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予告です。

予定通りというか、なんというか。

このフェンリル戦が終了と共に一日一話投稿になると思います。

誠に勝手ながら申し訳ないです。

第二章 冒険者編
第94話

危なかった。



恐らくは、今まででも最大の危機だった。



あの時の僕は油断はしてはいなかったが.........少しだけ、慢心をしたのだろう。


───僕はあの時、影纏を使わなかったのだ。



『試してみよう』


あの時の考えが頭に浮かぶ。




馬鹿か、僕は。



相手を考えろ、神族だぞ?


本来なら逆立ちをしても勝てない相手。

それを圧倒している自分に、いい気分になった。



───調子に乗った。



ハハッ、本当に馬鹿な奴だ。危うくバジリスク戦の二の舞になるところだったぞ?




───ただ、まぁ、後悔はしない。



後悔なんて、次に生かすには不必要だ。



必要なのは反省だけ。


何がいけなかったかを冷静に分析し、それを次に生かす、後悔をしない心の強さ。


必要なのはそれだけだ。



『ふふっ、カッコいいね。そういう自分ルールで動いてるギンはとってもカッコイイよ?』



.........うっせぇよ、馬鹿。



『......えっ? 今デレた?』



恭香がそんな事を言ってきたが、僕は無視することに決めた。



視線の先にはこちらを見て固まっているフェンリル。




「......言い訳にも聞こえるかもしれないが、これだけは言わせてもらうぞ。さっきは少し、慢心していた」



こんな、失敗を完全には次に生かせないような僕だけど、それでも確かな事がある。




「慢心は.........もうしない」




昔から、僕は失敗続きだった。


カウンセリングも最初から上手くいったわけじゃないし、その過程で幾つもの失敗をした。


───水井幸之助の、事件のように。



何度も何度も失敗を繰り返し、


その度にそれを乗り越え、強く、賢くなってきた。





だからこそ、確信できる。





「......こっから先は本気で行かせてもらうぞ?」







───失敗した後の僕は、かなり強いのだ。







☆☆☆






戦闘に入る前に、少し、補足説明をしておこう。


先程、どうやって生き延びたのか、という事だ。


答えは簡単。

僕が使ったスキルは、ただ一つ。



───"幻魔眼"だけなのだから。




幻魔眼Lv.1

相手に幻を見せる類の魔眼。

狡知神ロキの加護によってのみ取得可能。

ありとあらゆる相手に幻術をかけることが可能。

但し、発動時には左眼が紫色に変化し、銀色の六芳星が浮かび上がる。

Lv.1= 一日に一回使用可能。



というスキルだ。




僕は蒼炎の槍に貫かれた直後、影魔法が使えないという事実に辿り着いた。


その時点で、既に僕は幻魔眼を使用していた。


一日に一度しか使えない奥の手であったが、間違いなく、使うとしたらあの時しか無かったであろう。


幻魔眼を使用し、フェンリルに、"僕がその場で槍に貫かれたまま呆然としている" という幻術をかけた直後、僕は横っ飛びに避難し、何とか難を逃れた。


その後、幻術にかかったままのフェンリルを何とかそのままに留め、その間に空間支配の能力の一つ『深夜の処刑場』を構築。そして奴を閉じ込めた、というわけだ。




......え? なんで幻術にかかっている間に倒さなかったのかって?



そんなの真正面から本気で叩き潰すために決まってんだろうが。





「という訳で、お前は仲間にするつもりだが、その前に叩き潰す。僕も大概だがお前も調子に乗り過ぎたな? 糞狼野郎が」


まぁ、野郎かどうかは分からないが。




「それじゃあ行くぞ?『影纏』」



頭が急激に冷えてゆく。



あぁ、いい感じだ。





───うん、入った(・・・)





ゼウスに敗北してから、僕はたまに、こんな感覚を味わう時があった。


頭は澄みきり、冷静で、それでいて心だけが熱く燃え上がっている。


何か、身体中のスイッチを入れたかのような、そんな感じ。




唯一確かなのは、入った(・・・)僕は、間違いなく強いということだ




僕が入ったのとほぼ同時に、僕の身体を通常時とは違った、赤い影が纏う。

きっと執行者モードというのは僕固有の魔力の色を強く引き出すのだろう。




「まだまだ行くぞ、『神化』発動」



さらに一段階、頭が冴え渡る。



それと同時に僕の身体から溢れ出す、真紅のオーラ。


それが身体中を完全に纏うと同時に、前に感じたような、身体を作り変えられるかのような感覚があった。



不思議と痛みはなく、着々と、僕の身体は変化していく。




───吸血鬼族の身体から、神族の身体へと。




「Grunlfraaaaaaaaaaaaaas!!!」



フェンリルも僕の変化に気付いたのだろう。

その顔に焦りを浮かべて、僕へと向かってくる。


直後、僕の目の前には前足を振りかぶったフェンリルの姿があった。


間違いなく、それは、フェンリルの本気であった。






───そして、





「.........少し、遅かったな」





その、フェンリルの攻撃は僕の人差し指一本(・・・・・・)で止められた。



「GuaaatttaSaaa!?」


『な、な、なな......』



.........何を驚いている?



