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白夜とのデート回です!

まぁまぁ恋愛要素強めだと思います。

......果たしてギンはデレるのでしょうか?

第三章 帝国編
第143話

帝都を地図に書くとすると、その全域のおおよそ半分を世界樹の切り株が占め、その切り株を中心として街が栄えていると言った感じになるだろうか?


まぁ、切り株だけで五十キロもあるのだから、この国の大きさというものが分かるだろう。



僕と白夜は手を繋いでそんな街を歩いていた。まだ辛うじて雪は降っていないようだが、それでもかなり冷え込んでおり、白夜のもふもふ手袋の温かみだけが僕の心の支えである。


───北海道民が何言ってんだって感じだが、ここは高度が高いのか緯度が高いのかは分からないが、それでも寒いものは寒い。



......って言うか、白夜は大丈夫なのだろうか? 一応ドラゴンって爬虫類だろうに。



そう思って白夜の方を見ると、ニマニマと笑っている白夜と目が合った。


───というか、ガン見されていた。



「って、何笑いながらこっち見てんだよ。正直言って気持ち悪いぞ?」


「またまたぁ、主様だって嬉しいのじゃろ? ほれほれーっ」



珍しく甘えた声を出して僕の右腕に抱きついてくる白夜。


何だかんだで白夜とは二ヶ月近い付き合いになるが、僕もこんなに甘えてくる白夜は初めて見た。


いつもならば、


「何引っ付いてんだ雌豚」

「ひ、ひぃぃぃんっ!? あ、主様っ、は、激し...」

「おい、豚は喋らないだろうが」

「ぶ、ブヒぃぃぃぃっっ!!」

「ふん、汚らしい雌豚め」


とまぁ、こんな感じになっているのだろうが、残念ながら今はデート中だ。前にも言っていた気がするが、白夜もたまには思いっきり甘やかされたいのだろう。


───まぁ、何だかんだで僕も嫌じゃないしな。




「まぁいいや。行くよ白夜」


「はいなのじゃっ!」



こうして僕らは、初めてのデートに繰り出すのだった。



......まぁ、初めてのデートが昼下がりってのも格好つかないけどな。






───ちなみに、VRス○ブラで暁穂に辛勝を収めた恭香がテンションMAXで「ねぇギン! ギンもこれやってみなよ......って、あれ?」と、僕と白夜の不在を知るのはもう少し後のこと......らしい。





☆☆☆





僕らの目の前には、四階建て(・・・・)の巨大建造物が建っていた。



「おおっ! 大きいのじゃっ!」


「......これほんとに服屋(・・)か?」



そう、僕らまず最初の目的地を街一番の服屋に決めたのだった。



......何故かって?



皆はあまり気にしたこともないのかもしれないが、僕らの持っている服といえば元々持っていた服にそれらのちょっとしたスペア。それに加えて神の布だけなのだ。


ちなみに僕は三着で、白夜はなんと神の布only。




───これを狂気の沙汰と言わずになんというだろうか?




