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後日談第二弾!

もう一話ほど続きそうです!

第二章 冒険者編
第97話

「これよりっ、第二回、色々と決めよう会議を開始するッ!」



『『「『「おぉぉっっ!!!」』」』』




今現在、ダムダムの男子部屋のなかに、僕と従魔たちは集まっていた。理由は上記に記した通りだ。


───ちなみにフェンリルは変身スキルでとりあえず小さくなってもらい、騎士三人組は普通に騎士団の方で働いているそうだ。


ま、監視はいいのかって思ったけど......まぁ、あってないようなものだったし、別にいいのだろう。



「今回のスケジュールを発表するっ!

①フェンリル、恭香、レオンの人化発表!

②フェンリルの名前決め対決!

③ロキからの報酬発表!

④これから方針を決めよう会議!

以上の四個でお送りするぞっ!」



『『「「『うぇーーい!!』」」』』



何故だろう、この会議の時は皆がテンションMAXなのは。


確か前回輝夜の名前を決めた時もかなりテンションが高かった気がする。




「クハハハハハハっ! やっと我の出番が来たなぁッ! 最近影が薄くて焦っておったのだッ!!」


「カカッ! 妾だって最近、輝夜にセリフを全部持っていかれてるのじゃっ! ここでアピールせねばならんからのぅっ!」


『自分はもう既に描写が無くなっているのである』


『.........他にも全然出てきてない人いっぱいいるよね。特にエルビンさんとか』


『「「.........誰?」」』



.........酷い奴らだ。毎朝毎晩お世話になってるんだぞ?


それにしてもそういう理由でテンション上がってたのか.........なんかすいませんね、僕の描写ばっかりで。




「ま、まぁとっとと始めちゃおうか。3人ともその状態でも人化出来るんだったよな?」


恭香は僕の進化とともに変身スキルを入手し、レオンは形状変化のスキルをもっている。そしてフェンリルはさっき共有した特異始祖のスキルで、それぞれが人化出来るはず.........なのだが、違ったか?



『うむ、自分は変形で人の形を取ればいいのである』


『はい、もう毛皮をパージする準備は万端です』


『っていうか、ギン以外は私の人化モード見てるんだよね......』



あぁ、やっぱり僕が意識を失う前にチラッと見えた黒髪幼女は恭香だったのか.........。




「恭香って..........美人さんなのか?」



僕は恭香が例えゴリラみたいな見た目でも愛せる自信があるけど.........やっばり、ねぇ?



ぶっちゃけ、美人であってほしいです。



『ふふっ、それは見てからのお楽しみだねっ』


そ、その余裕は何なのだろうか?



『それじゃあ順番はどうするの?』


『うむ、パーティに最近入った順で良いのではないか?』


『ふふっ、それなら私から、ということですね?』



僕が不安に心を蝕まれている間もどんどん話は進んでゆく。

どうやら初手はフェンリルからのようだ。




『それでは行きますっ! パーーーーーージッッッ!!!』




馬鹿みたいな叫び声と共に、フェンリルが亜麻色の渦に包まれる。


............あっ、全裸になるなって釘刺すの忘れてた。




だが、そんな後悔とは裏腹に、その渦の中から出てきた女性は、きちんと服を着ていた。


───まぁ、当たり前なんだけどさ。





そこに居たのは翠色の瞳に、肩までかかる亜麻色の髪を左耳にかけた20歳前後の女性だった。

身長は僕と同じくらいだろうか?

比較的短めな短めなスカートのメイド服を身につけ、僕に向かってニッコリと微笑んで............






............あれっ?






「.........フェンリル.........なのか?」



「ふふっ、もちろんでございます、マスター。もしかしてマスターの好みですか?」



フェンリルは再び微笑んで、冗談めかしてそんなことを言う。





もちろん、僕もそれが冗談だと分かっていた。








───のだが、






「.........い、いや。そ、そんなことは......」




何故だろう、完全に否定出来なかった。




「「「『えっ?』」」」




再び声が被る女性陣、欠伸をするレオン、顔を背ける僕。




ここで一つ言っておくと、僕は一目惚れというものをしたことが無かった。と言うか、そもそも人を好きになったことが無かった。


───つい、この前までは。




.........それが、どうしたよ、僕。






まるで、これじゃあ一目惚れみたいじゃないか。






『ええっ!? ギン一目惚れしちゃったの!?』


「「「な、なぁっ!?」」」






────よし、深呼吸をしよう。




暗示だ暗示。人を騙すのは得意だろ、なら自分くらい騙せよ馬鹿野郎。


いいか? これは、一目惚れ、じゃ、無い。


よく考えろ、恭香とフェンリル。一生一緒にいるとしたらどっちだ?


