我が名はグリンデルバルド   作:トム叔父さんのカラス

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ダンブルドアに報告してめでたしめでたしな、訳は無い。世の中そこまで甘くは無い。
後悔する準備はいかが?さあお辞儀をするのだ。


17話 旧秘密の部屋事件 後編

 ヨーテリアが校内をさまよっている頃、生徒の授業も終わり引率を終えた教師達は、今後の方針を決めるために校長室へと集まった。

 しかし、その会議は穏やかな話し合いとはいかない。

 

「今すぐに学校を閉鎖するべきだ!生徒の安全が最優先、そうだろ!?

 理事会の決定なぞ踏み倒せ!何が閉鎖反対だ!」

「オッグ、君は早計に過ぎるぞ!私は様子を見るべきだと思うがね。

 もしかしたらまだ質の悪い悪戯かもしれん、何よりマンドレイクの在庫もあるんだ!

 被害者に話を聞けば犯人も割り出せようぞ」

 

 スラグホーンが猛る森番を戒めながら緊張した表情で言い放つと、メリィソートが無言で頷く。

 彼はホグワーツを閉鎖して問題を先伸ばしにするより、被害者を蘇生して犯人を割り出し即行の解決を図るべきと会議の前から譲らず、閉鎖後に生徒の家で個別に事件が起こる事を考慮し、教師が生徒を保護するべしと、ヘルベルトもそれを肯定した。

 

「先生方は理事会に従うのか?連中は現場を見ちゃいない!

 生徒達がどんなに怖い思いをしてるのか分かってないから閉鎖に反対してるんだ!」

「生徒が自宅で個別に襲われるかもしれん!我々教師が皆を守った方が安全だぞ!」

「それに閉鎖は問題の先送りだ、生徒が戻って来た時犯人が大人しくしている筈が無い」

「・・・アルバス、君はどう見る」

 

 頭を押さえて唸っていたディペット校長が沈黙を貫いていたダンブルドアに尋ねた。

 はっきり言ってディペットも閉鎖に賛成だ、魔法省もこれ以上何か起これば閉鎖すべきと言うし、何より彼は生徒が襲われるのを恐れていた。

 これは人(だけの)仕業では無い、ホグワーツの暗部、サラザール・スリザリンの遺物、秘密の部屋が間違いなく継承者によって開かれた。

 今回の襲撃は、秘密の部屋の怪物による物の筈だ、一番にそれを察知したこの男、ダンブルドアはしばらく目を閉じた後、重々しく口を開いた。

 

「わしは・・・」

「ダンブルドアッ!居るか!?」

 

 突然校長室の入り口から大声が響いた。そこに居たのはボロ雑巾のようになりながらも銀の錫杖を支えに歩いてくるヨーテリアだった。

 

「ヨーテリア!?何があったんじゃ!」

「私はどうだっていい、緊急なんだよ!

 生徒が一人やられた!私は見たんだ!」

 

 手を貸そうとするダンブルドアを振り払い、背筋の凍る報告を大声で叫ぶヨーテリア。

 

「やられた?ミス・グリンデルバルド、また一人犯人に石にされたのか?」

「そんなモンじゃないんだメリィソート先生!

 マートルが、マートルが女子トイレで殺された!

 しかも相手は人じゃない!秘密の部屋の怪物だ!」

 

 

 

 

 

「しかも相手は人じゃない!秘密の部屋の怪物だ!」

 

 まったく先生方が全員居て良かった!

 ダンブルドアが部屋に居なくてもしやと思ったけど予想通り校長室に集まってた、ありがたい!全部話しちまおう、あの蛇を始末してもらわないと。

 ・・・おい、先生方?何を呆けてやがるんだ。

 先生方は口を開け信じられないといった顔をした、でもダンブルドアと、ディペット校長は違った。

 ダンブルドア?何をそんな絶望した顔してんだ?ディペット校長も何だよその目は、何で俺を親の仇みたいな目で見るんだ?

