新章開幕です!
ギンはどんな成長を遂げているのでしょうか?
もしかしたらどこかに成長が現れているかも知れませんね。
それからおよそ一ヶ月。
クリスマスはとうの昔に感じ、なんやかんやで年も変わってあけましておめでとう。そしてついこないだ僕も誕生日を迎えて二十歳の仲間入り、そして今に至る。
逆だろうと思われるかもしれないが、何か事件の起こる時に限って時が進むのは遅いのだが、逆に言えば何も無い時に限って時は経つのは早いのだ。
まぁこの一ヶ月間に『何も無かったか』と聞かれれば首を横に振るのだが。
けれども、その起こったことを挙げるとしても十分に両手の指で足りるのではないかと思う。
①このローブ───都合上、僕らは神王のローブと呼ぶこのローブの能力を探ったこと。
まぁこの一ヶ月間の半分くらいはこれに使ったのではないかと思う───まぁ、まだまだ謎は多そうだが、能力のうち幾つかは発見できた。
②義手の制作。
これは開始一週間もしないで諦めました。いつまでもくだぐだと悩んでいると修行にあてる時間が無くなってしまうからね。
③ギルドでの冒険者ランクの上昇。
ナイトメア・ロード&そのお仲間達の討伐にエンペラースライムの討伐、そして通りがかった街々での色々な討伐。
そんなこんながあって、僕のランクはSSランクへと上昇したのだ。今更だけども。
───なんだか冒険者カードが黒くなって『ブラックカードで』とか言って店先に出してみたい気分に襲われた。もちろんやったら驚かれました。
④片腕での近接戦闘の慣れ。
まぁ、これは単純にいえば白夜や輝夜、レオン、暁穂、エロース等と練習試合をしたり、たまたま通りがかった街の付近にいた魔物を狩ってレベル上げしたりだとか、そんな感じだ。
⑤これは④と並行して行ったスキルの統合だな。
まぁ、一見は百聞にしかず、とも言うし③④については僕のステータスを見て貰うとしよう。わざわざ語るのも面倒だし。
「『ステータス』」
名前 ギン=クラッシュベル (20)
種族 吸血鬼族(始祖特異種)
Lv. 561
HP 6280000
MP 17600000
STR 4620000
VIT 4410000
DEX 6800000
INT 15800000
MND 12000000
AGI 7230000
LUK 561
ユニーク
神王化Lv.1 (new)
開闢Lv.1
正義執行Lv.2
妖魔眼Lv.2
万物創造Lv.3
神影Lv.3 ↑+1
空間支配Lv.3 ↑+1
スキル統合
特異始祖
魔導Lv.3 ↑+1
雷神風神Lv.2
エナジードレインLv.2 ↑+1
アイテムボックスLv.4
アクティブ
鑑定Lv.6 ↑+1
テイムLv.8
念話Lv.4 ↑+1
パッシブ
オールウェポンLv.3 (new)
総合格闘術Lv.6 ↑+1
料理Lv.4
並列思考Lv.6
魔力操作Lv.5
超直感Lv.5 ↑+1
存在耐性Lv.3 (new)
称号
迷い人 神格 SSランク冒険者(new)『執行者』『冥王』神王の加護 全能神の寵愛 狡知神の加護 創造神の加護 死神の加護 魔導神の加護 世界竜の友 名も無き才能 トリックスター 救世主 ロリコン 支配者(new) 竜殺し 超越者 魔導の神髄
従魔
白金神竜プラチナムドラゴン
ゴッドオブ・ナイトメア
ブラッドギア・ライオネル
フェンリル
バハムート
ペガサス
眷属
オリビア・フォン・エルメス
マックス
アイギス
とまぁ、こんな感じだ。
色々とスキルが統合されたり、なにやらローブの影響でユニークスキルの一番上がおかしなことになっていたり、アクティブスキルとパッシブスキルを足してもユニークスキルよりも少なかったりと、まぁ色々とおかしなことにはなっているが、簡単に言えば一言で済むのだ。
───片腕失った後の方が、僕強いんじゃね? と。
流石にまだまだ前の方が強いとは思うから今のは少し盛ったと言わざるを得ないが、それでもステータスは結構戻ってきたし、何よりも前のようにいろんな戦闘方法を持っていない事が大きいだろう。
腕を失う前の僕は、
『遠距離戦もできて、中衛もこなして、更にはバリッバリの前衛も、タンクもこなせる。そして本業は暗殺者』
のようなオールラウンダー......悪く言って特別優れたところがない、と言った感じだろうか? とにかくそんな感じだったのは否めない。
けれども片腕を失った僕は、それらのオールラウンダーを脱しなければならなかった。
まず近接戦闘。
確かに僕は近接戦闘も行けるし、僕の体術を持ってすればなんとでもなる。
───が、不向きであることには変わりない。
体術は別の部分で生かすということで、僕はこの選択肢を切り捨てた。
次に中衛。
これは出来る、と言うだけで得意ではない。バッサリと切り捨てるのに何のためらいもなかった。
次に後衛───遠距離戦闘だ。
これは腕を失ったところでなんの支障もない。今のまま続行し、このスタイルで戦うこととなっても何のデメリットも無いだろう。