そんなの考えるまでもなく恭香だろうが。



ならば、タイプではあっても一目惚れではない。



よし、よく分からないけど、証明完了だ!




僕はフェンリルに恋しちゃってなんかいないのさっ!






「ハッハッハッハー、全くなんのことか分からないな。ほら、さっさと先行こうぜ?」


『くっ、ここに来て最大の難敵が......?』



.........ほら、さっさと先行こうぜ?





『うむ......主殿がそういうのであれば、次は自分の出番というわけであるな?』



「あぁ。レオンよ、カッコイイの頼むぜ?」



きっとレオンなら、渋カッコイイ少年になるのであろう。


正直、そんな期待を持っている。



『うーむ.........主殿の故郷風にしてみるのである。とうっ!』



口調とはかけ離れた少年のような声とともに、レオンの体が黒の渦包まれてゆく。


───この変身方法、流行ってるんだろうか?



まぁ、流石にぐにゃぐにゃになって人型が出来たら気持ち悪いけどさ.........。




そんなことを考えている間に、レオンの変身は終了した。




そこに居たのは黒髪赤目の、10歳前後の少年だった。

青色のジーンズに黒いフード付きパーカー。背中にはチラッと例の紋様が見えた気がする。

身長は.........今の白夜よりも少し小さいくらいだろうか?



ただ、なんというか.........



「こっちに来た時の僕をめっちゃ若くした感じ、って言えば伝わるのかな? 子供版の僕、見たいな?」


「うむ、主殿の異世界の服装と姿を真似したのである。へ、変ではないだろうか......?」


『いやいや、すっごく似合ってるよ? 正直、ギンより遥かにイケメンだし』



グサァッ!



ぐふっ、たった一言でフェンリル戦以上のダメージをくらうとはっ.........絶対魂耐性が上がったぞ、今。



「そ、そうであるかっ! な、ならば良いのである!」


.........見た目が変わるだけでもこんなに子供らしくなるんだな。もう、商店街にいるオシャレな小学生、みたいになってるぞ?





『それじゃあ最後は私だね、まぁ、楽しみにしてるのはギンだけだと思うけど』



.........どうか、ゴリラではありませんように。



『......たしかにあの時は角度的に顔は見えなかったけどさ、流石にあの身体で顔だけゴリラ、ってのはないんじゃない?』



じゃあ、美人さんでありま.........




「って、おい。このパーティって、騎士組も含めて美男美女じゃないのって僕だけじゃないか?」



.........一度考えてみよう。



白夜は? 残念だが、美少女だ。


輝夜は? 考えるまでなく、超美人。


レオンは? もう読者モデルとかやってそう。


フェンリルは? ......美人ですよね。


オリビアは? うん、可愛いよな。


マックスは? ......例えるなら、キ○タクと同レベル。


アイギスは? 人気の女優さんくらい美人さんだ。




そして、僕は?




───全然イケメンじゃありません。




強いていならば.........中の.........中?


まぁ、そんな感じだ。

もしそんな奴を好きになる奴がいたら目が腐ってるのだろう。






.........あっ。





「.........お前ら、眼球腐ってるんじゃねぇか?」


「い、いきなり何を言い出すのじゃっ!?」



うん、きっとコイツらは目が腐ってるに違いない。



「それで? もしも恭香まで美人だったら僕はこのパーティでの居場所を無くすことになるのだが.........正直の所、どうなの?」


『ぐうっ.........言い返せないっ!』


どうやら全知の恭香さんも同じ意見だそうです。



───お前も目、腐ってる奴の一人なんだけどね?




『はぁ......、もう変身しちゃうからね? とうっ!』



レオンと似たような声とともに、今度は金色の渦が僕の腰を包む.........これやばいんじゃないかッ!?


僕はとっさに恭香を掴みあげると目の前の床に置く───と言うか、焦っていた為か投げ捨てるに近かったが。



『いったーいっ! ちょっと!? 何するのさっ!?」



そんな声が渦の中から聞こえる。


.........なんか、変化してる最中の声は気持ち悪いな。





そんなことを考えていると、恭香の変身も終わったようだ。



さぁ、どんな女の子に変身し.........た......?