というわけで僕らは服───主に白夜の───を買いに服屋まで来たのだった。


......まぁ、家に取り残してきたアイツらへのプレゼントも幾つか見繕っていかないと面倒くさそうだからな。主に恭香と浦町が。



『ねぇギン? キスは全能神様と、膝枕は了と、そしてデートは白夜と最初にしてるけど......私って、何?』


『ふむ、まさか一番付き合いの長い私を放置して他の女とデートに行くなど......、これは責任を取って結婚してもらわねばなるまいな』


とまぁ、こんな感じになりそう。

───後者に関してはもう意味わからんけど。




と、そんなことを考えていると、袖をクイクイっと引っ張られるような感覚がした。




「おい主様、デート中に他の女のことを考えるなぞ、相手が妾でなければ消し炭にされておったぞ?」




───ツーっと、僕の額を冷や汗が流れる。




「.........声に出てた?」


「乙女は恋人の考えていることくらいお見通しなのじゃっ!」



......そういうのって漫画や小説の中の話じゃ無かったんですね。



「い、以後気をつけます......」


「ふむ、参考にするのじゃぞ?」



......初めて白夜の事を『年上の女性』なんだと思いました。



そんな気持ちを紛らわすように、僕は白夜の手を取って建物の中へと入ってゆく。






───そして、











「「「「......あれっ?」」」」





見知った顔と出会った。






☆☆☆





「あれっ!? 銀だーっ! 久しぶりだねっ!」


「ひっっっっさしぶりだな桃野っっ!!!」



そこに居たのは、桃野だった。



女性としては少し短めのショートカットに、女性そのものとしか思えないようなその小さな身体。

頭に髪の毛の艶による天使の輪が出来ているのはもちろん、女性よりも白い美肌にぱちくりとした瞳。

冗談を抜かしても、触るだけで折れてしまうのではないかと思えるようなか細い両手両足、だがよく見れば程よく運動しているのか筋肉や程よい脂肪が付いていて......、うん、黄金比とはまさにこの事。

彼女......コホン、彼の今の服装は白いコートに丈の短いショートパンツ、そしてなんと僕とお揃いの赤いマフラーをしているではないですか。

うん、きっとこれは運命に違いない。

彼女......コホン、彼は僕に久しぶりに会ったことでテンションが上がり気味なのか、頬を───まるで恋する乙女のように赤く染め、こちらを潤んだ瞳で見つめていた。

彼女......コホン、彼個人としてはそんなつもりは一切ないのだろうが、それでもそんな仕草で見つめられると、男として、桃野ファンの一人としてはかなり来るものがある。


───もう、これはあれだね。最終的には恭香ルートも白夜ルートも輝夜ルートもほったらかして桃野ルートに突き進めと言う運命神様の思し召しかな。





とまぁ、久々に天使に出会った為に少々(・・)トリップしてしまったようだが、まぁ簡潔にいうと、服屋の中には桃野がいたわけだ。



───桃野の他にお邪魔虫が数匹いるようだが。




「おーっほっほっほ! 久しぶりですわねっ! ぎ...」


「よし、もう少し桃野とお話したかった所だが致し方ない。白夜、違う店に行こうか」


「ちょっと!? 折角の私の登場シーンに何をしてくださってるのかしらっ!? 流石のぎ...」


「ちょっと真紀子? ここ店なんだから大声出さないの」


「ぐっ......お、覚えてらっしゃい......」



そう、皆さんもよくご存知であろう、おっ○いこと鳳凰院真紀子と、その友人の忍者こと倉持愛華である。


───また面倒な奴らに出くわしてしまったものだ。



「それで銀は何してるの? 彼女さんとデートかな?」


「ん? あぁ、まぁそんな所かな」



僕は桃野にそう話しかけられたところでようやく本来の目的を思い出した。



「すまん、桃野、倉持さん。僕、コイツに服を選んでやらなきゃならないからまた今度ね? 鳳凰院はどうでもいいけど」


「あ、うん! また......ね?」



───なんでしょう、今の悲しげな表情は?

もしかしてアレですか、脈アリですか桃野君?


そんなことも思ったが、僕は断腸の思いで桃野と倉持さんに背を向けると、白夜の手を引いて再び歩き始めた。



後ろから「ちょっと!? 私の扱い酷すぎじゃありません事!?」という叫び声と、「お客様...店内ではお静かに」という店員さんの声が聞こえてきたが、桃野との一時の別れに涙していた僕は気づくことが出来なかった。