 

「オッグ、メリィソート。女子トイレに行ってくれ。

 スラグホーン、ヘルベルト。君達は生徒を寮から動かすでない、急いでくれ」

 

 ディペット校長が指示を出すと、先生方が戸惑いながら校長室を出ていった。

 残ったのは俺と校長と、ダンブルドアだけだ・・・おい、何だよこの状況は。

 

「ヨーテリアや、一体、どうして」

「アルバス、黙っていてくれ。

 ミス・グリンデルバルド、君は秘密の部屋、しかもそこの怪物の仕業であると言ったね」

「あ、ああ。その通りだ校長。

 私を見ろ、私もこの通り派手にやられた」

 

 何をそんな分かりきった事を、それより対処だろ?一応もう一人の被害者が目の前に居るんだぞ。

 

「それはいつの事かね?君や被害者が襲われている間、誰も気付かなかったのかのう?」

「そ、そりゃ授業中だったから、誰も・・・」

「授業中に、女子トイレで、何をしていた?」

 

 校長が声を低くして俺に歩み寄って来た。

 おい何だよ、まじで何なんだ?校長、まさか俺を疑ってるってのか!?

 

「こ、校長、私じゃ無いぞ!?

 私も襲われたんだ、見ろこの怪我を!」

 

 肘や手首の関節が滅茶苦茶になってもはや使い物にならなくなった腕を見せた。

 

「しかし不自然なのじゃよ、秘密の部屋の怪物に、襲われて?そのまま校長室に来れた?君は随分と優秀だね、しかし教えてくれ」

 

 校長が俺の目の前に顔を寄せた。

 

「何故、君が秘密の部屋の存在を知っている」

 

 ・・・は?

 いや、だって、俺はハリーポッターと秘密の部屋の重要な部分の、詳細を思い出したからで・・・あっ。

 

「いや、そのっ、それは・・・」

 

 おかしいよな、おかしいだろ、だってこれは転生したからある記憶だ、転生したから知ってましたとか誰が信じるんだよ。

 

「う、噂を、聞いた、から」

「それはおかしいね、この事を知っているのは我々教師と、犯人だけの筈なんじゃがな?」

 

 誤魔化しも利かない、どうすんだよこれ、これじゃ俺が犯人て言われてるのと同じだ。

 ディペット校長が俺の肩に手を置いた。

 

「ひッ・・・!?」

 

 思わず情けない声をあげてしまう。

 

「とにかくその怪我だ、今は医務室で休みなさい。

 アルバス、彼女を連れていってくれ、私は魔法省と理事会に連絡せねば」

「・・・うけたまわった。ヨーテリア、来なさい」

 

 ダンブルドアに連れられ医務室に向かう俺。やばい口が乾く、心臓の音がデカく聞こえる。

 

「・・・ダンブルドアっ、私はっ」

「ヨーテリア、安心するのじゃ。

 君がどうこの件を知ったかは分からん、しかしお主が犯人で無いのは確実じゃ。

 今は傷を癒しなさい、まずはそれからじゃ」

 

 俺を見もせずにダンブルドアは焦りながら呟いた。

 医務室に到着して奥のベッドに寝かされても、俺は犯人にされかねない不安で体が潰れそうだった。

 ああ、畜生、俺どうなるんだ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 能面の様な顔をしながら、トム・リドルは秘密の部屋へ続く水道管内を重々しく、苛立ちながら歩いていた。

 バジリスクは生徒を殺した、学校は間違いなく厳戒体制に入る。

 自分も監督生であるが故に、引率に駆られ自由に動けなくなってしまう、そうなる前に秘密の部屋は閉じる。

 放置しておくとあの蛇は何をしでかすか分からない、これ以上騒ぎを起こされて調査されれば自分は無関係です、で通すのは無理だ。

 ただでさえダンブルドアが悪知恵を働かせ誰の仕業か勘づき始めているというのに。

 

「この・・・唐変木が、奴のせいだ・・・」

 

 無表情ながらに悪態をつき続けるリドル、間違いなく学校は閉鎖される、良くても自分は近々ある夏休みに孤児院に帰るハメになる。それだけは駄目だ、そんなのは嫌だ。

 

