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ギンの本気です!

銀滅炎舞の能力があきらかに!?

第三章 帝国編
第103話

「はぁぁぁぁぁぁッッッッ!!」



振りかぶったアダマスの大鎌とバハムートの爪が激突する。


ドゴォォォォォンッッッッ!! と、硬いもの同士が衝突したとは思えないような爆発音にも似た衝撃が辺りを包む。



『ほう、先程のペガサスよりかは遥かにマシなようだな』


能天気にそんなことをほざくバハムート。



まぁ、余裕なのは分かってるさ。

そもそも近接戦闘においてステータスの劣る僕がコイツ相手に接近戦を挑んだ時点で間違っている。





────だからこそ、ここからは搦め手だ。






「『影分身』ッ!」



瞬間、僕とバハムートの周囲をぐるりと球状に囲むかのように生み出される影分身の数々。





────その数、五千体(・・・)以上。



そいつら全員が完全ブーストモードでアダマスの大鎌を手に持っているのだ。正直、悪夢でしかないだろう。




『ぬっ!? こ、これは.........』



流石のバハムートもこれには驚いた様子で辺りを見渡している。


───恭香でも知らないこの魔法、お前でも流石に知ってはいないだろう?





「くっくっくっ、少し僕を甘く見すぎだぞ?」



その言葉と同時に、靄となって散る、バハムートの目の前に居る僕の分身(・・)




『なっ!? まさか偽物かっ!?』



流石のバハムートでも先程まで話していた相手が偽物だったとは思いもしなかったのだろう。




───だから油断するなって言ってんだろ?





「グレイプニル展開だっ!!」



僕の分身がバハムートに絡まれた時から既に上空で待機していた僕の本体は、分身たちに命令を飛ばす。


それと同時に全五千体の分身の掌から幾千ものグレイプニルが召喚され、その全てが組み合わさって、一つの網を構成する。



───上下左右、どこにも入口も出口もない、破壊不能、最凶最悪の監獄の出来上がりだ。




「まぁ、これで終わりじゃないんだけどな?」




次の瞬間、その監獄は一気に縮小を始め、数秒後にはバハムートの身体を完全に締め付けていた。



『ぬっ? この縄、破壊不能か......』



......破壊不能の縄に縛られている癖に案外余裕だな?






───と、そんなことを思った時だった。






『ククッ、貴様は将来に期待が持てそうだ。その期待の表れとして、我輩も少し、本気(・・)をみせてやろう』



バハムートはニヤリと笑うと、一瞬でその身体に紫色の魔力を纏う。







───そして、









「がはぁッッ!?」





───気付けば、僕の身体は両断されていた。





いや、僕だけじゃない。




視界の端に映るのは、粉微塵になって消え去る、影分身とグレイプニル。



そして、僕の下半身と一緒に両断された、軍服。





───それらは間違いなく、破壊不能の品であった。





「ど、どういうこ......」


『貴様こそ、油断したのではないか?』




ふと気付けば、月明かりに照らされていた僕の身体に、影が差していた。



ま、まさかっ!?





『ククッ、これくらい避けてみよ、今は(・・)弱き者よ』





その声と同時に、僕の身体と衣服が修復される。



ばっ、と頭上を見上げる。






───そこには、紫色のオーラを纏った爪を構えた、バハムートの姿が。







『死ぬなよ?『紫炎斬』!』






紫色の炎の、一閃。





それは、本来ならば神格を持つものでさえ、反応すら───目で追うことすら不可能な、想定外な攻撃。




それはもちろん、僕も例外ではなかった。







───だが







「あぁ、入って(・・・)んな、僕」








もちろん、僕は油断や慢心など、してはいなかった。



───これは、ただ単純な、実力の問題だ。





目に映るのは、目の前まで迫る、紫炎の斬撃。



僕の様子を注視している、バハムートの瞳。



地上を照らす、満月。




───そして、








恐らく、今の僕ではこの斬撃をどうにかすることは不可能だ。


防ぐには、圧倒的に実力が足りていない。




───それ程までに、圧倒的威力の一撃。




くらえば、間違いなく死ぬ───消滅する。







「まだ、死にたくはないんだよな」






防げないならどうする?










────だったら、躱すしかないよな?










瞬間、僕の身体が、バハムートのすぐ隣を落下中の下半身と入れ替わる。






『───ッッ!?』






ここに来て、一番の驚きを見せる、バハムート。




───まぁ、それもそうだろう。








「流石のお前といえど.......これを喰らって無傷で済むかな?」






銀色に燃え上がる、僕の右腕。








"銀滅炎舞"





その能力は、単純明快。









"敵だけを討ち滅ぼす炎を身に纏い、身体を強化する"









残りの魔力の殆どをベクトル変化へと使用し、右腕へと付与。




同時に、さらに大きく燃え上がる、銀の炎。






───これが、今の僕の全力だ。







「死ぬなよっ!『正義の鉄槌(シルバーブロー)』ッッ!!」



『ククッ! 面白いッ! 『紫炎斬』ッッ!!』








───そうして、僕の試練は、無事終了した。







☆☆☆





ぴろりん!レベルが上がった!