そうして最後に、暗殺術。
アーマー君をボコった際にも気がついたが、僕はやはり暗殺術の才能があるらしい。恭香に言わせれば暗殺術をする上での根幹となる体術の才能らしいが......、まぁ、とにかく僕には才能があるらしい。
近接戦闘の一種だが、決して攻撃を受ける必要はなく、
片腕を失ったことにより体重の減った僕にとっては、今の自身の素早さ───体重の軽さを十分に生かせ、
更には体術やスキルも十分に生かせる。
「と言うわけで、僕は暗殺術に特化するマジックアサシンに生まれ変わったのです.........、って感じでどうだろうか」
「良いんじゃない? 所々"説明めんどくさいんだろうなぁ"って場所はあったけどわかりやすくて」
───仕方ないじゃない。だって神王化とか神王のローブとか、色々と面倒くさいんですもの。
「はぁ......、そんなんだから悪鬼羅刹とかエナジードレインの説明も未だにできてないんだよ? もう少しやる気出したら?」
「返す言葉もございやせん......」
と、御者席でそんな会話をしていると、どうやら目的地へと到着したようだ。
月光丸の前を走っていた馬車の扉が開き、なにやらニヤニヤしたエルグリットが飛び出してくる。
果たして彼の顔に浮かんでいたのは限りなく純粋な『自慢したい』という子供のような願望で、
「ギン! ようこそエルメス王国『王都エルト』へ、だなっ!」
ここはエルメス王国の中心付近に位置する街、エルト。
───別名......というかそのまんまだが、『王都』と呼ばれる街である。
☆☆☆
「おおおっ.........、ふ、普通だな」
「普通で悪かったな!」
王都は至って普通だった。
なにせ、街の中心にそびえ立つ切り株が無いのだ。これを普通と言わずになんというだろうか。いや普通だろう。
───まぁ、普通なのにも関わらず、僕が"ここが異世界なんだなぁ"と再び実感してしまえるほどには素晴らしかった。
綺麗な町並みに帝都よりも盛んな商店街。色々な種族が行き交っており、中には身長二メートルをゆうに超える巨人族の姿も見受けられた。ちなみに巨人族というのは最高でも五メートルくらいしかないらしく、それ以上を求めるのならば魔物へと着目点を移さなければならないらしい。ギガンテスとかタイタンとか。
今現在、僕らの馬車はメインストリートを抜け、帝都と大差ないような広さを誇る王都の中央に位置する王城へと近づいていた。
───いや、もちろん注目は集めまくりですよ?
まず黒塗りの馬車に目が引かれてそちらを見る。
するとその馬車を引いているのはバハムート。そしてすぐ隣にはペガサスとそれに乗る第二王女様。
そして馬車の御者席を見れば隻腕赤目に黒髪という、最近変に有名になってしまった僕である。注目を集めないわけがない。
......それにしても隻腕ってなんかカッコイイよね。片腕失ったメリットがこんな所にありました。
と、そんなことを考えている間にも馬車は王城の目の前までやってきた。
どうやら向こうもこちらが来るのは事前に分かっていたらしく、城門の前には十数人の男女の姿が見て取れる。
魔術師然としたローブを着用した女性。
巨人族すら殴り倒せそうな筋肉を持つ土精族の男性。
レオンと同年齢にも見える、黒系統の服に身を包んだ男の子。
パッと見でわかる、
そして彼らの後ろに控える貴族たちと、護衛の騎士達。
彼らに加えてアルフレッドやエルグリット本人の戦闘力まで考慮すると、なるほど確かに軍事力としてはかなりのものだろう。
そうして馬車が到着するのとほぼ同時に、彼らの後ろから三人の男女が現れる。
エルグリットに似た水色短髪の男性。
暗めの紺色の髪をした、にこやかな女性。
僕と同年齢と思われる、水色の髪をした青年。
これまた同じく水色の髪をした、いかにもお嬢様風の少女。
そして、一人のロリっ子である。
彼らを見てにやりと笑ったエルグリットは、家臣が止めるのも聞かずに馬車の御者席から飛び降りる。
スタっと着地した彼の前には、先ほどの水色短髪の男性がいた。
「よう、長期休暇は楽しめたか? クソ兄貴」
「おう、俺のいない間、お勤めご苦労であった」
そんなエルグリットを見て、僕ははっと思い出した。
「あ、そう言えばあいつ、この国の王様だったっけ?」
僕のその声は、風にかき消されて向こうの陣営には届かなかった。
───はずなのだが。
「オリビア、元気でしたか? 怪我とかは......、ふぅ、無さそうですね」
「やぁオリビア。なんだか久しぶりだね」
「お母様っ、お兄様っ! お久しぶりなのですぅっ!」
「あねうえーっ、おっひさー」
「アメリアちゃんもおっひさーなのです!」
そんな微笑ましい兄妹たちの再開を見て、僕は腕組みしてうんうんと首を縦に振る。
───その裏で、冷や汗を流していることを隠さんばかりに。
なんだか貴族の前で馬車に乗ってたらイチャモン付けられそうだなぁ、と馬車を降りた僕の後ろに立つ影がひとつ。
いや、三つ。
あんれー? 僕ってまだなんにも悪いことしてないよね?
