「超過死亡が年間10万人以上で戦後最大」の謎…専門家「今、コロナ以外の急病人や急死者が増えている」

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戦後最大規模の超過死亡

ちなみに、東日本大震災が発生した'11年には、震災による死者を含む約5万6000人が超過死亡にカウントされたが、それ以外の年では、インフルエンザの流行などで亡くなった推計1万人が計上される程度だ。

「コロナ禍においては、『コロナで亡くなった人』と『診断・報告はされていないが、コロナで亡くなったと思われる人』、さらに『広い意味でコロナの影響で亡くなった人』が、この超過死亡に該当することになります。

そして'21年と'22年の超過死亡数は、コロナによる直接の死者数を差し引いても、東日本大震災の年を上回っている。これは戦後最大の規模です」(前出・小島氏)

では、なぜこれほど超過死亡が増えているのだろうか。国の機関や医療者、専門家の間でも、百家争鳴の状態だ。

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政府は、「コロナによる医療逼迫が原因だ」という路線を敷く。厚生労働省が設けた超過死亡の研究班は、'22年5月に次のような報告を出した。

'21年春にコロナの「第4波」が襲った時期には、病床が足りず多くの死者が出た関西圏で、そして「第5波」の時期には人口あたりの病院数が少ない東京や神奈川で、主に超過死亡が増えている。このことから、「コロナ陽性者の急増」と「医療逼迫」が超過死亡の原因だといえる―。

朝日新聞など大手メディアは、この報告をそのまま報じた。

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