果たしてギンはどうなってしまうんでしょうか......?
史上最大の危機です!
※最初は恭香ちゃん視点です
私は、思わずその名を口にしてしまった。
大悪魔 ルシファー。
ありとあらゆる世界に存在する神に仇なす存在───悪魔の頂点に立つ九体の大悪魔。
『憤怒』の象徴である、サタン
最強の奇術師、メフィストフェレス
『暴食』の象徴である、ベルゼブブ
『嫉妬』の象徴である、レヴィアタン
『怠惰』の象徴である、ベルフェゴール
剣技において全能神様をして厄介と言わせた、バアル
『色欲』象徴である、アスモデウス
悪魔全ての管理と監視を行う戦術師、アスタロト
───そして、『
トップの各々それぞれが最高神様たちと互角の力を持ちながら、ありとあらゆる世界に渡って暴虐の限りを尽くす、最強にして最悪の軍団、そのトップその人だ。
皮肉にも一応は私の主様でもあるギンと同じ『傲慢』の持ち主。
───その悪魔に、私は今、殺されかけているのだ。
その黒い光線が目の前まで来て、ギンの泣きそうな顔を見て初めて、その事実に気づいた───気づいてしまった。
一体、私は今、どんな顔をしているのだろうか?
ギンたちとはこれでお別れなのだろうか?
どうにかこの攻撃を避ける方法は無いのだろうか?
破壊不能の神器である私なら、生き残れる可能性が万が一つにもありうるのではないだろうか?
考えている内に、私はこの攻撃を受けて、その後どうなってしまうかを考えるようになっていた。
そして、理を知る私なら───私だからこそ、経験則からその結果も目に見えていた。
───消滅する。
それも、跡形もなく、だ。
神器だろうと、人だろうと、悪魔だろうと、神だろうと。
この
その正体にまでは想像は及ばないし、私の中にもそんな情報は入っていない。
だから、今の私にこれ以上現状を覆せるような方法は思い浮かばない。
───結局の答えは、その一言で済むのだ。
.........だけど、なんだろうか、この気持ちは。
胸の奥が痛くて、苦しくて、頭が痛くて、目頭が熱くなってくる。
気づけば、視界が滲んでいることに気がついた。
───そして、私の頬を何かが伝う感触がした。
あぁ、きっと、私は悲しいんだろう。
そう私は初めての感覚に驚き、興味を抱き、絶望し、
────景色が、変わった。
考えるまでもなく、私は一つの能力に行き当たる。
神器『
そして、その能力のデメリットにも。
気づけば私は恥も外聞も捨てて泣き叫んでおり、私の代わりに消えようとしている、愛しの人の名前を叫ぶ。
なんで、
なんで、なんで、なんで......
私の中で彼の名前と自己嫌悪が混ざりあって、一つの疑問を生み出した。
なんで貴方は───ギンは、私にそこまで.........、
その疑問が形になって彼に届く前に、私へと伸ばしたであろうその右腕が光線によって消滅し.........、
「何してんだよ、この
「.....ダメ、だよ? そんな事言っちゃ、ダメっ」
そんな会話が聞こえた。
☆☆☆
パリィン、と音が鳴った。
「「「「「.........へっ?」」」」」
先程まで気持ちの悪い魔力を放っていた黒い光線が光の欠片となって消え去り、恭香、白夜、レックス、ウイラム君、ルシファー.........そして何故か生きている僕の驚きの声があがる。
───いやちょっと待てよ、なんで僕生きてるんだ?
「おいおい、折角助けてやったのに『なんで生きてるんだ』はねぇんじゃねぇのか? お前は仮にも俺様の子孫だろうが」
「うん、うん。ギンくん、本当に......生きててよかった」
.........へっ?
そのあまりにも聞き覚えのある声二つに思わず顔をガバッとあげる.......、
───その直前になって、突如として右腕に激痛が走った。
「ぐぅぁぁぁぁッッ!? こ、これはッ.........!?」
あまりの痛みに左手で右腕を押さえつけようとして、気が付いた。
「み、右腕が.........無い?」
───僕の右腕が、二の腕の半ばから、
その驚愕と、深く鋭すぎる痛みに呻いていると、ふと、どこか懐かしい光が僕を包み、痛みを止めてくれた。
それは間違いなく、
───それに、この頼もしい二つの魔力を、僕は身を持って知っている。
「ははは......、とりあえず久しぶりだな、ゼウスに死神ちゃん......いや、カネクラさんとでもお呼びすればいいか?」
僕がようやく顔を上げたそこには、世界最強の全能神ゼウスと、死神ちゃんことEXランク冒険者カネクラの二名が笑っていた。
───腕が消えたことも一先ずは置いといて、僕はまずは安心することにした。
☆☆☆
数秒後、そこには先程までの暗い空気は一切感じられず、なんだか微妙に恥ずかしい───例えるなら『決死の覚悟で挑んで死ぬはずだった奴が帰ってきて、嬉しいけどかなり恥ずかしい』みたいな状態だ。と言うかそのまんまなんだけど。
「それにしても気づくのが遅かったな? 一番最初の説明で疑問に思わなかったのか? 普通は神様が赤の他人の一般人なんて助けるわけねぇだろうが。あとレックス、二百年ぶりだな」
「お、おう......カネクラか。もの凄く助かったぞ」
「ぎーーーーーん!!!」
「主様ーーーーっ!!!」
「ちょ、ちょっと待って!? 僕、これでも重傷なんだけ......うげふっ!?」
「うふふっ、......わざわざ
......二人?
