ホグワーツと月花の狩人   作:榧澤卯月

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賢者の石

卑金属を金に変え、不老不死の霊薬たる生命の水を生み出す石ころ
それ以上のことはない



賢者の石

 休暇が終わると、前にも増して騒がしくなった。寄宿学校とは言え、1年生でも11歳なのだから、ホームシックもなにもないだろう。親の目を離れる事の方が嬉しい様だった。

 非魔法界に住む生徒に話を聞くと、年末に数時間もかけてロンドンと生家を行き来することが億劫とのことだった。その点、煙突ネットワークや、保護者に転移術を掛けてもらえる魔法族は楽なのであろうが、パンジーからは「煙突は煤で汚れるし、転移は酔うから嫌。ペルシアの空飛ぶ絨毯が一番ね」とおよそ英国人らしくない感想をもらった。

 

「ああ、言い忘れていた。みんな菓子をありがとう。順番を付けるわけではないが、パンジーのチョコレート詰め合わせが特に気に入った」

「そう、良かった。取引があるショコラティエに作らせたから、また食べたくなったらいつでも言ってちょうだい。それと、あんなに凝った物贈ってくれるなら先に言っておいてよ。お母様に叱られてしまったじゃない」

「あー、うちもそう。あれどうしたの?」

「作った」

 

 ドラゴンの革と孔雀石のビーズで作った腕輪。スリザリンであるのだから、エメラルドをあしらうところだが、そこは学生の身。小遣いで用意出来るもので、かつ加工出来そうな物はこれくらいだった。彼女らの家の財力を考えれば、エメラルドも孔雀石も大した違いはないだろうから大目に見てくれるだろう。

 

「作ったって、いつの間に」

「貴公らが帰った後にな。サプライズがあった方が良かっただろう?」

 

 正確には、ヤーナム聖杯の教室棟で、だが。尤も、さして時間はかからなかったので、談話室の暖炉の前で作業すれば良かったとも思った。

 

 

 どうやら教員たちも休暇明けは本調子ではないらしく、教科書の同じところを2度も読んだり、休暇前の範囲からかなり離れたところから講義を再開したりしていた。ハーマイオニーがそれらを逐一指摘していた。死者であるピンズ教授だけは変わりが無かったが、変わりがないのは生徒達も同様で、机に突っ伏して午睡に勤しんでいた。

 

 ミリセントに貰ったハーブとダフネからのクッキーとでアフタヌーンティーを楽しんでいると、マルフォイが嫌に上機嫌で談話室に入ってきた。下男たちも口の端を釣り上げている。

 

「やぁパンジー、ダフネ。この前のパーティーは楽しんでくれたかい」

「ええ、とっても」

「そうね」

「そうか。ボーン、君の話も上がっていてね。父上は優秀なスリザリン生に興味があるんだよ。この学校の理事としても、僕の父親としてもね」

「そうか。光栄な事だな」

「次の休みには君たち4人で我が家に来るといい。華が増えれば母上も喜ぶだろう」

「気が向いたらな。ところで、何をそんな楽しそうにしているんだ? 次のスリザリンの試合は未だ先だろう」

「クィディッチはクィディッチで面白いな。次のグリフィンドールの試合には、スネイプ教授が監督を務めるらしいからね。けど、それよりもロングボトムが傑作でね」

 

 寮監が監督とは。前回の試合でポッターに呪いをかけていたという事だが、それが真実だとすれば、どういうことか。

 まず考えられるのは、教員たちの中で疑われ、審判にさせられたという事だ。少なくとも、衆目に曝されている間は呪いをかける事は出来ないだろう。結局、あれ以後ポッターに掛けられた呪いについて、捜査が大々的に行われた様子はない。それは順当だろう。学生如きが呪いをかけられるのならば、国際試合は屍山血河だ。非魔法族でさえ、フットボールの試合ではフーリガンが発生している。倫理観の欠如した魔法族の暴徒など、飛行中の選手の箒に消失や粉砕、燃焼などの魔法をかけていることは容易に想像できる。それに対抗しているのが箒の防衛機構なのだ。となれば、教員が呪いをかけたとしか考えられず、生徒達の前で教員達が捜査を行うとは思えない。

