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どうやらこちらにも四季があるらしいですね。


夏野菜、って言ってますし。

第二章 冒険者編
第53話

一つ、もの申したいことがある。







どこにでも登場し、その存在を世界に轟かせてきた、奴。


そう、奴だ。




僕は奴に、不満があるのだ。



奴とは誰で、不満とは何か、わからない人もいる───というか、分からない人しかいないだろう。






あらゆる物語に登場。


数々の犠牲者を出してきた対人用兵器。


かと言って、根絶させるのは不可能。


何故なら。人々の生活に、奴は必要不可欠だからだ。




大量の被害者を出す癖に、人々にとっては無くてはならない。そんな最悪の矛盾の権化。





そう、奴の名は.........









「黒パン、()すぎじゃね?」





そう、黒パンだ。


アイツは、正直堅すぎた。



あれは最早、日本で言う硬いパンとは違う。


『硬い』を通り越して、『堅い』のだ。



普通の人なら歯が折れる。間違いなく、ね。






まぁ、僕は何とか無事に(?)食事を終えた。


そして───少し、感動した。





「吸血鬼って、歯が折れても再生するんだな......」



どうやら僕も歯の耐久度は普通の人並であったらしい。


今回の食事だけでも数本は折れた気がする。


───まぁ、もう全快したのだけれど。



「いや、お客さん。普通はそんな食い方しねぇぞ?」


『うん、あれはスープに浸けて食べるものなんだよ?』



エルビンと恭香がそんな事を言ってくる。




バキボキッ!




いやね、僕だってそんな事は分かってたさ。




ゴギゴキガリッ!


......さっきからすごい音だな?




「でも、こんなの見たら......ねぇ?」




先程から妙な効果音が響いている。



───それはまるで、何かとてつもなく堅いものを噛み砕いているかのような音にも聞こえた。



僕は、音の発信源である隣の席へと視線を移した。




そこには.........





「うむっ! ほど良い硬さじゃな! ちと物足りんが、それでもかなりの歯応えじゃっ!」



余裕で黒パンを噛み砕いている白夜がいた。





こんなの見ちゃったら、挑戦してみたくなるじゃん!





いつになっても少年の心を忘れない、そんな僕だった。







『......いや、精神年齢が低いだけでしょ?』




......うっせぇよ。





☆☆☆




あの後、ステーキとスープも口にしたのだが......










「なぁッ!?」





あまりの旨さに戦慄ッ!





とめどなく滲み出る肉汁。


舌で押しただけで解れるほど柔らかな肉。


かと言ってしっかりとした噛みごたえもある。


肉々しいのにくどくなくて。


豚肉のようで、他の肉の特徴も併せ持つ......



その様、正に神肉ッ!




『確かに日本には絶対に存在しない、というか出来ないよね。魔素っていう成分があってこそのその肉だからさ』


とは恭香の言。



いや、アレを日本で出したらとんでもない事になるぞ?


きっとどんな値段でも売れるよ、うん。


例えば、1gを一万円で売っても大丈夫な気がする。





まぁ、ステーキも凄かったのだけれど......






「なにッッ!?!?」




またもや戦慄ッッ!





な、なんだこのスープ!?





透明感のある───というか透明なスープ。


それでいて匂いだけでも僕たちを満足させてくれる。


その透明なスープに浸かるのは瑞々しい夏野菜たち。



戦々恐々としながらも口にした途端、




───僕の頭に白夜に殴られたかのような衝撃が走った。



一瞬の内にこのスープに使われている野菜たちの姿が目に浮かぶようだった───レタス、トマト、ブロッコリー、ナス、エダマメ、キュウリ、ズッキーニ、トウガラシ、ニンニク───あれ、ニンニクって.........



嫌な考えが頭に浮かぶ。





そして.........




「ぐはぁッ!?」


吐血した。



『マスターッッ!?』


「主様ぁッッ!?」


「お、お客さんッ!? る、ルーシィッッ! 早く来てくれぇっ!」


「あら? 呼んだかしら♡」



「「『いつからそこに......』」」





まぁ、そんな事もあった。




どうやらニンニクは吸血鬼の治癒スキルを貫通してダメージを与えてくるようです。





☆☆☆




そして、今現在。



僕はどうしているか、というと。






「............」




自室を見てフリーズしていた。








いや、確かに二人用(・・・)の部屋にしたさ。



ルーシィは言っていた。


『申し訳ないのだけれど』と。




確かに僕は言った。


『発情しないから大丈夫だ』と。













但し、それはツインベッド(・・・・・・)の場合だ。





「あの筋肉ッッ! 謀りやがったなッッ!?」






僕たちの部屋にはダブルベッド(・・・・・・)が置かれていた。











今晩、彼がロリコンかどうかが試される。

既に時間は11時を回っていた。


他の宿屋はもうやっていないだろう。


そもそも筋肉が逃がさない。


さぁ!? 彼はどうするっ!?

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