ぴろりん!レベルが上がった!

ぴろりん!レベルが上がった!

ぴろりん!......




「まぁ、この状態を無事と表現出来るならな」




僕は今現在、見通しの良くなった()森林で仰向けに倒れていた。




───それを"倒れていた"と表現出来るかも怪しいが。




『ククッ、まさかあの爆発に巻き込まれて首だけ(・・・)でも残るとは.........、クハハッ! やはり貴様は面白いなッ! 気に入ったぞっ!』


「うるせぇよダンゴムシ」




そう、正義の鉄槌と紫炎斬の衝突の際に起きた超爆発に、僕、バハムート、それに周囲の森林は巻き込まれたのだ。




その結果。




僕→首以外が消滅。


バハムート→軽傷(かすり傷程度)


周囲の森林→消滅



という訳だ。



さっきの攻防で、執行者モードならば服が再生する、って分かってたから、全裸にならないだけまだマシだが、それでもかなり治りが遅い。


まぁ、頭に残ってる血以外が全損したのだから、仕方ないことでもあるが。




「まぁ、数分もすれば治るとは思うけど........それで? 結局僕は試練には受かったのか? というか受かったよな?」


あれだけやって不合格とか言われたら、僕泣いちゃうよ?




だが、どうやら僕が泣く必要は無かったらしい。



『ククッ、そんなもの合格に決まっておろうが。本来なら我輩を最初から騙せていた時点で及第点以上だぞ?』



───なら何故続けたのだろう?


そんなわかりきった質問はしなかった。




『我輩を騙し、罠に嵌め、策を弄し、攻撃を躱し、更には我輩に傷をつけたのだぞ? 確かに卑怯と言われるような戦法ではあったが、そんなものは、ただの個人の価値観でしかない。だから我はこう言おう。素晴らしかった、とな?』



ほう、コイツは僕の戦い方を卑怯と蔑まないんだな?


───案外、エルグリッド辺りと気が合うかもしれない。




『それで褒美なのだがな.........強き者(・・・)よ、お主(・・)は何か、リクエストなるものは無いか?』


呼び方が少し変わったな? それだけ僕を認めてくれた、ってわけだろうか?


───まぁ、今はどうでもいいか。



「えーっと......出来ればペガサス一頭──できれば大人しい奴と、体高三メートル前後の馬車を引けるような魔物、そいつらをテイムしたい.........ってのは有りか?」



コイツは褒美の個数は言ってなかったからな。


もしかしたら、一つだけにしろ、と言われるかもしれないが、まぁ、その時はペガサスにでもしておこう。






そんなことを考えていたのだが、バハムートの答えはかなり斜め上を行くものだった。




『ぬ? そんなものでいいのか? お主は気に入ったのでな、我輩をテイムする、とか言っても了承したのだが......』






.........はっ?






「いやいやいや、お前何言ってんの? 馬鹿か? 馬鹿なんですか?」


『? 気に入った者に付いていこうかと思うことの何がおかしいのだ? まぁ、半分は冗談であったのだがな、クハハッ!』



───それって半分本気だった、ってことだよね?





でもまぁ、半分冗談であって良かったかもな。





「僕はお前のことは絶対にテイムしないぞ? 少なくとも今は、な」



『......ほう? 我輩に不満でもあるか?』



一変して真面目な顔をする、バハムート。





不満? そんなのあるわけが.........