 もう一つの可能性としては、寮監が自身で審判を買って出たという場合だ。教員しか箒の防衛を貫く程の呪いを掛ける事が出来ず、かつ、ポッターに対して日頃から敵意を向けている寮監は、他の教員からすれば確定的な容疑者だろう。ならば何故審判を買って出るか。それはアリバイ工作だろう。おそらく共犯者がいるのだ。寮監が監視されている間にまた呪いが掛けられれば、「確定的」から「非常に疑わしい」程度には警戒の度合いが下がるだろう。実力を経験したわけではないが、教員は文字通り教える者というだけのことで、一般の魔法族に比べて特別に技術が秀でているという事を意味しない。ハーマイオニーは寮監に放火したことで呪いの効果がなくなったという。それは、寮監が単独犯という事を意味しない。

 

「なんだボーン。訊いておいて考え事か?」

「ん……ああ、すまなかった。で? ロングボトムがどうしたと」

「ロングボトムに足縛りの呪文を唱えたのさ。クラッブとゴイルは図体が大きいが、肥満というわけじゃない。そうだろう? ミリセント」

「……はぁ。そうだね」

「ところが、ロングボトムは違うのさ。だから、僕の練習ついでに、アイツを運動させてあげようと思ったんだ。笑えたよ。グリフィンドール寮まで芋虫みたいに床を這いずって行ったぞ」

「なるほど、訊かなければ良かったよ。マルフォイ、貴公が純血の名を穢すロングボトムに怒るのも分かるがな。父君の事を考えれば、もう少しやり方を考えたらどうだ。息子が校内で他の生徒を攻撃しているなど、理事としては面目が立たないだろう」

 

 褒めてもらえるとでも思っていたのだろうか、マルフォイの頬には朱が差し、眉間には皺が寄った。言葉通り、マルフォイの想いは分からなくはない。ロングボトムには可哀想な事だが、血と家名を重んずるマルフォイにとって、その様に生まれたのにその様に成果の出ていないロングボトムは怠慢に見えるのだろう。

 

「気に食わないな。ロングボトムの肩を持つのかい」

「貴公の父君の肩を持っているんだ。お会いしたことはないが、名士なのだろう。その恩恵に与りながら、その家名を継ぐ貴公がそれを穢してどうする。ウィーズリー家と違い、ロングボトム家は血を裏切る者ではないのだろう? 聖血の盟主たるなら、同胞を導くべきだ。たとえそのつもりでロングボトムに呪いをかけたのだとしても、その他の者からは単なる攻撃としか見られない。だから、やり方を考えろと言ったんだ」

「……ご忠告はありがたいが、僕らには僕らの流儀があるからね」

 

 マルフォイの流儀として、「分かった、次から改める」とは言えないのだろう。分からないなら分からないでいつか別の機会があるのだろうが、その表情からは一部については納得しているであろうことが分かる。

 

「はいそこまで。ドラコ、マリアの言ってる事は私も前から薄っすら言ってきたでしょ。マリアも、もう少し柔らかく言ってあげなさいよ。パンジーが怒ってるじゃない」

「そうか、すまなかったな」

「無表情だけど、謝ってるのか?」

「笑顔で謝っても馬鹿にしているとしか思えないだろう。笑うという行為は本来攻撃的なものであり、獣が牙をむく行為が原点だ」

「笑顔になれとは言ってないぞ」

「そうか。次から貴公に謝るときには顔を覆うことにしよう」

「それこそ馬鹿にしているじゃないか」

「いいからそこの連中を連れて行ってくれ。私の菓子はやらん」

 

 下男共が物欲しそうにテーブルの上を見つめていた。随分と血色の良い欠食児童だ。

 

 

 夜。蛙チョコレートの残りを全てホットチョコレートにして、パンジーに振る舞った。ミリセントは甘い物を控えていると言い、ダフネは夜に甘い物を摂ると太ると言って断られた。パンジーが「私、太らない体質だから」と言い放つと、ダフネは「胸もでしょ」と応戦した。

 

「蛙チョコレートカードかぁ。懐かしいね」

「今どこにあるんだろう。捨てちゃったのかな」

「え? みんな集めているものなの?」

「歴史とか、社交の勉強にね」

「私は紳士録とか家系図とか読まされていたわ。今でもそうだけど」

 

