サルースの杯   作:雪見だいふく☃️

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「サルース!!!!ハーマイオニー!!!!」

 

 

女子トイレの入口から聞こえた声に顔をあげる。

 

粉塵の向こう側にハリーとロンの姿が見えた。

 

 

 

 

「二人とも……先生方を呼んでください!!!」

 

「サルースの友達が走ってる!!!!それよりロンっ!こっちに気を引くんだ!!!」

 

「うん!!!」

 

 

 

 

私の友達……?

いや、考えるのはあと。

 

 

 

ハリーとロンが手近な石や木を拾ってトロールに投げつける。

どちらかの投げた大きな石がトロールの頭に当たったことでトロールの意識が入口へ向く。

 

 

「ハーマイオニー、ご無事かしら?」

 

「さ、サルース…!ごめんなさい、私なにもできなくて……!」

 

 

振り返り見たハーマイオニーは、粉塵で汚れてはいるものの怪我はないようだった。

 

 

「いいえ、出来ることを出来る人がやればいいのです。ただ、杖は手から離してはダメよ?私達魔法使いにとって唯一無二の武器なのだから」

 

「えぇ。わかったわ。もう、大丈夫っ!!!ハリー!!!!」

 

 

 

 

ハーマイオニーの悲鳴に視線を入口へもどせば、何故か片足を捕まれ宙吊りになっているハリーがいた。

 

……杖はトロールの鼻の穴に突き刺さっている。

 

 

 

 

風切り音をたてて振られるこん棒がハリーを狙うが、今のところはハリーがうまく避けている。

 

振り上げられたこん棒に向かってロンが杖を構えた。

 

 

「ロン!!!!ビューんひょい、よ!!!」

 

 

「『ウィンガーディアム・レビオーサこん棒よ浮かべ』!!!!」

 

 

 

 

 

見事な杖捌きでこん棒を浮かせたロンに心のなかで拍手を贈っている間に、呪文を解かれたこん棒がトロールの脳天に直撃し、偶然にもそれを気絶させるに至った。

 

 

地鳴りをたてて倒れたトロールを越えてハリー達のもとへ移動する。

 

 

 

「『インカーセラス縛れ』念のため、ね」

 

 

ハーマイオニーとトロールを避けながらついでに縛っておく。

 

と、入口から先生方が駆け込んできた。

 

 

後ろにはパンジーとダフネもいる。

 

 

あぁ。友人とはやっぱり彼女達だったのか。

 

 

 

 

……二人の顔を見た瞬間、ポロポロと流れ落ちた涙にその場の皆様に心配をかけてしまったのだった。

 

 

 

******

 

 

 

それからマクゴナガル教授によって点数を引かれたり増やされたりと、あってから私は恒例となりつつある医務室訪問後、スリザリン寮に戻ってきた。

 

ぐずぐずに泣いているパンジーと、大変お怒りのダフネと共に。

 

 

 

 

 

なぜか寮では食べ物が大量に持ち込まれハロウィンパーティをしていた。

 

賑やかな寮を抜け三人の寝室へ移動する。

こんな様子じゃパーティの雰囲気を壊してしまう。

 

 

 

 

聞くところによると、トロールの侵入によって大広間でのパーティは途中解散となり続きは寮でとなったらしい。

 

 

それで寮に戻ってみれば私がいない。

 

 

上級生の目を盗み、外へ出たパンジー達(だいぶ私と同じように校則への意識が弛んできている)がハリー達と遭遇、二手に別れ片や私達のもとへ、片や先生を呼びにとなったらしい。

 

 

 

「どうしてあんなところにいたのよ!!またグリフィンドールの奴等に巻き込まれたの??!?」

 

「すっっごく心配したのよ?!野生のトロールなんて死んでいてもおかしくなかったわ!あいつらがどうなってもどうでもいいけど、サルースに何かあったら絶対に許さないわ!」

 

 

二人からぎゅうぎゅうと抱き締められながら、それぞれの背中をさする。

二人とも泣かせてしまうなんて本当に不甲斐ない。

 

 

「ごめんなさい、あの時ハーマイオニーは自分なら倒せると思ったなんて言ってましたけどほんとは違うの。私とあの子は偶然あのトイレにいたところをトロールに鉢合わせてしまったのです」

 

 

 

ハーマイオニーはマクゴナガル教授達に、自分のせいで私達を巻き込んだと証言した。

 

私はハーマイオニーの気持ちを察して細かいことは話さなかったし、ハリーと特にロンはあんぐりと口を開けて驚いている間に話が進んでしまい、訂正の間がなかった。

 

 

なお、私はスネイプ教授からマクゴナガル教授がくださったのと同じだけ点数を引かれたりした(パンジーとダフネも加点されたので全体的にはプラス)。

 

 

 

 

「それにしたって、いつまでもディナーにこないし。あんなに汚れて危ない目にあうなんて……!」

 

 

「お父様に訴えるわ。ホグワーツの城中にトロールだなんて先生方は何をしているの?ダンブルドアの責任だわ!!!」

 

 

 

たしかに、ダンブルドア校長の責任はある。

それとトロールが出たと報告に走ったあと気絶したクィレル教授はバリケードくらい張っておくべきだった。

……それとスネイプ教授の足の怪我も気になる。

あれは恐らく……噛み傷だった。

一瞬見えただけだから詳しくはわからないけれど。

 

 

「確かに、学校としての責任は追及すべきだと思いますわ。でも、今回の責任を、というよりは次回がないようにと対策をたてるように要請すべきですわね」

 

「ドラコのお父様が理事をされてたはずよね?そちらにもお手紙を出しましょうよ」

 

「そうね、スリザリン生も巻き込まれたと、それも純血貴族である私達が当事者だと知ったら、さぞお怒りになられるでしょうね」

 

 

 

子供を預かる責任はしっかりと追及されるべきだ。

ホグワーツを、先生方を信頼して子供を送り出しているのだから。

 

 

 

「でもそれより、パンジー、ダフネ。私を探してくれてありがとう。来てくれて嬉しかったわ。ほんとうに、ありがとう。大好きよ」

 

 

「「サルース!!!!」」

 

 

ひとしきり泣き、怒り、落ち着いた二人とともにハロウィンパーティを楽しむのだった。

 

 

 

 

 

 

 




スリザリン女子ズを迎えにこさせるか迷いました。が、サルースと一緒に過ごしている二人なら来るだろうと(過保護値カンスト)。

どらこまるふぉい?我先に危険から逃げ、楽しくハロウィンしてたので今夜のもろもろには気づいていません。

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