本編、最終話となります。
今まで応援してくださって、ありがとう!
僕には夢があった。
それは、大切なことだった。
過去を変えたい。
黒歴史を無かったことにしたい。
そう思うのは当然だと思うし。
他人から見ればそうでもなくとも。
僕からすれば、とても大切なことだった。
ふと、空を見上げる。
後ろを振り向くのは辛いことだ。
かと言って、前だけ見るのも少し疲れる。
だから、たまに空を見るようにした。
僕の日常は、少しだけ変わった。
二人と一匹にボコられたり。
海外からシオンが飛んできたり。
アルバイトしてたナムダが泣きついてきたり。
当然のように生き延びてやがった深淵の奴らに『おかえりなさいのパーティ』みたいなのをやられたり。
あ、そうだそうだ。
あいつ、成志川。
あの野郎、記憶が戻った途端、あの黒髪少女と別れてエニグマ先生とくっついたんだけどさ。
ただ……これまた面白いことに、今度は黒髪少女が成志川を強奪しようと頑張ってるらしい。
あの子、本当は成志川の事が好きなだけの、ツンデレだったんだと。
けっ、ハーレム野郎め。
というわけで、ハーレム野郎とは絶交した。
そう言ったら成志川が泣き始めたため、仕方なく友達の最底辺で我慢してやることにした。
まぁ、そんなこんなの日常で。
変わってそうで、……うん。もしかしたら何も変わってないのかもしれない。
成志川がハーレムクソ野郎になっただけ。
それだけの変化だ。
過去を変えるということは。
今を変えることに他ならない。
ふと、そんな言葉が頭に浮かんだ。
誰の言葉だったのだろう。
よく分からないけれど。
今思えば、確かにその通りだと僕は思う。
人は生きている。
みんなが何かを積み重ねて。
いつしか塔になったものを。
未来の人が、歴史と呼ぶ。
その中のひと重ね。
わずか数ミリ。
それを抜きとるということは、それだけ塔頂部分に変化が生じる。
今回はほんの数ミリの変化で済んだようだが……下手をすれば、その塔が崩れ落ちてもおかしくは無い行為だった。
そこまで気づき。
僕は今になってしみじみ思ってる。
ちなみに後悔はしていない。
僕の願いは本物だ。
あの当時の僕に同じことを言ったとしても。
きっと、当時の僕は何も変わらず、笑って突っぱね、駆け抜けただろう。
ほんと、厄介な男。
頑固さの塊のような男だ。
それに相対した霧矢に同情するよ。
ま、あいつの自殺を阻止したことだけは、あの時の僕のファインプレーだったと思うけど。
そこまで考えて、僕は前を向く。
季節は流れて、夏の真昼間。
図書館から帰ってきた僕は、馴染みのあるマンションに入り、借りている階へと向かった。
玄関のドアを開けると……うげっ、また遊びに来てるのか、シオンのやつ。
「おーい、家主が帰ったぞー」
「なはは! ヤヌシってなんだ! 食えんのか!?」
相変わらず馬鹿丸出しのシオンがいて。
僕は、何も変わらないなぁと苦笑する。
「お? なんだなんだ、なんか買ってきたのか! メシか!」
シオンはそういって、僕の抱える本へと視線を向ける。
その視線を受けて、僕は満面の笑みを浮かべてその本をシオンへみせた。
過去を無理に変えるのは良くないこと。
痛いほど思い知った。
僕は方法を間違えた。
ならばと、僕はこの一ヶ月悩んでみた。
そして、僕は考え至ったのだ。
無理やり変えるのが悪いなら。
自然に変えれば良いのでは? とな!
僕は満面の笑顔を浮かべ、彼女に言った。
「なぁ! 7つ集めたら願いが叶うオーブってのがあるらしいんだけど! タイムスリップしてみる気は無いか、シオン!」
「少しは懲りやがれ! このイカレぽんちが!!」
僕はシオンにぶっ叩かれた。
《完》
妄想クラウディア、これにて完結となります。
長かったようで短かった数ヶ月間。
ここまで応援して下さって、ありがとうございました!
最終回を挟んでのエピローグ3話。
計170話で完結となりました。
もしかしたら、ここで『あれっ、学園祭と正統派武闘会どうしたの? 作者てめぇ忘れてんじゃねぇだろうな』という意見を抱く方が出てくるかもしれません。
ですが、そこはご安心ください。
時間を見て、番外編として執筆します。
まぁ、長々と書いてみましたが。
兎にも角にも、読者の皆様には感謝しかありません。
今後も色々な作品を執筆していきますので、どうぞよろしくお願いします!
以上、藍澤建でした!
2021年も良い年になりますように!
アディオス!!
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。・特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はパソコン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
作品の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。