なんだか一人多い気もしたが、僕は最も肝心なことを忘れていることに気がついた。
「貴様らッッ!! 俺のこ...」
「そうだ!! 僕の右腕消えたってことは神器まで消えたって事じゃないのか!?」
「....、お、おい、流石に無視は...」
「ぐすっ......、ギンの....ひっく.....神器は体に宿ってるから......ぐすっ.....うん、多分大丈夫だよ」
「........あのぉ......俺様、これでも大悪魔....」
「ふぅ、なら一安心だな.....」
「......」
僕が『炎十字』のタトゥーを左手の甲に出そうと念じて成功、そして、ひゃっほう今晩は神器喪失を防げた祝いとして外食するしかないな、と考えていた───その時だった。
「よし、貴様らぶっ殺すッッ!!」
どこかの傲慢王子が言ったような言葉を、今度は傲慢悪魔様が叫んでいた。
......あ、すっかり忘れてたぜ、てへっ。
声は出さなかったが思いっきり顔で挑発してやると、傲慢悪魔様は顔を真っ赤にして激怒し出した。
───のだが、
「......お前、カネクラと......誰だかわからんがこの嬢ちゃんが来てから......、その、なんだ、一変したな」
「......こういうクズい所も主様なのじゃ」
「......私の感動を返してくれないかな?」
味方陣営からは酷いことを言われてしまいました。
───正直言うと、何故だか身体に力が入らないから顔だけでも戦力にならないかな? と思っての行動だったのだが、何も言わない神様二人以外には理解されなかったようだ。
......いや、流石に呆れて黙ってるわけじゃないと信じたいね。
「ギンくん、ちなみに私は分かってる......、あと、身体に力が入らないのは、......ステータス、奪われたから」
「俺様も一応は分かってるさ。鐘倉家の奴って大体そんな奴ばっかりだからな。あと、全能神の言う通りあの魔力によって腕ごとステータスを持っていかれたみてぇだな。もう戻ってくることはねぇだろうが、まぁ一応ステータス確認しとけよな」
.........はっ?
何だかいきなり大量の理解不能な言葉を言われて脳がパンクしそうだ。
───ステータスを奪われた?
───もう返ってこない?
───鐘倉家の遺伝?
正直最後のはどうでもいいが、最初の二つがかなり重要だろう。
「......今任せて大丈夫か?」
「「当たり前」だ」
───頼もしいことこの上ないな。
それじゃ、あの化物みたいな悪魔は任せて、久しぶりのステータス確認と行きましょうか。
「『ステータス』.........って、はぁ!?」
僕は、そのあまりのステータスに、思わず目を剥いた
それは、高くて驚いた、なんてわけもなく、
名前 ギン=クラッシュベル (19)
種族 吸血鬼族(始祖特異種)
Lv. 522
HP 4980000
MP 13600000
STR 3920000
VIT 3410000
DEX 5500000
INT 12600000
MND 9600000
AGI 6330000
LUK 522
ユニーク
正義執行Lv.2
神化
妖魔眼Lv.2 ↑+1
万物創造Lv.3
神影Lv.2
空間支配Lv.2
スキル統合
特異始祖
魔導Lv.2
雷神風神Lv.2
エナジードレインLv.1
アイテムボックスLv.4 ↑+1
アクティブ
鑑定Lv.5 ↑+1
テイムLv.8 ↑+1
念話Lv.3 ↑+1
パッシブ
刀剣術Lv.4 ↑+1
総合格闘術Lv.5 ↑+1
鎌術Lv.3 ↑+2
縄操術Lv.7 ↑+4
棒術Lv.2 (new)
料理Lv.4 (new)
並列思考Lv.6 ↑+1
魔力操作Lv.5
超直感Lv.4 ↑+1
器耐性Lv.5 ↑+1
魂耐性Lv.4↑+2
称号
迷い人 神格 Sランク冒険者『執行者』『冥王』(new) 全能神の寵愛 狡知神の加護 創造神の加護 死神の加護 魔導神の加護 世界竜の友 名も無き才能 トリックスター 救世主 ロリコン 白天王の主 (new) 蒼天王の主 (new) 獅子王の主 (new) 暁天王の主 (new) 黒神竜の主 天馬の主 竜殺し 超越者 魔導の神髄
従魔
白金神竜プラチナムドラゴン
ゴッドオブ・ナイトメア
ブラッドギア・ライオネル
フェンリル
バハムート
ペガサス
眷属
オリビア・フォン・エルメス
マックス
アイギス
「ぜ、全ステータス三分の二......だって?」
───僕のステータスは、多少のズレはあれど、殆どがその三分の一が奪われてしまっていたのだった。
お久しぶりの全能神と死神です!
腕とステータスは間に合いませんでしたが、ひとまず助かって良かった良かっ......たかな?
次回! 神様VS大悪魔です!......たぶん。
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