 幼少期を懐かしんでいるダフネとミリセント、パンジーは買ってもらえなかったらしい。家庭毎に教育方針が異なるのは当たり前のことだ。

 

「マリアは?」

「お兄様にあげていたよ。その後お兄様がどうしているかは知らないが」

「ふーん。あ、メルキオールだ。私もこれ5枚くらい持ってたよ。他のは……クリオドナ、ウェンロック、マージョリバンクス、パラケルスス、エイサロン、ブロクサム」

「ん? パラケルスス?」

「パラケルスス。16世紀の錬金術師。武器軟膏の開発者。また、大気中からの魔力吸収理論と人造人間研究にて著名、だってさ」

「……錬金術師だ。そうだ、思い出した。ニコラス・フラメルは錬金術師だ」

 

 教室棟には錬金術に関する資料もあった。上位者の声を受け容れる為に肉体を変質させる技法として、人体錬成も研究されていた。有力なアプローチは人造人間を錬成し、それに自らの魂を移し替えるというものだったが、結局出来上がった人造人間は四肢のある蛞蝓の様だったとある。否、それはどうでも良い、必要なのはニコラス・フラメルがどういう人間であったかだ。何故ニコラス・フラメルの研究をビルゲンワースが重視しなかったのか。重視したのであればより克明に研究記録が残っているはずだ。上位者、肉体、変質、錬金術。錬金術は素材を組み合わせ、より上質な物に高める事。人間の肉体をより上質に高める。血の遺志、否。より根源的な変質。学徒が求めたものは、強化ではなく、変質だ。学徒は人でありながら智慧を求めた。血を受け容れる事ではない。となると、ニコラス・フラメルの研究は、肉体そのものの変質ではなく、受け容れることで変質するものだった。

 

「あぁ、分かった」

「何が? さっきからぶつぶつと、不気味ね」

「宿題の答えが分かったという事さ」

 

 賢者の石。

 あらゆる金属を黄金に、液体を不老の霊薬エリクシルに変質させる錬金術の極致。大錬金術師、ニコラス・フラメルはそれを生み出した者だ。

 

 

 翌日、ハーマイオニーにニコラス・フラメルの事を伝えると、自分達も答えに行き着いたという。校長の蛙チョコレートのカードにニコラス・フラメルの事が記載されていたとのことだ。前に読んだ本に載っていたのに手間をかけて悪かったと謝られた。その様子を見て、自らの中に教えてやろうという驕りがあったことを恥じた。

 

「ハリーは入学前にハグリッドと一緒にグリンゴッツ銀行に行ったらしいの。その時、ハグリッドは校長の使いとして何かを受け取ったらしいわ。そして、それが預けられていた金庫に侵入した人がいる。それから、4階の廊下は理由も説明されずに閉鎖されて、ケルベロスまで配置されている。もう決まりよ」

 

 ハーマイオニーが鞄からスクラップブックを取り出した。魔法界の羊皮紙とは異なり、パルプの上質な白色が際立つ。新聞の切り抜きが貼られ、ハーマイオニーの細かな注釈が加えられていた。

 7月末、グリンゴッツ銀行に金庫破りが入ったが、侵入された金庫はその日の内に中身が持ち出されていたという。

 銀行に侵入するというのは、手の込んだ自殺だ。だが、盗人は何もせずに帰った。という事は、単なる物盗りではなく、その金庫に何が入っているのかを知っていて、かつ、その重要性は他の金庫に入っている財貨では代替できないという事だろう。それだけ盗人はその中身についての下調べをしている。犯罪者としては犯行声明もなく目的を明確にするなど三流もいいところだ。どうせ侵入出来たのであれば、攪乱の為に他の金庫も破っておくべきだった。

 

「それが賢者の石であるという根拠は何だ?」

「ハグリッドがそう言ったもの。正確には口を滑らせた、だけど」

「なるほど。あの管理人が欺瞞に長けているとは思えない。事実として賢者の石が護られているか、彼自身が騙されているかだな」

「騙されているって、どういうこと?」

「彼がそう思う様に欺瞞され、石は全く別のところに保管されているか、そもそもニコラス・フラメル氏に関連するものではないという可能性だ。

 私が護る立場ならば、入学式にそうしたように、4階の廊下に何かを封じていることを喧伝する。だが、ケルベロスを越えた先には何も置かず、ただ罠を仕掛ける。要は誘蛾灯だ。正しい手順で入室しなければ、足を踏み入れた瞬間に失神か石化呪文が発射されるか、筋弛緩剤を気化させておくだろうな。石は最強の魔法使いとして名高い校長が携帯しておけばいい。

