サルースの杯   作:雪見だいふく☃️

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▼作者はハー子推し、いいね?


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一日の授業もすべて終わり、残すはディナーのハロウィンパーティだけとなった午後。

 

なにやら物憂げなハリーと遭遇した。

 

 

彼にとって今日は、御両親の命日に当たる。

トリック・オア・トリートと話しかけるには躊躇われた。

 

ふさわしい挨拶を探している間に、ハリーもこちらに気付いたらしい。

 

 

 

 

「やぁ、サルース!今日は一人なの?」

 

「ご機嫌よう、ハリー。えぇ、パンジー達は私といるとイタズラに巻き込まれるからと言って別行動ですわ。ハリーもお一人?」

 

 

 

女装ピエロ姿の双子に追いかけ回された事がダメだったらしい。

 

事情を話したら、たぶんしばらく怒られるのでそれとなく濁した。

 

 

 

 

「まぁね。ロンはちょっと……ご機嫌ななめでさ。あ、サルースのイタズラはこっちじゃ大人気だったよ!ロンの髪もね!!」

 

「髪のせいでロンが先生方に叱られないか少しだけ心配でしたの、ご機嫌ななめだなんて……またドラコが何か?」

 

「今回はマルフォイは関係ないよ、普段は大体そうだけど……」

 

 

 

 

気まずいですと、言わんばかりのハリーの様子にまたスリザリンとグリフィンドール的な揉め事かと思って尋ねたが、どうやら違うらしい。

 

 

 

「いっそあれは仲良しなのではないかと思うくらい息があっていると思わない?……それなら、ロンと喧嘩でもしました?私で良ければ話をお聞きしますわ?」

 

 

「んー……僕がしたわけじゃないんだよね。ほら、ハーマイオニーとロンがさちょっと喧嘩しちゃって…泣かせちゃったんだよ。それからハーマイオニーの姿が見えなくて…ロンも気にしてるのかピリピリしてるんだよね」

 

 

 

なるほど、確かにそれはハリーも気まずいわけだ。

大方、グレンジャーさんのアドバイスにロンが噛みついたとかそんなとこだろう。

ハリーの様子からして、どっちもどっちか、ロンが言い過ぎた感じかな。

 

 

まぁここはイギリス。

紳士淑女の集う国。

女性を泣かせたのならそれはもうロンが悪いと決まっている。

 

 

「グレンジャーさんが今はどちらにいらっしゃるかはご存知なの?」

 

「女子トイレで泣いてるって聞いたよ」

 

 

 

ランチ前からずっとそこに?

それはまた長いこと……泣き腫らしたお顔で外に出られなくなってしまったのかしら。

 

 

「そうですか……それでしたら寮へ荷物をおきにいく途中ですから、大広間に戻るときに少し様子を見てきますわ」

 

「(サルースがいって大丈夫かな……火に油なんじゃ……まぁいっか)……うん、ごめん。ありがとう」

 

 

 

寝室に目の腫れを取る薬があったはず。

教科書を置いたら、それをもっていくとしましょう。

 

 

 

 

「あ、ハリー?差し支えなければこれ。お菓子ですわ。今日はハロウィーンですもの」

 

「ありがとう!こっちのハロウィンってほんとクレイジーだよね!ハッピーハロウィン、これお返しのお菓子」

 

 

 

差し上げたのは我が家が監修している『いたずらっ子専用ワクワクお菓子』シリーズの詰め合わせだ。

 

今朝売り捌いていたイタズラグッズの中にもこれはあったのだが、こちらはリーズナブルかつ安全なイタズラを売り文句にした、親が子供に買い与えるのに安心な、イタズラをご用意している。

 

 

魔法族的な刺激には欠けるが、楽しいものになっている。

 

 

 

たとえば、舐めると舌から歯、唇と全身の色が青色になる飴。噛んでる間は任意のコスプレが装備されるガム(これは味によって衣装が変わる)。それから食べると体が温まる(40度くらい)チョコレートなどなどだ。

 

 

血が出たり、体の一部が欠けたりしないので見た目に優しいと評判の商品たちだ。

 

 

 

ハリーからの蛙チョコも今日もらったたくさんのお菓子たちと一緒にしまい、それぞれの目的地へと別れた。

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

さて、ハリーから聞いたグレンジャーさんのいると思われるトイレに来たところ奥の個室の戸が閉められている事がわかった。

 

-コンコン……

 

 

「失礼ですが、グレンジャーさんですか?」

 

 

「……だれ?放っておいてよ!!!」

 

 

「サルース・バークですわ。ハリーが心配しておりました。……余計なお世話かとも思いましたが……スリザリンの私だから、気兼ねなく愚痴もお話出来るのではないかと思ったの」

 

「そんなの……貴女に関係ないじゃない!!!」

 

「だからこそ、ですわ」

 

 

スリザリンの私になら。

グリフィンドールのご友人には言いづらいことも話せるかもしれない。

 

そもそも、私自身が彼女から好かれていないので鬱憤の当たり先になればいいとも思っている。

 

 

 

「えぇ、ほんとうに余計なお世話だわ……!!!……ほんとうに。…………でも、私貴女に聞きたいことがあったのよ」

 

「はい。何なりとお聞きください。私達、ちゃんとお話しするのははじめてね」

 

 

 

『スコージファイ清めよ』の呪文をかけた床にハンカチを敷き座り込む。

閉ざされた木の扉が開くことはないけれど、話をする気にはなってくれたらしい。

 

 

しばらく、話し出すのを躊躇っているかのような間が空く。

これは完全に私のお節介だから、彼女が話すのを待つ。

 

 

……ホグワーツに来て2ヶ月。

たったの2ヶ月だ。

家族の他には、ほんの少しの親交関係しか持たなかった私が、新しい世界に入り、新しい環境で過ごした。

かけがえのない友人達に恵まれて、日々を過ごしている。

 

家族に会えないのは寂しいけれど、それでも楽しくて幸せに思えるのは友人達のおかげだ。

 

 

……パンジーとダフネ、彼女達からずっと本では得られないものを、教えられ与えられてばかりいる。

 

二人なら、友人が困っていたらそれがどんなに困難なことでも手を差し伸べてくれるだろう。

彼女達なりのやり方で、きっと寄り添ってくれる。

 

私のために、怒ってくれる。

 

だから二人の真似をしてみようと思った。

 

 

 

グレンジャーさんからは嫌われているけど、私は彼女が嫌いではないのだ。

だって『マグル生まれの才女』が誰より気にかけているのは私だと自負がある。

 

 

 

 

「……貴女にはどうして友達ができるの?」

 

 

ふと、沈黙のなかに声が落ちた。

 

 

 

 

 

 

 






サルースのイタズラグッズをもっと書きたいけれどそれをやると終わらない悲しみに苛まれている。

ハー子の出番がやっと!!!やっと!!!!!

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