『開け』

 

 秘密の部屋の扉を開け、部屋内に入るリドル。

 まずは、バジリスクだ、あの畜生をこの部屋に閉じ込めなくては。

 

『バジリスク、出てこい』

 

 蛇語でバジリスクを呼んで数分、奥のパイプから不機嫌そうにバジリスクがその巨体をくねらせ現れた。

 

『何用ですかな?継承者様。

 取り逃した鼠を探していたのですが』

『バジリスク、秘密の部屋は閉じる事にした』

 

 率直にリドルは言い放つと、バジリスクは大口をあんぐりと開けた。

 

『継承者様、今なんと?何分蛇であります故、聞き間違えたやもしれません。

 たった今、秘密の部屋を閉じると?』

『その通りだ、貴様には再び部屋で眠ってもらう』

 

 そうリドルが言い放つと、バジリスクは数秒した後怒り狂った咆哮をあげ、尾で近くの床を叩き割った。

 

『ふざけるなよ小僧!私を目覚めさせておいて何もする事無く再び眠れだと!?

 もう我慢ならぬぞ!殺す、殺してやるぞ!毒で侵しその身砕き睨み殺してくれるわァッ!』

「〈インペリオ、服従せよ〉」

 

 リドルが静かにバジリスクに呪文を放った。

 禁じられた呪文の1つである魔法、服従の呪文を受けたバジリスクは全身から放っていた殺気を霧散させ、脱力する。

 

『スリザリンの像に戻れ』

 

 リドルが言い放つと、バジリスクは力無く頷き、部屋が開かれる前に封じられていた人の顔を模した像の口に入っていった。

 

『閉じろ』

 

 全身が収まったのを確認し像の口を閉じて、完全にバジリスクを像の中に閉じ込めた。

 秘密の部屋の部屋の入り口も同様に閉じて水道管を徒歩で戻っていくリドル。

 行きに滑ってきたトンネルには縄を用意しており、その縄を伝ってホグワーツへと戻っていく。

 

ーー部屋は閉じた、これ以上騒ぎは起きないが・・・。

 

 リドルはぎり、と歯軋りしながら思案する。

 学校の閉鎖は自分には大変不都合だ、もし犯人をでっち上げて逮捕させてしまえば事件はめでたく解決、自分はホグワーツに残れるが、しかしその人柱には誰を使うというのか。

 

「・・・ああ、居るじゃないか、うってつけのが」

 

 登りきった頃、リドルは一人と一匹の自分の持つお気に入りを思い出した。

 週に一回は問題を起こす問題児で、自他共に認める怪物愛好家のルビウス・ハグリッド。

 そしてハグリッドが密かに飼っている大蜘蛛、アクロマンチュラのアラゴグ、あれらを(使う)。

 ハグリッドが運動のつもりで放したアラゴグが、たまたま見つけた生徒を襲ってしまい、今日哀れな一人を殺してしまった・・・。

 飼い主のハグリッドは、犯人として責任を負うのだ。

 

「ククッ、我ながら出来すぎた話だな」

 

 今、怪物が見付かれば問答無用で犯人にされる、魔法生物には常識が通用しないからだ。

 アラゴグを殺す、ないし追い出して事件は解決、全ての責任はハグリッドの物となり、自分は英雄として奉られながらホグワーツに残る。

 完璧だ、とリドルはほくそ笑みながら寮へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リドルの予想通り、朝に大広間で学校の警戒度を上げると発表された。

 女子生徒は事故で死亡したと伝えられたが、生徒達は犯人の仕業に違いないと恐慌状態だった。

 事故を防ぐという名目で生徒の引率が増やされ監督生の彼はその引率を任され動けないが、全く問題は無い。夕方に出歩く口実も用意してある。

 そうリドルは思いながら、ポケットの中の手紙を授業終わりに懐柔した教師のスラグホーンに渡す。

 

「ディペット校長に?構わんが、何の用事かねトム」

「僕の個人的な事で相談があるんです、どうしても今日中に校長とお話がしたくて」

「そうかね?うーむ・・・では夜に予定があるか私が校長に聞いておいてあげよう。

 うまく行けば校長に呼ばれるかもしれんよ」

 

ーー断るものか、何のために5年間猫を被っていたと?

