以下の様になります。
去年までは50%未満の大学もありましたが、私立現役の合格率も多くの大学で上昇しています。
一応何かを基準にしてソートしてみました。
東京歯科大学が凄いですね。受験した学生は1人しか落ちていません。90%以上が4校であり、去年の2校から増加しています。また、一番悪くても60%以上であり、各大学の合格率がこんなに高いのを見るのは久しぶりです。
私立の現状はこの合格率ではわかりません
私立歯科大学では、6年生に上がるまでにある程度の学生が留年休学退学といったイベントの対象となります。6年生の半分以上が留年休学経験者という大学も少なくありません。そうやって選抜されてきた6年生でも全員を受験させると合格率が崩壊することが予想されます。合格率があまりにも悪いと入学者の数や質に影響する可能性は否定できません。そのため、様々な手段で6年生(卒業予定者)の数を削減しています。
純粋な留年の場合もありますし、早々と休学を勧める場合もあります。最近は6年生での除籍も多くなっています。国家試験受験をさせずに卒業だけさせる場合もあります。
大学によって様々ですが、殆ど全ての6年生が卒業できる大学と、5割を越える6年生が国家試験を受験できない大学があるのが現実です。
国家試験を解析しているサイトで出願者数を分母にした合格率を真の合格率として採用しているところがありますが、歯学部の一部の大学では、出願前に学生を留年させることで出願者数自体を絞っているため、この値は参考になりません。出願前に2、3名ぐらい少なくなったなら体調が悪くて休学でもしたかな?と思いますが、10名以上いなくなるのは偶然ですか?違いますよね。
そういった内情は厚労省が発表した合格率やそれを転載したニュースサイトを眺めるだけではわかりません。
大事なのは6年生の実数を分母にした合格率
そこで重要になってくるのは、削減される前の学生数です。その学生数を分母とした合格率が大学の現状を最も反映したものと考えられます。当noteでは闇の合格率と呼んでいます。
多くの大学では、6年生の実数がサイトで公開されていますので、その値を採用しました。非公開なのは明海大学、日本歯科大学新潟生命歯学部、日本歯科大学生命歯学部、昭和大学、日本大学、朝日大学の6校で、この大学については毎年独自ルートで学生数を収集しています。そのため、この6校については信頼性が100%ではありませんので、表に赤字で記載しています。
日本歯科大学の学生数は、試験に合格すれば復学→卒業という特殊な聴講生14名を加味した人数になるのでご注意ください。
今年は残念ながら日本歯科大学新潟生命歯学部の実数を集める事ができませんでした。そのため、闇の合格率で全私立を比較する事が不可能になっています。ご了承ください。なお、日本歯科大学新潟生命歯学部の去年4月時点での6年生の実数は継続して募集しております。XのDMまたはspee.dentalblogアットマークgmail.comまでお願いいたします。
この大学は毎年出願前に留年させて合格率を偽装しています。
赤字以外の黒字に関しては大学の公式サイトの数字を使っているので確定した数字となります。
昭和がぶっちぎりのトップの模様ですね。私立で88.1%は初めて見ました。ここまで東京歯科を引き離したのは初めてではないかと思います。東京歯科は毎年下2割ぐらいは切るのに対して昭和はあまり切らないので、その差がでましたね。
大阪歯科は139名の6年生の中で国家試験を受験できたのは71名でした。今年が特別というわけではなく、この大学の平常営業、いや、今年は例年より少し甘いぐらいかもしれません。そのため、闇の合格率は50%を切ってます。去年は40%を切ってましたから、まだ良い方でしょう。
日大と愛知学院はあまり6年生を絞らずに受験させる大学なので、厚労省発表の合格率はあまり良くありませんが、闇の合格率はかなり高いです。2校とも一時期かなり低迷しましたが、ここ2年の結果から復調が感じられます。昭和の成績も考慮すると、ここ2年の難易度の低下と合格率の上昇は、学生を絞る大学より出す大学に有利に働いた可能性もあります。
去年までは30%台の大学も多かったのですが、今年は30%台の大学がなくなり、40%台の大学が私立全体の半分以上となっています。そういう意味で、今回の国試の難易度、合格基準は、上位校だけではなく、いわゆる底辺校の合格率向上にも寄与したと考えられます。
私立新卒まとめ
①全体的な合格率は去年から3%以上上昇
②東京歯科、昭和の2強は変化無し
③日大、愛知大学の復権傾向
④中位~底辺層が一気に圧縮されて団子状態
この後に続きをみるには、という有料マガジンへのリンクが貼られているようですが、このnoteはここで終わりです。そのため、購入してもこのnoteはこれ以上は文章がありませんのでご注意ください。
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歯科医師国家試験の結果
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