「ただ、僕の今の強さを、ロキが測り間違えていただけだろ?」



そう言うと、僕は一つの魔法を放つ。




「『スチームエクスプロージョン』」



突如、僕らの頭上に現れた、巨大な岩石の塊。


───それは、かつて白夜へと放った魔法。




「さぁ、砕け散れ」




その言葉が合図になったかのように、とんでもない爆発音を響かせて爆発する、その岩石の塊。


正確には岩石の塊の中に限界まで閉じ込めてあった水に、蒼炎をも超える超高温の白炎を発動させることで、無理矢理水蒸気爆発を起こしただけなのだが。



だが、岩石によって封じ込められ、一気に解き放たれたその爆発は、水雷月禍や、フェンリルの蒼炎の比ではない。




───通常時の僕が全魔力を使って放てば、国の首都を一つ壊滅できる程の力を持っているのだ。




それを、この状態の僕が全力で放てばどうなるか。




「くっくっくっ、僕らに(・・・)罰ゲームだ」





次の瞬間、僕とフェンリルに、先程の蒼炎の爆発とは比べ物にならないほどの爆発と、それに伴う投岩が襲ってきたのだった。




こうして、僕たちの戦いは痛み分け、と言うことで幕を閉じた。





────はずだったのだが。






☆☆☆





結果から言おう。






フェンリル→瀕死。






僕→ノーダメージ。






ということになった。


痛み分けじゃなくて、僕のダメージをすべてフェンリルが受けてくれたのではなかろうか、と、そんなことを思った。




少し気になったので、ロキのステータスを受け取った状態での今のステータスを確認してみることにした。



───だって、ねぇ? 気になるでしょ?



「.........『ステータス』」






.........なんだこのステータス。


桁がおかしい事になってるぞ?





えーっと、どれどれ.........一、十、百、千、万、十万、百万、千万、一......億?





「......なぁ? もしかして今の僕って最強なのか?」


『そんなわけないじゃん、........多分だけど今のギンのステータスは.........多分強化なしの狡知神様と互角くらいかな......? いや、少し劣ってるくらい........だと思うよ?』


「..........ロキってこれよりヤバいステータスしてるのか......神様って見かけによらないもんだなぁ」



あいつの事、お義母さんとか呼ばなくてよかったぁ......。




「そんじゃ、帰るか」



神化も試せたし、執行者モードの特徴も分かったし、フェンリルぶっ殺したし、何より、ステータス返さないと真面目に殺されかねない。



「よーし、それじゃ世界を解除......」


『.........わざとやってる?』


「........うん」





思い出したくはないが、.........フェンリルの事でしょ?



無理矢理、忘れようとしてたんだ。




────何故かって?





僕は、フェンリルの方へと、嫌々、視線を向ける。



.........フェンリルの現状を報告しよう。




身体中は傷だらけ。全ての脚の骨が折れているのか、最早ピクリとも動かない───動けない。


だけど、死んでいないのは確かなのだ。





.........あぁ、見たくない見たくない。


なんで僕は『仲間にする』なんて言ったんだ。


僕のパーティに頭の正常なやつが集まってくるわけが無いだろう。




頭の中をそんな言葉の羅列が埋め尽くす。



テイムしたくない、テイムしたくない、テイムしたくない、テイムしたくない、テイムしたくない、テイムしたくない、テイムしたくない、テイムしたくない、テイムしたくない、テイムしたくない、テイムしたくない、............あぁ、見たくない。




『......私が言おうか?』


「.........うん、頼むわ」



僕は、あの神狼と僕の関係を、この世界に来て、二日目に体感したことがあったのだ。




傷だらけの身体。


瀕死の怪我。


僕に一度は深手を負わせた事。






───そして何よりも、







『恍惚な表情を浮かべながらも、体をもじもじさせて、ハァハァ言ってるね、あのフェンリル(変態)







その、気持ち悪さが、完全に白夜そっくりであった。






───あぁ、僕には"頭のおかしい従魔しか出来ない"って呪いでもかかっているのだろうか.........?






そんなことを思った。




そして同時に、少し、諦めた。





「.........もう、いいや、『テイム』」









ぴろりろりん!『フェンリル』のテイムに成功しました。名前を付けてください。



ぴろりん!レベルが上がった!

ぴろりん!レベルが上がった!

ぴろりん!レベルが上がった!

ぴろりん!レベルが上がった!

ぴろりん!レベルが.........








そうして、僕の大切な何かと引換に、この大戦は終了したのだった。



───ついでに神の髪も一本、なくなりそうだが。







あぁ、最後に。


僕が先程見たステータスを、ここに記しておこう。






ひとまずは、自力でここまで至るのが、僕の目標になった。











名前 ギン=クラッシュベル (19)

種族 吸血鬼族 (神化状態)

Lv. 1

HP 200424520

MP 231180000

STR 200410600

VIT 200402000

DEX 200610900

INT 201410000

MND 201106000

AGI 200658000

LUK 20000


ユニーク

正義執行Lv.1 (使用中)

神化 (使用中)

万物創造Lv.1

神影Lv.1 (使用中)

空間支配Lv.1

スキル統合

幻魔眼Lv.1

特異始祖

魔導Lv.2 (使用中)

雷神風神Lv.1 (使用中)

エナジードレインLv.1

アイテムボックスLv.3


アクティブ

鑑定Lv.3

テイムLv.5

念話Lv.1

演技Lv.1


パッシブ

刀剣術Lv.2

総合格闘術Lv.2

並列思考Lv.4

魔力操作Lv.4

超直感Lv.2

物魔耐性Lv.3

状態異常耐性Lv.2

損傷耐性Lv.3

混乱耐性Lv.3

精神耐性Lv.1


称号

迷い人 神格 Bランク冒険者『執行者』全能神の寵愛 狡知神の加護 創造神の加護 死神の加護 魔導神の加護 ロリコン 白銀竜の主 獄夢の主 神獣の主 竜殺し 超越者 魔導の神髄 詐欺師









───まだまだ、先は長いと実感させられるけどね。

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