 

 スラグホーンに礼を言いながら内心、リドルはセイウチのようなこの教師を嘲った。

 この学校で自分の思い通りにならない人間はとある生徒と教師の二人だけだ、それ以外の阿呆共は、優等生の肩書きのおかげで実に簡単に彼の要求を呑む。面白いくらいに。

 だから今日、ディペット校長は彼を呼びつける筈。

 

「アーガス、アラゴグはまだあそこに居るのか?」

 

 次の授業の最中、リドルは事件後から行動を共にしている彼の(お気に入り)のオマケ、スクイブのアーガス・フィルチに小声で尋ねた。

 

「ああ、朝方ハグリッドから聞いた。流石にもう逃がそうとしてるらしいぜ。

 でも引率から抜け出すのは不味いし危ないから、授業が全部終わったら一人で逃がしてくるとさ」

「そうか、分かった」

 

 リドルは笑いを堪えるのに必死だった。

 なんという巡り合わせ、なんという好都合、校長室の帰りに優等生は、偶然見つけた犯人と残虐な怪物を現行犯で逮捕し、全ては丸く解決する。

 なんと素晴らしく喜劇的で自然な筋書きだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 事態は面白いくらいにうまく運んだ。

 呼びつけられた校長室のドアをノックしながら、リドルは慣れた様子で緊張した顔を繕っていた。

 

「お入り」

 

 ディペット校長の声を待ち、室内に入るリドル。

 

「ディペット先生、何かご用でしょうか?」

 

 リドルが訪ねると、校長は座るように促してきた。

 不安と焦燥の様は演技であると気付く事は無く、ディペットは優しくフェイクの相談であるリドルの夏休みの対処について、真摯に説明した。

 

「特別の措置を取ろうと思っておったが、しかしいまのこの状況では・・・」

「先生、襲撃事件のことでしょうか?」

 

 内心ほくそ笑みながら、リドルは校長に尋ねた。

 するとこの老害は、信頼する優等生へと生徒が殺された件や、魔法省の学校閉鎖案について、素晴らしくベラベラと話してくれた。

 

ーーかわいい物だな、校長ぉ?これで僕が事件の詳細を知っているのを、誰も怪しまない。

 

「先生、もしその何者かが捕まったら、もし事件が起こらなくなったら」

「どういう意味かね?リドル。

 何かこの襲撃事件について君は知っているとでも言うのかね?」

 

 ディペットの期待を籠めた言葉を、内心は思い通りの一言に大笑いしていたが、勤めて慌てた様子で簡潔に否定した。

 

ーー完璧だ、これで僕は何も知らないが、事件解決への意欲を持った優等生として扱われる。

 さあ後は、(偶然)アラゴグを見つけるだけだ。

 

 ディペットに促され、校長室を出たリドル。

 誰に見られてもいいように、深刻そうな顔をしつつ彼は廃倉庫へと向かっていたが、一番聞きたくない声に呼び止められ度肝を抜かれた。

 

「トム、こんな遅くに歩き回って、何をしているのかね?」

 

 アルバス・ダンブルドアが声色とは裏腹に、恐ろしく据わった目でリドルに声をかけてきた。

 

ーーこの老害が、嗅ぎ付けたのか!?

