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あけましておめでとうございます!

2017年も頑張りますのでよろしくおねかいします!

今日は元旦ということで今日は二話投稿です!

第四章 王国編
第162話

その後、僕達は月光丸をグランズ帝国と同じように王城の目の前───城門のすぐ近くに止め、いつものように寛いでいた。



と言っても今の月光丸の中にはオリビアとマックスの姿、そしてネイルの姿もなく、オリビアは久々に会った兄妹とお喋りをしに、マックスは「俺の親父......宰相なんだよ」と髪型で半ば分かりきったことを言いながら出ていった。そしてネイルはギルドマスターで『最強』とかいう二つ名のあるガルムに呼ばれたとか言っていた。


という訳で三名の居ない馬車内ではあったが、残念ながらそれでも煩いのには変わりがない。変わっところといえばオリビアが問題を起こさないためアイギスが休憩できることくらいだろうか。



「主様っ! 今日こそはあの木馬を使った辱めを...」


「しない」


「主殿! 世界線を超え、紅暁の方舟(ブラッディノア)は遂にそこまで...」


「来ていない」


「主殿! 自分は串肉を買いに行ってくるのである! 出来れはお小遣いをくれ...」


「ない」


「ぐるぅぅぅ! ぐる...」


「......何言ってるか分からない」


「ヒヒィィン! ブルゥッ!」


「お前は......、うん。まず言語を理解しろ」


「ヒヒィィンッッ!!!」


「マスター! 私はとうとうマスターの下着を履くことに興奮を覚えてしまいました! い、一体私は......、ど、どうしましょう?」


「知らな.........っておい、今なんて言った? 僕のパンツ履いてんのかお前」


「あっ.....................、き、気のせいでは」


「珍しく服を着てると思ったらそういう事かぁぁぁっ!」


「ま、マスターに服を脱がされ......はぁ、はぁ、新しいシチュに大きな快楽の波が......あぁっんっ!」




───そう、残念ながら煩いことには変わりがないのだ。本当にうるさくて仕方が無い。僕も、彼女らも。



僕の目の前には僕のパンツを掴んで離さないピクピクと痙攣している暁穂と、未だに僕へとあれこれさせようと説得してくる従魔たち。それを呆れた目で見る恭香とアイギスに浦町。




.........あれっ、エロースはどこ行った?






「うひゃー、親友くんのパンツだーっ」




その声に振り向いてみれば、いつの間にか僕のパンツ片手に騒いでいるエロース......って言うかあのポンコツ女神っ! 僕でも気づけないとか影薄すぎんだろうが! あとパンツ返せ!



僕はふぅと息をつくと心を落ち着かせて、至って平常心でエロースへと話しかけた。




「エロース、今すぐ僕のパンツを返すんだ」


「嫌だよーん! 私ってば親友くんのこのパンツを家宝に...」


「返せ」


「.........はい」



どうやらエロースの調教は順調なようである。最初期は全然いうことを聞かなくて酷かったが、今では二回目で絶対服従だ。随分と従順になったものである。



とまぁそんなこんなで、ほぼいつも通りの日常を過ごしていた僕達ではあったが......、





───コンコンッ




そんなノックとともに、僕達の平穏へと来訪者が現れた。





☆☆☆





「はぁ......、なんで僕がこんな面倒なことを」



僕は黒色ネクタイをキュッと結びながら、そんなことを呟いた。


場所は帝城を思い出すかのような豪華な一室───まぁ、王城内の一室といえば随分わかりやすいかと思う。


姿見へと視線を移すとそこにはいつもとはうって変わって、まるで貴族のボンボンを連想させるような服を着た僕の姿が。

違う部分をあげるとすれば、黒い髪と隻腕、それにその上から羽織った黒いローブくらいなものだろう。


少し横へと視線をスライドさせると、そこにはいつも着崩している軍服をピッチリと着こなしたマックスと、そのマックスに嫌々そうな顔をして蝶ネクタイを結んでもらっているレオン。



「はぁ......、僕らはこういうの、似合わないと思うんだけどなぁ......」


「い、いえっ、とてもお似合いかと存じ上げます!」



と、それらを見て思わず呟いてしまった僕の背後から、部屋に控えてい騎士さんの声がかかった。存じ上げます、って......、騎士さんが一端の冒険者にそんなんでいいのかね?



と、僕がそう思ったと同時に、見計らったかのようにドアがノックされる。



まさかここで来客が来るとは思わなかった僕達は、思わず顔を見合わせる。ちなみに騎士さんも困惑の表情だ。




───けれど、その困惑は次の瞬間には消え去っていた。




向こうは聞こえなかったと思ったのか、もうもう一度コンコンとノック音がこの部屋に響いた。しかも今度は自己紹介付きだ。



「ギルバートだ」


「ぎ、ぎぎ、ギルバート様!? し、少々お待ちくださいっ!」



その扉の向こうからした声に跳ね上がった騎士さんは、何やらものすごい速度で扉を開けに行った───ギルバートとやらが誰かは知らんが、あの騎士さんはきっと新入りなのだろう。



騎士さんは迷う素振りも見せずにその扉を開く。


来訪者自らが扉を開かないということは、それは同時に相手がそれなりの立場にいるであろうことを示しており......、





───果たしてその予想は外れることはなかったようだ。





扉の向こうから現れたのは、少し長めの水色の髪をした一人の青年で、






「初めまして、ギン=クラッシュベル君。私の名はギルバート・フォン・エルメス。この国の第一王子(・・・・)だ」




───なんと、僕の将来のお義兄様(・・・・)であった。



彼の訪問に目を見開いてた固まる僕とマックス、そして眠そうに欠伸をするレオンを前に、ギルバートは先程の堅苦しい雰囲気を霧散させて楽しげに話しかけてきた。



「といってもまぁ、この国には王子は一人しかいないんだけどな。おかげで毎日が鬱々してるよ......。あ、そう言えば敬語は不要だぞ? そこの騎士マックスを相手するのと同じ感じで結構だ」



その言葉に再び目を剥く僕。



───え、マックスと同じ扱いって......、かなり酷いことになるけど大丈夫なんだろうか?



