「ヤフオク!」から「Yahoo!オークション」へ なぜ今、名前を変えたのか

インタビュー

11月1日、「ヤフオク!」が「Yahoo!オークション」に名称を変更しました。
1999年9月にサービスを開始した「Yahoo!オークション」は、2013年2月にユーザーから親しまれていた「ヤフオク!」に正式名称を統一。今回は、サービス開始当初の名前にもどした形になります。
この名称変更について、SNS上では、「ヤフオク!の名称に親しんでいたのに...」「なぜまたYahoo!オークションにもどしたのかな?」などの声も。
多くのユーザーに親しまれてきた名称をあえて変更した理由と今後の展望を、責任者の山田に聞きました。

山田翔大(やまだしょうた)
2008年、当時のヤフオク!(現Yahoo!オークション)の開発担当として新卒入社。開発とマーケティングの橋渡し役を担いながら、ユーザー体験を高めるための開発アプローチを積極的に提案。その後、プロジェクトマネージャーや開発リーダーを経験し2023年4月から現職。

「ヤフオク!」から「Yahoo!オークション」に名称を変更した理由

――今回の名称の変更について、「あれ、また昔の名前に戻したの?」というユーザーの声もあったと思います。そんな疑問を持つユーザーのために、このタイミングで変更した理由を教えてください。

この秋、「ヤフオク!」は「Yahoo!オークション」に、「PayPayフリマ」は「Yahoo!フリマ」に名称を変更しました。 「Yahoo!オークション」と「Yahoo!フリマ」が同じ「Yahoo!」ブランドであると明確にすることで、両方のサービスをさらにスムーズにご利用いただくことが目的です。

2019年に誕生したPayPayフリマによって、これまでオークションの利用がなかったユーザーのヤフオク!利用が増えました。ただ、初めてPayPayフリマを使ったユーザーがヤフオク!を利用する際には、別サービスと感じて利用ハードルが高くなっている傾向が見受けられました。そのため、まずは両サービスの名称を変えることで、ユーザーが使用するハードルを下げたいと考えました。

もちろん、サービス名の違いは利用のハードルを上げる理由の一つに過ぎません。ですが、「ヤフオク!」「PayPayフリマ」と聞くと、ちょっと違うお店、ブランドのような印象を受ける方もいらっしゃるのではないでしょうか? 名称の違いがユーザーの利用イメージに少なからず影響を与えていると感じていました。

両サービスの名称を変更したことで、一時的には認知度が下がるかもしれませんが、新しい名前に変えて両サービスをあわせた形で認知を広げていく方が良いのではと考えました。

名称変更後にYahoo!オークションが目指したいこと

――名称変更した「Yahoo!オークション」で推進していきたいことを教えてください。

今後の目標は、Yahoo!オークションをこれまでのフリマユーザーにとっても使いやすいサービスにしていくことです。オークションの魅力を活かしつつ、より直感的に理解しやすく、使い勝手の良いサービスを目指します。

Yahoo!オークションはすでに多くのユーザーにご利用いただいていますので、一度に大規模な変更を行うのではなく、ユーザーが感じる「使いにくさ」や「わかりにくさ」を一つずつ改善していくアプローチをしていきます。今回の「Yahoo!オークション」への再度の名称変更もその一部です。
使いやすさを向上させるための取り組みを続けることで、一部のフリマユーザーが感じている「ベテランユーザーが多く、少し難しい」というオークションへのハードルを下げることに注力したいと思っています。

――フリマを使っている方にとって、オークションのどのような点が少し難しいのでしょうか?

たとえば、オークションでは利用者が商品を5,000円で購入したいと思っても、実際にその価格で購入できるかどうかは、落札されるまでわかりません。この「競り」の仕組みが「この値段ですぐ買える」フリマに比べると少し複雑に感じられるのかもしれません。

さらに、フリマとオークションの大きな違いは「終了時間」という概念です。オークションは出品者が指定した期間内で購入者が競り合う仕組みのため、入札直後に商品を手に入れられることは少なく、実際に手に入れるのは数日後になることもあります。そのような待ち時間がある点も、ハードルの高さにつながってしまうのかもしれません。

「思っていたより高く売れた!」といううれしい体験が、オークションの価値

――そのような難しさのハードルを下げるために、予定していることはありますか?

まず、フリマで「出品者から愛着のあるものを買った」という良い体験をしていただき、「フリマでの良い体験」からオークションの新たな楽しさやおトクを感じていただけるよう、何の負担もなく自然に足を伸ばしていただけるようなサービス改善を目指しています。

これまでフリマで商品を出品したユーザーのなかには、その商品をオークションで出品したらもっと高い価格で売れる可能性があると知らなかった方もいるかもしれません。
たとえば、オークションでは価格が7万円になる可能性がある商品を、フリマユーザーが4万円でフリマに出品しようとしていたら「この商品をオークションで出品したら価格が上がる可能性があります」とお知らせして、オークションに簡単に出品できるような仕組みを提供したいと考えています。

「新卒入社から15年、ヤフオク!(Yahoo!オークション)をずっと担当していますが、それこそ自分の子どものように大切に思っています。サービスをもっと良くしたいとずっと思い続けていますし、ユーザーに喜んでいただけることが、一番のモチベーションです」

――最後に、ユーザーへのメッセージをお願いします。

「思っていたより高く売れた!」といううれしい体験こそが、オークションの価値だと思います。
これまで主にYahoo!フリマを使っていたユーザーにYahoo!オークションもご利用いただき、価値ある体験をしていただくためにも、これからも両サービスを改善し、よりよいものにしていきます。

これまでYahoo!オークションを長く使っていただいているユーザーのみなさんには、今回の変更は「名前が戻っただけ」と捉えていただけると思っていますし、引き続きご利用いただけると信じています。
正式名称は変わりましたが、これからもみなさんには引き続き「ヤフオク!」と呼んでいただけたらうれしいですね。

まとめ:「ヤフオク!」が「Yahoo!オークション」に名称を変更した理由は...

・「Yahoo!オークション」「Yahoo!フリマ」をよりスムーズに使っていただきたいから
・フリマユーザーにも使いやすいサービスにしていくための施策の一つ
・ユーザーには引き続き「ヤフオク!」と呼んでほしい

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取材日:2023年11月15日
※本記事の内容は取材日時点のものです

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