☆☆☆





「......意外、じゃったな」



白夜の服を選ぶために店員さんに聞いた女性服用のコーナーで白夜に似合いそうな服を探していると、唐突に白夜がそんなことを言い出した。



「意外って......なにが?」


「主様の事じゃよ」



白夜は考える素振りも見せず、こちらを見上げてそう言った。



「主様は人でも物でも好き嫌いが激しいほうじゃろ?」



......認めたくはないが、その通りだな。

トマトとか虫とか幽霊は嫌いだし、あと水井も大嫌いだ。

上記の四つは絶滅すればいいと思います。



「だから、嫌いな奴には容赦はしておらぬし、妾たちにはきちんと心を開いてくれておる......、じゃが、それに優劣があるのも確かじゃろ?」



そう言ってぎゅっと僕の手を握る手に力が入る。




───そして、




「だから...、主様はてっきり、妾とのデートなんか放り投げて桃野とやらと遊びにでもゆくのかと思って......」


「チョップ」


「あいたっ!?」




面倒くさそうな雰囲気だったので、結構強めに脳天へとチョップを繰り出した。




「な、何をするのじゃっ!? こ、これでも妾は真面目に...」


「だからだよ」



そう言って、僕はもう一度白夜の頭上へと右手を掲げる。


先程と同じ攻撃が来るものだと思い、目を瞑って身構えている白夜の頭に向かって......、







───ポンッと、優しく手をのせた。





「僕は善人なんかじゃないし、ましてや博愛主義者なんかでもない。好き嫌いもあるし、好きな人の中でも優劣を付ける」



頭の上にのせた手をグシャグシャと少し乱暴に動かして、僕は恥ずかしさを紛らわすように、わざとぶっきらぼうにこう言った。






「だから......その、なんだ? 僕はお前のこと、......誠に遺憾だが、世界で二番目に好きなんだ。だからそんな事で拗ねてんじゃねぇよ。この馬鹿野郎」





僕は真っ赤に染まっているであろう顔を隠すために、再び白夜の服選びに没頭する。



チラリと横目で見た、真っ赤な顔をした白夜と目が合って、思わず二人で吹き出してしまったのは、何だか青春っぽくて胸焼けがしそうでもあった。




───でもまぁ、たまにはこういうのも、悪くはない。





「それじゃ、本格的に選びますかっ」


「うむっ! というか、二番目とかあんまし嬉しくないのじゃ」


「事実を言ったまでだが」


「......このあんぽんたん」




その後、皆へのお土産と白夜と僕の服を買い込み、それに加えて少し出店を回って、僕らのデート終わったのだった。




だけどまぁ、初めてのデートにしては、なかなかいい内容だったのではないだろうか? と、そんなことを思った。





☆☆☆




「ただいまなのじゃーっっ!! ......ぬぉ?」


「ただいまー......って、何してんのお前ら?」



僕と白夜が割と早い時間で切り上げて馬車へと帰宅すると、玄関に奴ら(・・)が待ち構えていた。



「いやぁ、ギンが知らない内に白夜とデートしに行ったって聞いた時はそれに気づけなかった私自身とギンに怒りを抱いたけど、なんかお土産あるんでしょ? だから集まってみたのさ」


そう、満面の笑みで言う恭香。


って言うか、え、なに? お前の機嫌ってお土産一つで治るのか?

なんか『サラリーマンの親父が仕事帰りにお寿司を買ってきたのを知って喜ぶ子供』みたいになってるぞ?



「仕方ないじゃん、だってギンが誰かにプレゼントを送るなんて初めての事だし」



───神の布はカウントされないんですね。


とまぁ、そんなことも思ったが、それでも僕なりに一所懸命選んだお土産を楽しみにされているというのは、なかなかいい気分でもある。




「そんじゃ、お土産配るからリビング集合な」


「「「「「おぉぉぉぉぉっっ!!!」」」」」





そんなこんなで、僕らの一日は過ぎてゆく。






───果たして、こんな平和な日々はいつまで続くのだろうか、とそんなことを思った。


以上、彼と彼女の初デートでした。

あぁ、それと桃野君ともやっと再会をしましたね。

※ガチBLはありませんよ?


......それにしてもちょっと変な終わり方ですね?


次回! 閑話です!

※かなりシリアスだと思います。たぶん。

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