 後は、銀行に入っていたものが仮に賢者の石ではなかったとしよう。それと同じ物が学校内にあると知られればどうなると思う。私が犯罪者ならば、生徒を拉致し、人質として使う。それを考えれば、ホグワーツで護られている宝は金庫破りが望んでいる物とは違うと思わせておいた方が良い。

 いずれにしても、学生如きに自らの護る物を伝える程度の人間であるのだから、それに真実を伝える愚は犯さないだろう。学生の安全という視点からすれば、盗人の狙いが石ではない事を祈るばかりだ。本当にグリンゴッツ銀行に預けられていた物が賢者の石であり、4階の廊下にそれを封じているとすれば、この学校という名の魔界は狂気そのものだ」

 

 単なる学校に犯罪者の狙う宝を収め、それでいて何ら権力による保護も施さない。どの様な目的があるかは知らないが、これが真実であるならば、漁村やヤーナムで広げられた悪夢と同じ精神構造である。目的の為に、無辜の民が害されることを何ら躊躇わない。狩人マリアが覆い隠そうとした、人の願いの歪み。恥。それらが、年端もゆかぬ子等に向けられたものではないと願う位は、このホグワーツという魔界においても許されて良いはずだ。

 ホグワーツでは魔法界の隠匿の大義の下、不出来な生徒を選別する為に、数々の狂気じみた試練が課されてきた。だが、賢者の石にまつわる事であれば、全く道理が通らない。まさに理不尽である。理性と道徳とは相反しながらも人の精神の根幹である。そのどちらも欠落しているのであれば、本能に従うだけの獣と何が異なろうか。

 

「……マリアだったら、賢者の石は何に使う?」

「俗物的な答えになるが、金を得て、菓子を買うさ。

 ……冗談だ。金を求める者は、真に欲する物すら金に変えてしまう。

 病に伏す者、死の床にある者に生命の水を与えるだろうな。苦痛の中で、人は人としていられない。死を受け容れられず、獣になる者もいよう。人らしい最期を迎える事は、尋常な人にとっては最も人らしい幸せだろうな。家族や友人に囲まれ、旅先で待つ事を伝える。そういった優しい時間を求めることこそ、人が技術を発展させてきた理由だろう」

 

 それが与えられることの無い者。人間性を失い、しかし獣ともならぬ血に酔った狩人。それに与える慈悲。狩人狩りとは呪われた業にして、かつて民を護った狩人への、慈悲のはなむけなのだ。

 

「貴公は?」

「私は……分からないわ。金にしても、不老不死にしても、それに変えるという事が、どういうものなのか分からないし。想像できないものは想像しようとするべきじゃないわ。不必要なものまで手に入ると、きっとそれまでの自分じゃいられなくなるもの。

 だから、あなたからのプレゼントはとても嬉しかったわ」

 

 ハーマイオニーに贈ったものは、ドラゴンの革で作ったロールペンケース。留め具にはグリフィンドールの色、真紅に擬えた薔薇輝石をあしらった。

 

「そうか。賢者の石が欲しかったと言われなくて良かったよ」

 

 

 結局、4階の廊下にあるものが賢者の石であろうとなかろうと、ポッター達が出来ることともすべきこととも関係がない。いかな謀略がホグワーツの中で渦巻いていようと、単なる1年生にとっては関わり合いになる事ではないし、狩人にとっても学校そのものの秘儀とは関わりがない。普段と変わらず、生存と鍛錬に力を注ぐのみだ。

 ミリセントとパンジーはクィディッチの試合を見に行った。パンジーはクィディッチというよりもマルフォイ目当てと言うべきだったが、いずれにしても、この凍空の下、よくも外出しようなどと思えるものだ。