けれど、流石にそれはまずいだろうと言うことで、とりあえず敬語を使わずに話してみるところから始めた。




「分かったよ、僕はギン、よろしくな」


「ふふっ、敬語使うなと言われていきなり使わなくなった奴なんて初めてだよ」





とまぁ、そんな感じで僕は第一王子様と知り合いになった。


こんな知り合い方でいいのだろうかと思いもしたが、ギルバート本人としてはまぁまぁ満足そうなのでそれはそれで良しとしよう。





☆☆☆





なぜ僕らがこんなことになっているかと聞かれれば、色々と語らなければならないのかもしれないが、面倒なのでギルバートの言葉を利用させてもらうことにした。



「今回君達を呼んだのは舞踏会への招待だね。......武闘会じゃないから気をつけてくれよ? それと同時に父様のやり方に反発してる勢力に対する誇示もあるかな。『俺はこんな超生物共と友達なんだぜ?』とでも父様は言うんだろうけど」



───ちょっと待て、友達ってなんだよ友達って。誰がいつあの馬鹿の友達になったってんだ。



と、そんな僕の内心も知らずにギルバートは続ける。



「ついでに言えば騎士達の中にも『所詮は冒険者風情』と馬鹿にしている連中もいるからね、騎士マックスなら分かるだろう?」


「あ、あぁ......。確かに騎士の中では冒険者を下に見る風潮がなくもない......です」



僕と同じように敬語をやめろと言われたマックスの煮えきらない言葉を聞いて、ギルバートは満足そうに頷くとさらに話を続けた。





「それで本題だ。実は────」









と、これが一時間ほど前のお話。



本題については何となく察してくれれば結構。それに察しなくても後々分かるだろうしね。



というわけで今現在、僕らは舞踏会を行う予定の大部屋へと次々と貴族達が入ってゆくのを横目に、僕らとは別れて着替えをしていた女子組を待っていた。


先程から黒髪ということで目立ってはいるが、やはり僕を冒険者風情と侮っている貴族ばかりなのか、向けられる感情のうち半分くらいは嘲笑や憤怒、と言ったいかにもプライドが高い貴族様だと言わんばかりの感情である。

───まぁ、逆に言えば残りの半分は少なくとも敵対的ではなかったので良い貴族達のいる国なのではないかと思うが。




と、そんなことを考えていると、この場に似つかわしくないタタタッ、という足音が聞こえてくる───十中八九奴らだろう。



僕は閉じていた瞼を開くと、視線を左の方へと向ける。



───そこにはまぁ、奴らが居たわけですが。





「僕、初めて『馬子にも衣装』って言葉を本当の意味で使えた気がするよ......」


「......それってちょっと失礼じゃない?」


───そう言われたくなかったら普段から大人しくしてくださいな。



僕らの目の前には、いつもは馬鹿な事ばかりしている彼女達が華やかなドレスに身を包んで立っていた───ドヤ顔で。



黒を基調としたドレスを着た恭香。


白いワンピース型のドレスを着た白夜。


青を基調としたドレスを着た輝夜。


服を着ていること自体驚きだが、黄色のドレスを着た暁穂。


赤を基調としたドレスを着たアイギス。


緑色のワンピース型のドレスを着たネイル。


黒いワンピース型のドレスを着た浦町。


そして、何故かいつもと同じ服を着たエロース。



───ちなみに描写していなかったため分からないだろうが、エロースは白、ピンク、青等のを基調とした羽衣を身につけており、なんだかよく分からない変な布みたいなのが頭の上から左右の足元へと伸びている。この布ってなんなんだろうね、腕に巻きついてて邪魔そうだけど。



「んで? オリビアと伽月、藍月はどこいったんだ?」



僕はなるべくそちらを見ないように、目をそらしながらそう言うが、何故か僕の視線の方向へと移動する奴ら。


今度は180度首を回転させるが、何故かまた僕の視界の移動に付いてくる。


今度は体の向きごと回転させるが、やはり視界から外せるのはせいぜいが恭香とネイルくらいだろう。



「「「「ふふーん!」」」」



と、そんなことを言いながら自慢げに胸を張る彼女達。


......なに、そんなに褒めてもらいたいんですか、君たちってば。



「よし分かった。三人の居場所を教えてくれたら褒め...」


「オリビアは、もう会場入りして......、伽月と、藍月は......はぁ、はぁ......、怖がられるから、って......ふぅ、違うところで待機してるよ」



ふと振り返れば僕のローブをガッチリと掴み、息を整えている恭香───おい、体力なさ過ぎだろ。



「ま、それはいいとしてギン? 今教えてくれたら褒めてくれるとかどうとか言ってたよね?」



その言葉に思わずため息を漏らしてしまう。


視線を前へと向ければ未だに自慢げに胸を張っているお馬鹿さん達。きっと彼女達は、僕が何か言わなければずっとこうしているに違いない。


僕は半ば諦めると、彼女達から視線を逸らして、大して似合ってねぇよ、という意味合いを強めてこう言った。






「その...、あれだ。うん、そこそこ似合ってんじゃない?」





この後、全員にニヤニヤしながら見られて死ぬほど恥ずかしい目に遭ったのは言うまでもないことである。




───あぁ、カッコイイ大人になりたいよ。



武闘会の次は舞踏会?

色々と面倒くさい事がおきそうな予感が......。

それでは次話は夕方です!

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