 

「はい、先生。校長先生に呼ばれたので。

 先生、学校は本当に閉鎖されるんでしょうか?」

 

 冷や汗を隠しながら、リドルは眼前の老人に尋ねる。

 するとダンブルドアは、一切目を逸らさずに、酷く淡々とした様子で口を開いた。

 

「ああ、おそらく閉鎖となるじゃろう。

 トム、君も孤児院に戻る事になるが」

「僕は、あそこには戻りたくありません、僕の家はここなんです」

 

 本心からの一言だった。変に考えて物を言えばこの老人は怪しみかねない、それは不味い。

 ダンブルドアは嘘を見抜く術に非常に長けている、そして嘘をついた時に揺れ動いた心を覗きその者の秘密を引きずり出す技術まで備えている。

 だから真実を織り混ぜねば簡単に追い詰められる、しかもこの老人は事件初期から彼を疑っていたのだ。

 苦し紛れの本音を言い放ち、様子を窺うリドル。

 ダンブルドアはしばらく黙りこんではいたが、やがてため息をつきリドルを見つめ直した。

 

「もう休みなさい、今の時期は危険じゃ」

 

 ダンブルドアに促され、その場を去るリドル。

 しばらく歩いて何の細工も尾行も無いのを確認し、リドルは満面の笑みを浮かべた。

 

「勝った」

 

 ダンブルドアですら、自分の思惑に気付けなかった。

 老害めがざまあ見ろ、これから事件は解決される、もうこのトム・リドルを犯人に出来る者はいない!

 

「こんばんは、ルビウス」

 

 廃倉庫の扉を開けながら、彼は暗い愉悦を感じていた。

 倉庫内には予期せぬ友人の登場に怪訝な顔をする人柱ハグリッドと、襲撃犯と(成る)アラゴグ。

 

「こんな所でオメェ、なんしてる?

 アラゴグは俺一人で逃がすってフィルチに」

「ルビウス、やはり怪物はペットに相応しくない。

 君は少し運動をさせるつもりだったんだろうが」

「は?」

 

 リドルの言葉に口をあんぐりと開けるハグリッド。

 しかしリドルは容赦なく言葉を畳み掛ける。

 

「襲撃事件が止まなければ、学校が閉鎖する話まで出ているんだ」

「ま、待てリドル、オメェが何を言いたいのか・・・」

 

 困惑した様子でリドルを見つめるハグリッド。

 しかしリドルの目がアラゴグに向いているのを見て、青ざめながらアラゴグの前に立ちはだかった。

 

「違う!こいつはやってねぇ!出来る筈がねぇ!

 オメェだって分かってるだろ、リドル!」

「死んだ生徒の親が明日学校に来る、せめて犯人の首を用意しなくてはな?」

 

 能面のような顔の裏に邪悪な本性を透けさせ、杖をハグリッドの後ろの、アラゴグへ向ける。

 

「カシャ、馬鹿な・・・っ」

「こいつは殺しちゃいねぇ!絶対やってねぇ!」

 

 涙ながらに訴えるハグリッドを眺めながら、彼は優しく、心の中でハグリッドに言い放った。

 

ーー嗚呼、それは問題では無いんだよ、友よ。

 

「〈アラーニア・エグズメイ!蜘蛛よ去れ!〉」

 

 リドルの放った呪文が、アラゴグを吹き飛ばした。

 地面に叩き付けられたアラゴグは、素早く体勢を立て直し全力で廊下を逃走する。

 

ーー殺すのは勿体無い、痛め付けて禁じられた森に。

 

「やめろォォォオオオ!!」

 

 ハグリッドがリドルへ襲い掛かり彼を突き飛ばす、しかしリドルは踏みとどまり逆に呪いを放つ。

 

「うおおお!?」

 

 全身が硬直し、身動きがとれなくなるハグリッド。

 そうしている間にアラゴグは廊下を駆け抜け、ついには見えなくなってしまった。

 

「アラ、ゴ、うぐ、うあ、あああっ!

 アラァゴォグゥ″ゥ″ゥ″ゥ″ッッ!!」

 

 親友の逃げた方向を見ながらハグリッドが絶叫する。

 その遠吠えのような嘆きを聞きながらリドルは冷たく微笑み、ハグリッドに呪文をかけ校長室へと、引き摺って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かくして犯人は杖をへし折られ退学となり、事件を解決した勇気ある若者は表彰され、秘密の部屋事件はめでたく終息した。


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