僕は、その姿を見て、完全にフリーズした。





なぜならば、







腰まである長い黒髪に、金色の瞳。


白いTシャツに、デニムのショートパンツ。


サイズの変わった、僕とお揃いの黒いコート。


身長は、恐らく120cm前後で、年齢としたら8歳児、だろう。






そこには、そんな.........






「ふふっ、どう? ゴリラじゃないでしょっ?」







────目も眩むような、美しい幼女が居た為であった。







☆☆☆






「さぁ、次に進もうか」


「.........何事も無かったかのように進行するんじゃな」



もちろんです。



恭香のかなりの美幼女っぷりに、思わず鼻血を吹きかけた僕だったが、まぁ、なんとか落ち着いた。


それで僕たちは今現在、円卓を囲んで椅子に座っているのだった。


───ちなみに円卓は自作である。




「えーっと、それじゃあ次はフェンリル......お姉ちゃんの名前決めかな?」


「あぁ、そう言えば恭香さんはロキ様から誕生したのでしたね。確かにそれならば私の妹、ということになるのでしょう」



あっ、そういえばそうだったな。


.........ロキのことをビッチとか言って笑いたい。



そ、それはともかくっ、この日のために僕は日頃からネーミングセンスを鍛える訓練を積んできたのだっ! 今回こそは恭香を打ち負かしてやるっ!



「んじゃ、恒例......ではないけど、フェンリルのネーミングセンスを確かめている間に名前を決めちゃおうぜ」


「「「「「おおぉぉっ!」」」」」



さて、今回フェンリルに名前をつけてもらうのは......?



「ジャジャーン! 今回はコレっ!」


僕がアイテムボックスから取り出したるは、一本の折れた剣。




───そう、いつか僕が折った、彼の聖剣 (偽) である。


......実は影蒼牙で受けた時にポロッとね?



実はこの剣、売ろうと思ってたのに何処も買い取ってくれなかったんだよ。正しく呪われた聖剣。みんな揃って『そ、そんなばっちいもの買い取れるかッ!』って言って怒るんですもの。


.........これって彼が持ってたってだけですからね?



「こ、これは聖剣エクスカリバー.........? いえ、これは.........はっ!? ま、まさかここでも私に試練をっ!? わ、私っ、不肖ながら頑張らせていただきますっ!!」



神族であるフェンリルは、きっと本物(・・)も見たことがあるのだろう。試練かなんかと勘違いしたみたいだけど、まぁ、頑張っておくれ。






.........あっ、そう言えば言い忘れてたな。






「ちなみに勝者にはこの中の誰かへの命令権一回ね。報酬的な?」



「「「「なぁっ!?」 」」」



女子組の声が被る。



「.........ちなみに勝ったら誰に何をお願いするの?」



な、なんだか怖くなってきた。




「ふふっ、私はギンとデートでもしようかなぁ?」




な、なんだとっ!?



そ、それなら僕からもお願いしたい.........んだけど、残りの三人が.........ねぇ?





「カカッ! 妾はSMプレイに決まってるのじゃっ!」


「ふ、ふふっ、ふふふっ、わ、私はマスターに夜の全裸散歩にでも連れていってもらいましょうかっ! 首輪付きで人型なら.........ふふっ、考えただけで興奮してしまいますっ!」


「クハハハハハハハッ! 我は普通に結婚してもらうのだっ!」


「「なぁっ!?」」


「クハハッ、クハハハハハハハッ! 主殿は我を嫁に貰っても良いと言ったのでなっ! つまりは嫌ではないということであるッ! ならば今行かずしていつ行くのだぁッ!?」


「ぬがァァァァぃぁっっっ!?!?」


「ふ、ふふっ、私も願いを変更せざるを得ませんね......」





ほら聞きましたか皆さん。




────この三名に勝ち残らせてはいけない。





まぁ、別に結婚するのが嫌なわけじゃな.......




「ふふっ、今回は私も本気で行かないと拙そうだね?」



何故か急にやる気を出し始める恭香。



「なぁっ!? ず、ずるいぞ恭香っ!」


「そ、そうじゃぞっ! 妾たちにもチャンスはあるべきじゃ!」


「だから私に勝てばいいんだよ。勝てばギンと結婚できて、負ければ私とのイチャイチャを見せつけられる.........勝って全てを手に入れるか、負けて全てを失うか.........。ふふっ、勝負だよ、みんな?」




.........本人が居ること、忘れてませんかね?