───いや、不満なら一つだけあるな。






「お前をテイムしたら、僕はお前とは、本気では勝負出来なくなる。だから、僕がお前を超すまではテイムしない」





僕が本気でコイツに挑めたのは、コイツが少なくとも仲間ではなかったからだ。


もしもテイムなんてしたら、二度と本気では挑めなくなる。



───きっと、心の奥底でストッパーがかかってしまう。





「だから、いつの日か、僕がお前を打ち負かして、そうして堂々と僕に従わせてやる。その時は奴隷のようにこき使ってやるから首を洗って待っておけ、この糞野郎」



『クハハッ! それは楽しみだっ! せいぜい我輩を落胆させぬよう精進するのだな、我が好敵手よっ!』





まぁ、こうして、





僕には、実力のかけ離れた好敵手(ライバル)が出来たのだった。






☆☆☆






少しときは進み、午前四時半。



僕は報酬を受け取った後、その二体を連れて街まで戻ってきた。



───ちなみにその二体は、テイムLv.5で入手した新しい能力にて収納している。



その名も『モンスターハウス』


テイムした魔物を収納する、という能力だ。

モンスターハウス内の魔物達は基本的に外の映像も見ることが出来、僕との念話も自由自在のようだ。


───まぁ、今回テイムした二体はまだ子供(・・)なので、僕たちの言葉を理解するのがやっと、という感じだ。


どこかの天才(レオン)は生後数日で念話を使いこなしているが......まぁ、あの成長速度こそが神獣───つまりは魔物の頂点に立つ者の証なのだろう。





そんなことを考えながらも門まで辿り着くと、どうやら既に、全員が集まっているようであった。




「おーい! こっちだぞーっ!」



黒い馬車の近くにいたマックスが僕を見つけて手を振っている。





───のはいいのだが、





「何であいつら、全員軍服着てるんだ?」



そう、奴らは全員が軍服姿だったのだ。





黒地に金色の刺繍の入ったスカートタイプの軍服に、漆黒のマントを着用した恭香。



少しデザインの新しくなったスカートタイプの軍服に、純白のマントを着用した白夜。



青地に金色の刺繍の入ったスカートタイプの軍服に、漆黒のマントを着用した輝夜。



黒地に赤色の刺繍の入ったズボンタイプの軍服に、裏地が赤色の漆黒のマントを着用したレオン。



亜麻色の地に銀色の刺繍の入ったスカートタイプの軍服に、亜麻色のマントを着用した暁穂。



黒地に水色の刺繍の入ったスカートタイプの軍服に、漆黒のマントを着用したオリビア。



黒地に灰色の刺繍の入ったズボンタイプの軍服に、漆黒のマントを着用したマックス。



黒地に白色の刺繍の入ったスカートタイプの軍服に、漆黒のマントを着用したアイギス。




そして、それぞれの背中には、銀色の紋様が描かれていた。





「......もしかして今の流行りは軍服なのか?」


「いや、皆してギンのまね......」


「恭香は黙っておるのだっ!」


「そ、そうであるぞっ!」


「妾は元からなのじゃ」


「俺たちも単純に国王様から言われただけだがな」


「新しい制服みたいなものらしいですよ? デザインだけ受け取って後は昨晩に恭香さんからもらった神の布を使って作りました」



個人的には皆が軍服な事よりも、あの白夜がスカートとか、あの暁穂が普通に服着てる事とか、アイギスが白色だったってことのほうがビックリだけどな。僕としてはアイギスのイメージカラーは瞳の色と同じく紫色だと思ってたけど......。



(最初の二つはともかくとして、まぁ、そこはアイギスのユニークスキルが関係してるんだけどね。まぁ、後で聞くといいよ)



.........まぁ、そうしておこう。







───それより今は、こっちの方が重要そうだしな。





「ぎ、ギン様っ! ぺ、ペガサスちゃんはどうなったのですっ!?」


先程からそわそわしていたオリビアが、我慢しきれなかった様子でそんなことを聞いてきた。


まぁ、夢でもあったペガサスを捕まえに行ったのに何も連れずに帰ってきたのだから、不安にもなるだろう。





「大丈夫だよ。オリビアのためにペガサスはテイムしてきたからな。それに馬車引きの魔物もな?」



「「「「「なぁっ!?」」」」」




後ろからエルグリッドの驚きの声も聞こえたが、まぁ、気にしたら負けだろう。




「あ、主殿! 本当にペガサスをテイムしたのか!? 我でも今まで生きてきた中で一度しか見たことがないほど希少な生物だぞ!?」


「恭香ちゃんが10%とか言ってたアレか!?」


「す、すごいのですぅっ!」


「て、テメェっ!? 今度はペガサスかよっ!? これ以上勢力拡げてどうするつもりだっ!? 国でも滅ぼすってのか!?」


「国王様、ミラージュ聖国を滅ぼす気かと」


「あっ、なら滅ぼしてもいいや」


「お、お父様っ!? なにを言い出すのですっ!?」





.......はぁ、凄く言いづらいな、この空気。




"実はもう一体の方がやばいんですよー" とか、さ?




まぁ、めんどくさいし、二体同時にお披露目会と行きましょうか、事態の収集は恭香辺りが何とかしてくれるだろ。



(いや、流石にアレはやばいんじゃ......)





そんな声も聞こえた気がしたが、時既に遅し。





「さぁ! 出てこい二人ともっ!」






既に、モンスターハウスの入口は開いてしまったのだから。

みんなの新衣装でした!

何となく戦闘服は軍服にしてみました。


次回! 新しい仲間たちが登場!?

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