匿名のSNSアカウント「Dappi」に名誉を傷つけられたとして、野党の参院議員2人が都内のウェブコンサルティング企業と幹部2人に計880万円の損害賠償を求めた民事訴訟の判決が10月16日、東京地裁(新谷祐子裁判長)で出ました。朝日新聞によると東京地裁は企業側に計220万円の賠償と、問題の投稿の削除を命じました。
また、原告がSNSで公表した判決の文章によると、被告となった企業の社長がDappiの投稿を「会社の業務の一環として被告会社従業員が本件アカウントを利用して、投稿を行うことを包括的に指示し、あるいは自ら投稿していた」とみることができると指摘していました。
「会社としてTwitterへの投稿」を請け負ったことはない」と社長は主張していた
この訴訟は、野党批判を繰り返すDappi(@dappi2019)による投稿で名誉を傷つけられたとして、立憲民主党の小西洋之氏、杉尾秀哉氏が2021年10月に訴えたものです。Dappiが投稿に用いたネット回線の契約者だった都内のウェブコンサルティング企業と社長・専務の役員2人を相手取り、計880万円の損害賠償などを求めていました。
訴状によるとDappiは2020年10月25日、森友学園をめぐる公文書改ざん問題について、「近財職員は杉尾秀哉や小西洋之が1時間吊るしあげた翌日に自殺」などと投稿。小西議員らはツイートの内容は事実ではなく、名誉毀損にあたるとしていました。
また、Dappiの投稿は平日に集中し、土日にはほとんど投稿がなされていないことなどから、「投稿を行ったのはこの会社の役員か従業員、または業務委託を受けた者であると推認される」と主張していました。
ハフポスト日本版によると、6月26日に被告の会社の専務と社長への本人尋問がありました。社長は「いろいろな嫌がらせが想定されます」として、Dappiの投稿をした人物を明らかにすることを拒否しました。また、過去に自民党東京都連から仕事を受けたことがあるとしつつも、会社として「Twitterへの投稿」を請け負ったことはないと否定していました。
「岸田総裁の説明責任を求めます」「自民党によるネット操作の一環ではないか」原告の議員らが判決を受けて投稿
原告の小西議員は10月16日、Xに「Dappi名誉棄損裁判に勝訴」と投稿。
判決文の中で「会社の業務の一環」などと書かれた部分に赤線を引いた画像を添付した上で、「会社の業務行為と認定し、Dappiの正体にも踏み込んでいます。自民議員や都連と契約関係を持つ会社の組織的違法行為。岸田総裁の説明責任を求めます」とつづっています。
もう一人の原告である杉尾議員も同日、Xでコメントを発表。
「まさに『全面勝訴』ともいえる内容であり歓迎したい」と喜んだ上で、「被告会社は自民党と取引関係があり、本件を始めとした一連の投稿が執拗に野党を攻撃していることから、自民党によるネット操作の一環ではないかとの指摘が出ており、その疑いは排除できない」と指摘しています。