 本日の対戦カード、グリフィンドールとレイブンクローにとっては、順位の入れ替わりをかけた重要な一戦だったが、300点以上先行しているスリザリンにとっては、どうという事のない試合である。グリフィンドールの調子は未だ上がってきているとは言い難いものであり、下手をすれば今期はこのままではないかという事だった。それでも楽観せずに観戦に赴くのがフリント先輩だった。

 ハウスエルフ犇めく厨房の一画を間借りし、観戦後に冷え切っているであろう寮生の為にホットワインを作る。製剤の練習の成果か、ダフネの手つきは年度始めに比べれば良くなっていた。それを伝えてやれば、良いも悪いも、檸檬を輪切りにして砂糖と香辛料を入れるだけではないかとダフネは反論したので、成る程それすら覚束なかったのだからむしろ恥じ入るべきかと思った。

 煮立たせない様に火力を調整するのもまた魔力制御の練習となる。これはダフネが得意だった。物体に燃焼という変化を与えるものであるのだから、呪文学と変身術の分野である。ハーマイオニーが規格外とはいえ、ダフネもまた聖血の才女であり、並みの1年生とは一線を画す。

 作るものを決め、レシピを選び、実行する。

 味覚という才能に左右される事も、明確な完成形の想像図が無ければ十分に具現化されない事も、魔法と料理とは似通う部分がある。一般的な魔術工房と異なる、アトリエと呼ばれる錬金術師の特殊な工房では、料理をも錬金術の一つとして扱うという。素材の内なる魔力を引き出し、異なる素材と組み合わせ、変質させるという過程はまこと料理そのものである。事実、古代の錬金術師の研究成果の中には、養生食として流通しているものもある。

 薬学と錬金術とは似ていながらも明確に異なる点がある。それは、術者に魔力の素養があるか否かである。錬金術が術者の魔力を仲立ちにして素材同士の魔法的結合を生み出すことに比べると、薬学は潰す、刻む、煮る、混ぜるといった工程を経ることで抽出した成分の結合を目的とする。よって、術者によって結果の異なる錬金術は恐ろしく再現性が低くなる。錬金術の典型例である杖の作製も同様で、同じ木の枝、同じ生物の芯を使ったとて、同じ杖にはならない。

 スネイプ教授は薬学と錬金術の違いを説明した事があった。絶望的に不器用でない限り、基本に忠実であれば同じ物が出来るのが薬学であり、それをまともに出来ないのは単純に頭の構造が悪い。その様に、間違いなくポッターに対して語っていたのだが、それを鑑みれば、確かにポッター達が教授を疑うのも分からないではない。賢者の石によって生み出される霊薬。それを素材にすれば、より薬学の可能性は広がるだろう。あるいは、教授が好むという闇の魔術においても大きな意味を持つだろう。不老不死の研究は、翻せば死そのものの思索に繋がる。命を繋ぐことは、死を退けることだ。

 だが、ダフネの言う通り、寮監が校長に歯向かう事をするだろうか。校長の目を逃れるため、表向きは従っている様に見せかけるという可能性もあるが、だとするならば、校長のお気に入りであるポッターを目の敵にする理由もない。

 個人としてのセブルス・スネイプ氏の人となりを知悉しているわけでもないが、他人の研究成果である賢者の石を利用するよりは、石に頼らずに霊薬を作り出す方法を探る方が想像しやすい。粘着質な嫌味からは、合理性よりも自らの能力に依って事を為すという気質がうかがえた。

 

「こんなものかな」

「私としてはもう少し甘みが欲しいところだが」

「それで飲み過ぎても大変でしょ。ねぇ、そこの子。寮まで運んでくれるかな」

「かしこまりました、お嬢様」

 

 ダフネに呼び止められたハウスエルフは恭しく返事をし、鍋と共に消えた。校内で転移術は使えないはずだが、狩人の灯りと同様、転移術とは異なる技術があるのだろう。

 

「じゃ、戻ろっか」

「待て、幾つか菓子を貰ってからにする。貴公ら、いつも感謝しているぞ」

「勿体なきお言葉にございます」

 

 賢者の石に興味はない。甘味だけで人は幸せになれるのだから。

 