でもまぁ、簡単に言えばこういう事か。




僕が勝つ→優越感に浸れる+この内一人を好きに(・・・)できる。


恭香が勝つ→僕とデート。


女子組が勝つ→僕と結婚。


レオンが勝つ→不可能。



と、まぁ、そういう事だ。




えっ? レオン? 暗黒丸とか言ってる奴が勝てる戦いじゃないんだよ、この戦いは。





まさにDEAD OR ALIVE。生きるか死ぬかの戦いなのだ。






───女子たちの精神が、ね。






そうして僕たちのもう一つの戦いが幕を開ける。





果たして、勝利の栄冠は、誰の手に渡るのか.........?







☆☆☆







数分後、僕らの答えは出揃った。





「順番は、フェンリルを最初として、円卓を時計回りに、白夜、輝夜、レオン、僕、恭香、の順でいいか?」



コクリ、と頷く一同。


どうやら全員がかなりの真面目モードのようだ。




「コホン、それでは私から行かせていただきますね?」


フェンリルはそう言うと、席を立ち上がって折れた剣をみんなに見せる。



「この、中程から折れた聖剣エクスカリバーの偽造品。私はこの様を見て、とある言葉が頭に浮かびました」




そう言って彼女は僕の方を見つめ、こう言った。





「それを含めて、私が考えたこの剣に "敗者の忘れ物" と名付けたのですが.........どうでしょう?」



な、なんだとっ!?



ここで思わぬダークホース、フェンリルが現れた。


───馬なのか狼なのかは分からないが、とにかくダークホースだ。ネーミングセンスが高すぎるっ......!


こ、これは恭香もうかうかしてられないんじゃないか......?





だが、それに物申す人物が居た。





「うむ.........それならば偽造品とかけて "敗者の虚言"や、"敗者の妄想"などと言った方が良いのではないか?」



そう、輝夜である。



.........それにしても、コイツもネーミングセンスいいんだよな。間違いなく妄想の方が良い気がする。



それはフェンリルも思ったのであろう。



「な、なんとっ!? 流石はパーティNo.4.........侮れませんね.........」



No.4って何だよ。パーティに入った順か?





そんなことを思ったが、その思考は白夜が立ち上がったことで中断させられた。




「カカッ! さぁ、ここからが本番なのじゃぁっ!」


「いや、二大センス皆無王が何言ってるんだ?」



そう、白夜の『闇子』、レオンの『暗黒丸』は、最早伝説となったのだ。


───正直、僕でも引きました。



「ぬ、ぬぐぅぅぅっ! み、見ておるのじゃっ! 妾も成長したという所を見せてやるのじゃっ!!」



そうして白夜は、語り出した。



「カカッ! フェンリルは白い方と茶色っぽい方の二種類があるのでのぅ。妾はその白い方に目を向けたのじゃっ!」


......ほう、僕とは逆の方に目をつけたか。





そう、少し感心したのだが............








───白夜は、また新しい伝説を作った。






「カカッ! そやつの名前は『白蟻』ちゃんなのじゃっ!」








「よし、次。輝夜いいぞ?」


「クハハハハハハハッ! ようやく我の出番というわけかっ!」


「なあっ!? 無視じゃとっ!?」



いえ、コメントのつけようがないだけです。



そんなことを言おうとしたが、その前に輝夜が立ち上がってしまった。自分のネーミングセンスの無さは分かっているのか、渋々座る白夜。



────今、なんでニヤけてたんだろうか?



恐らく、気にしたら負けな、特殊な事情(性癖)があるのだろう。気にしない気にしない。






「クハハハハハハハッ! 我はその戦い方に注目したのだッ! 鋭い牙と爪、空駆けるその体躯、そして、その白銀の身体.........最早考えうるのは一つしかありえんなっ!」



いや、多分それって、恭香かフェンリルに聞いた話だよね?



で、でも、なんだか凄そうな予感がするな.........。





そんな予感は外れることはなく、輝夜は僕たちに向かってこう言ったのだった。




「こやつの名前は『銀の弾丸(ザ・シルバー)』と言うのはどうであろうかッ!?」



ザ・シルバー.........カッコイイじゃねぇか。



英語に直すと『THE SILVER』


恐らく銀の弾丸......僕の弱点、という意味も含まれてるんだろう───いや、まじで一目惚れじゃないからね?