そんな僕の心の中など知るかと言わんばかりに、どこぞで会った獣人族のギルドマスターの手が、ガッシリと僕の肩を掴んだ。
───果たしてそこに居たのは、僕が数ヶ月前にお世話になった人物で。
「やぁギン君。僕の姉がお世話になったみたいだね」
「あ、あははは......、それ程でもない......かな?」
バジリスク討伐の際にお世話になった隣町のギルドマスター、ベラミの姿がそこにはあった。
☆☆☆
彼曰く、「僕の能力は『分身』だからね。世界中に僕と同じ姿と性格と思考を持った同スペックの偽ベラミがいるんだよ。ちなみに僕も偽物なんだけどね」との事だった。
道理で僕の影分身がビントスで遭遇したってのにここに居るわけだ。きっと本体はビントスから動いてないに違いない。
僕はベラミの無言の圧力に耐えながら僕の肩を離さないその手を無理やりひっぺがすと、それを見計らったかのようにもう一つの影が僕へと突進してきた。
「ねぇ! あなたが執行者さんよね! 私はこの国で一番偉い魔法使いやらせてもらってるマグナ・スプリットって言うんだけど、貴方の噂はかねがね聞いてるわっ! 曰く山を魔法で吹っ飛ばしただとか、曰く蹴りでグランズ帝国の誇るコロッセオを両断した......のは違ったかな? 他にも悪魔との戦いで右腕を失っただとか......あら、本当にないわね? 義手はどうしたの? 良ければ私が......」
おーっと、これまた強烈なキャラですね。
魔法のことになると理性と常識が蒸発する系統の危ないお姉さんですな。たぶん。
僕の予想は正しかったようで、未だに鼻息荒く話し続けるマグナさんをアルフレッドが首元の服を引っ張って連行していった。
「あぁーん! ちょっとアルフレッド!帰ってきた途端この仕打ちはちょっと酷いんじゃない!? ってほんとに待って! ギンくーん! 後でお姉さんの研究室へいらっしゃ......」
という所でたまたまその横にいた土精族のおじさんに口を抑えられ、そのまま連行していった。
......よく分からないが、あの人の研究所とやらに行くのはやめておこう。こちらが研究されてしまう気がする。
───と、僕はそこで、もう一人がいたことを思い出した。
少し嫌な予感を覚えながらも、僕はそちらを振り返る。
「うっ......」
振り向いた先には、なにやらこちらをじいーっと見つめてくるお嬢様の姿が───しかもかなりの至近距離で。思わず声を上げてしまうほどには近かった。
オリビアやエルグリットと同じ水色の髪を腰まで伸ばし、オリビアをそのまま大人にしたかのような美しさと可愛らしさが見て取れる。そんな人に至近距離で見つめられると、流石に美女や美少女達と居ることに慣れている僕でも緊張してしまう。
ゴクリ、と僕は思わず息を飲み、それを見てなにやら満足げに微笑んだお嬢様は、その笑顔をこちらへと向けて、自信満々にこう言ってきた。
───その姿は、さながらどこかの鳳凰院家のお嬢様のようで。
「気に入ったのよ! 貴方、私のものになりなさい!」
「あ、そういうのいいんで」
───僕はもう既に、こういう時の対処法について知り尽くしているのであった。主に向こうの世界で。
色々登場!
かなり前に閑話で出てきた人たちがかなり集合してますね。ちなみにうち数人は今のところ出番無しです。
それでは最後に、良いお年をっ!
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