 年度末の6連飲みとかもう肝臓が死ぬる。飲み過ぎて今回はいつも以上に低クオリティ。
 普段は養命酒を舐めて寝てる位なのに、「飲んでなくない?」とか言われればそりゃKONOYO NO OWARIですよ。舐めたら法華経ってどう言う事なんだろう。完全に煩悩に塗れているけど、そんな衆生でも仏様は救ってくれるんだぜっていう大乗仏教の教えを説いてるんですかね。
 クリスマスですが、魔法界でもクリスマス祝うっていうのがいまいちわからんですね。あいつら神信仰してないし。そんな彼らでも、日本のクリスマスとか見ると気は確か!?みたいな気持ちになるでしょう。自分達の原罪を雪ぐ為、わざわざ死ぬ為に生まれた神が産み堕とされた日を祝うとか神様馬鹿にしすぎでしょ。七面鳥でもなく鶏の燔祭、口にするは聖体でもなくケーキとシャンパン風炭酸飲料。しかも厳かに生を想うわけでもなく、子作りでもない性で生を味わうわけですから、完全に邪教のサバトですよ。


 ハリーのアトリエ ホグワーツの錬金術師
 錬金術について、原作でどうこうという設定はなかったと思うので、捏造。
 WWWの防衛グッズが大盛況だったのは、時勢もあるけど魔法道具って大抵が職人による一点もので、大量生産されていなかったのではという疑念から。大量生産技術はラッダイト運動が起きない程度の粗製濫造にとどまるんじゃないかと。
 文具ですら羽ペンと羊皮紙ですからね。風切り羽を引っこ抜いたり、羊をブッ叩いて作る以上、生産効率は低い上に動物愛護団体がテロリズムを働くはずですが、それがないのだから、未だボールペンや万年筆を作る技術がないということです。今でこそ、毛皮は残虐という風潮ですが、それは衣服に選択肢があるからです。麻や綿の育たない地域で毛皮を着ないという事は不可能なわけで、そんな地域で生類憐みの令がだされたらたまったものではないです。
 つまり、忌むべきことですが、近代的奴隷制度が容認されていた時代背景は、それが必要であり代替不可な価値であったからです。
 こういうところを考えると、いかに魔法界が魔法を使えるという個々人の能力に依拠していて、社会制度や技術の発展が稚拙であるかという事が分かりますね。スクイブとかは魔法界で生きるのが大変そうだから、非魔法界に放出しようってなるんでしょう。ハー子みたいな、非魔法族から生まれる魔法使いというのは、遠い祖先にスクイブが居てもおかしくはないですね。

 教室棟の学徒
 悪夢の中のビルゲンワース教室棟ですが、なんとも理解が出来なかったので、汁ぷっしゃーしてくるアイツ等はしょうもない人造人間の成れの果てという事にしました。上位者の瞳を得たわけでもなく、血を積極的に摂取したわけでもない(人血製剤の鎮静剤は飲んでますが)あいつらがけもけもしい獣でもなくぶよぶよにもならずというのはよくわからんのです。どうにもビルゲンワースに接触した上位者はロマとか苗床みたいに虫系にさせるっぽいので、あんな軟体になるとは思えんのですなぁ。
 教室棟自体は、現世ビルゲンワースの地下にありそうなんですよね。ミコの悪夢は現世の模倣を上位者の世界に作る事だと思っています。対して、狩人の悪夢は部分的にではありますが、現世を削り取っているのではないかと。そうでないと、今でも実験棟では訳の分からん実験が続けられているはずで、メンシス学派が(眼球抉らないでも脳液ちゅるちゅるでなんかそれっぽくなるやん)って思うはずですから。


 ボーン家の狩人が不老という事はほぼ知られていないです。
 なので、ハー子からしてみれば達観している様に見えるマリアに対して、(やっぱり女子の方が大人よね。ロンは金で自分のクィディッチチームを作るなんて言ってるし)って感覚です。成人するとまた別ですが、女の子の精神年齢って、男の子に比べて3歳くらい上な感じですよね。「ちょっと男子ー!ちゃんと歌ってよー」みたいな。合唱コンで歌うのが恥ずかしいと思っていることの方が恥ずかしくない?みたいな。
 マリアは(飲んだだけで不老不死とかめっちゃこわ。上位者の血よりヤバいじゃん。そんなんなんか絶対副作用あるじゃん。子ども作れなくなるとか)って思ってます。

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