それにしても.........なぁ?






「カッコイイけど........名前には、ねぇ?」


「うん、そんな名前の人が居たら引くね」


「な、なんだとっ!?」



僕と恭香の言葉の刃が容赦無く襲いかかる。


まぁ、ネーミングセンスが有る無いに関係なく、単純にその方向が間違ってるだけなんだよなぁ...........。



ま、これでコイツらの勝利は無くなったも同然だな。




「くっくっくっ、これでお前らとの結婚は延期となったわけだな」


「「「え、延期っ!?」」」



おっと、口が滑った。



「あー、今のは言葉の綾ってやつだからな?」


「.........本当かのぅ?」


「怪しいな......」


「......ですね」



.........なんでこういう所は鋭いんだろうか、女の人たちって。


(ギンはみんなの事、娶る気満々だもんね?)


.........何? 嫉妬ですか?


(いや? ただみんなと暮らせたら面白いかなって)



......はぁ、お前が心の広い奴で良かったよ。



まぁ、僕はコイツらのことは結構好きだし、白夜とか輝夜は結婚したい一歩手前くらいまでは来てるんだけどさ.........、もしもコイツらがほかの相手に恋をしたなら諦めてくれよ? 僕は略奪愛なんて生々しいもの、したくないからさ。


(ギンはそういうガチなやつは嫌いそうだもんねぇ.........一見鬼畜に見えてもギリギリで一線を越えないチキンだもんね?)



......あぁん? 誰がチキンだ、誰が。





そんな話を水面下で行っていると、レオンが立ち上がった。




「うむ、そろそろいいであるか? さっきから、自分が考えた名前を早く言いたくてウズウズしているのである」



.........コイツもマイペースな奴だよな。



「おう、さっさと発表して負けちまえよ」


「ククッ、主殿は自分のことを見くびりすぎであるな?」



いや、そりゃあ侮りますよ、暗黒丸さん。


そんなことを思われているとはつゆ知らず、レオンはニヤリと笑って席を立つ。



「自分はまだ、生後数日なのでな。今は成長期ということで、ありとあらゆる才能がどんどん伸びているのである。.........それは、名付けな才能も例外ではないのであるぞ?」



.........フラグですか?



そんなことを考えていると、レオンはニヤリと笑って、フェンリルの名前を発表した。





「ククッ、フェンリル殿の名前は"阿修羅丸"なん...」





「よし、次は僕だな」


「ふふっ、結局はギンとの一騎打ち、ってことになるんだね」



僕たちは何も聞いていない。



───あれ(暗黒丸)以上の伝説など、聞いてなんかいない。



それは、レオンを除く、全員の共通認識であった。




立ち上がる僕。


悲しそうな表情を浮かべて座るレオン。


挑発するような笑みを浮かべて僕を見上げる恭香。


侮っているような顔で僕を見る、白夜と輝夜。


期待に目をキラキラさせている、フェンリル。





ふっ、僕の成長を見せつけるには絶好の機会ではないかッ!





「予言しよう。この勝負、僕がもらったぜ」





そんなことをドやりながらも口にした僕は、フェンリルの名前を発表するのだった。




「フェンリル、お前の名前は『亜夜(あや)』だ!」



「「「おおっ! す、すごい!」」」



くっくっくっ、白夜に輝夜、と来てるんだから、これはもう"夜"という文字を入れなくてどうするってんだよ?


亜麻色の"亜"に、(吸血鬼)の代名詞"夜"で、亜夜。




くっくっくっ、やはりこの勝負、僕がいただ......





「ふふっ、なかなか成長したみたいだけど.........まだまだだね、ギン」




.........へっ?





「確かに夜、という文字を入れることには感心したよ」





そう言って、立ち上がる恭香。


何故か座る、僕。




そうして、彼女は僕の敗因を、口にした。




「ただ、そんなありもしないルールに縛られてたら、私には勝てないよ?」



「な、なんだとっ!?」









まぁ、そんなこんなで、




今回も、恭香が勝利の栄冠をもらって行った。







「夜明けに輝く亜麻色の髪から『暁穂(あきほ)』って言うのはどうかな?」





.........くっ、次こそは勝ってやるっ!




そんなことを思うのと同時に、少し、負けてよかったと思う僕も居た。

次回! 第二章(?)終了なるか!?

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